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| 連載/2025年5月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| レジェンドがズバリ答える!加水、澱粉、酵母のはなし - 竹谷先生!教えてください(5) | |
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質問 加水が多いほうがパンは美味しくなるというのは本当ですか?
竹谷 フランスパンの中でも、リュスティックやロデヴのように加水率の高い生地は、加水が多くなることで風味や食感が豊かになり、より美味しさが引き立ちます。もちろんルバンの添加による味の改良効果も大きいでしょうが、加水の多さも重要な要素だと思っています。澱粉のα化には水が必要で、水が多いほどα化は進みます。 質問 パシュナージュをするタイミングはどの時点ですか? 竹谷 私は、グルテンがつながったところ、ミキシングのほぼ最終地点で加えています。水が多いとグルテンの結合は遅くなりますから、パシュナージュ後はほとんどグルテンの結合は期待できません。 質問 パシュナージュした水は結合水ですか?自由水ですか ? 竹谷 科学的に解明してはいませんが、私はほぼ自由水だと思っています。結合水になるべきタンパク、ペントーザン等との結合はすでに最初の加水で完了していると考えています。 質問 タンパク量の多い小麦粉ほど吸水が多いのはなぜですか? 竹谷 小麦粉の成分である、健全澱粉は0・44、損傷澱粉は2・0、タンパク質は1・1、ペントーザン(ライ麦や小麦などに含まれている多糖類)は5〜9の吸水力があると言われています。小麦粉成分の70〜75%は澱粉(損傷澱粉はこのうちの10%前後)ですから、たんぱく質が多いと吸水は多くなります。なお、損傷澱粉は、製粉の過程で損傷を受けた澱粉で、健全澱粉は損傷を受けていない澱粉です。 質問 仕込み水に氷を使うことをどう思いますか? 竹谷 正しくは水を使うべきで、氷を使うのは邪道です。氷を使うと、ミキサーの損傷原因になり、通常以上に加水が多くなります。しかし、それ以上に大切なのは生地温度を正しく仕込み上げることですので、夏場30度C以上になる厨房で希望の生地温度に捏ね上げるには、必要悪と思っています。 質問 パン酵母は冷蔵庫の中でも働きますか? 竹谷 もちろん緩慢ではありますが働いています。生地中で水が水である限りは停止していないと考えます。因みに、フランスパン生地の凍結温度はマイナス3・5度Cです。 質問 シュトレンの焼き上がってからのバターのコーティングを有塩バターにしたら美味しくなったと言われました。 竹谷 私も全部ではありませんが、半分程度はコーティングバターに有塩のものを使っています。1か月以内に消費していただけるなら問題はないと考えます。知っていただきたいのはシュトレンが日持ちする理由です。焼き上がったシュトレンにバターのコーティングをすることでパンの水分飛散を防ぎ、バターの酸化を、バターの上にコーティングした砂糖が防止することで、日持ちがするのです。しかし、砂糖は酸化防止剤ですが、塩は酸化促進剤です。そのことは知っておいてください。 質問 ステビア、アスパラテーム等の高甘味料はどのように使いますか? 竹谷 ▽砂糖添加30〜40%以上に相当する甘みが必要な時、▽砂糖のメイラード反応、カラメル化を避けたいとき(白いパンを焼きたいとき)、に使います。気をつけていただきたいのはパン酵母の栄養となる砂糖まで、排除しないことです。通常の条件でしたら、パン酵母は1時間に1%の砂糖を消費します。2時間発酵でしたら2%程度の砂糖添加が必要ということです。この砂糖はほとんどパン酵母が食べてくれますから、焼き色には影響しません。 質問 湯種を使って食パンを作っています。品質には満足していますが、作るたびに吸水量が変わります。なぜですか? 竹谷 小麦粉に加える熱湯の温度を毎回測っていますか? 私は85度Cを守っています。熱湯というだけで、温度を無視すると100〜80度Cの温度変化は数秒、数分の違いで起こってしまいます。しかし、100度Cの熱湯を加えた時の小麦粉のα化度と80度Cの熱湯を加えた時の小麦粉のα化度は大きく違いそれは吸水の違いになります。是非、湯種を作るときは熱湯の温度に気を使ってください。 因みに、湯種にはどんな小麦粉を使っていますか? 日本パン技術研究所の卒業研究で、そのテストをしていただいていますが、内麦めん用粉が最適とのことです。その理由を考えてみてください。「さもあらん」と納得出来るはずです。 |

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この企画は、リテールベーカリーの活性化のための活動を行うアルバネット(竹谷氏が主宰)が行っているオンラインセミナーで、竹谷氏が受講者らからの質問に答えた内容をお伝えするものです。同時に読者の皆様からの質問にもお答えしますので、普段のお仕事の中で疑問に思っていることがありましたら是非ご質問ください。
竹谷光司 1948年北海道生まれ。北海道大学卒業後、山崎製パンに入社。1974年に日清製粉に入社。1986年、ベーカリーフォーラムを設立し、日本のベーカリー発展に貢献。著書の「新しい製パン基礎知識」は、パン職人のバイブルとされる。2010年に「美味しいパンの研究工房・つむぎ」を開店。 |


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