人通りの多い通りにガラス張りの店をオープン - ルヴァン・ドール - ブランスリー電子版

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お店拝見/2025年5月号

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人通りの多い通りにガラス張りの店をオープン - ルヴァン・ドール
店主の松村徹さん
京王線中河原駅南口から徒歩2分、大通りに面した場所にある「ルヴァン・ドール」
取材した3月下旬の店内は花見をイメージした装飾が施されていた
入り口の右側の台に季節商品が並ぶ。ハチミツに漬け込んだ桜の葉を生地に練り込んだ「桜食パン」(税込454円)や桜の葉と生ハムを巻いたそら豆をパン生地で包んだ「桜葉と生ハム」(税込314円)など(サムネイルは、右上が「桜食パン」の断面、左下が「桜葉と生ハム」の断面)
一番人気の「クロワッサン」(税込281円) (サムネイルは、「クロワッサン」の断面)
「バタール」(税込324円)や「レトロバケット」(税込346円)(サムネイルは「レトロバケット」の断面)
白いキャンバスをイメージした売り場

 東京・府中市の京王線中河原駅南口を出て2分ほどの場所にベーカリー「ルヴァン・ドール」はある。大通りに面した角地に建つ5階建てビルの1階、ガラス張りの店舗だ。外から売り場、イートインスペース、厨房それぞれの様子を見ることができる。
 取材した3月下旬、店内に入り思わず足を止めて見上げたのは、桜の木の装飾。パンが並ぶ陳列台は、まるで花見客のレジャーシートのように、桜の木を囲むように設置されている。ほかにも、桜の花をモチーフとした飾りが天井や壁の棚などに施され、一気に春の世界へいざなわれる。
 「来店しただけで、来てよかった、なんかいいなと思ってもらえる店にしていきたいと思っています」
 こう語るのは、店主の松村徹さん。「ムッシュイワン日野店」の小倉孝樹社長の下で20年間勤めて退職、その半年後の昨年12月に同店の開業に至った。
 「小倉社長の作るイギリスパンとクロワッサンのおいしさに惹かれて門をたたいてから20年、長い修業時代を過ごさせてもらいました。小倉社長の背中を追ってきたからこそ今の自分があることを、こうして無事に開業を果たせたことで改めて実感します」(松村さん)
 順調な滑り出しとなった同店だが、宣伝は外注せず、ガラス張りの店舗を活用して松村さん自身で行った。開業1カ月前の工事中、店舗のガラス面に販売予定のパンの写真を掲示。工事がほぼ終わり機材の設置完了後は、テストベイキングを兼ねて作ったパンを、外からガラス越しに見える場所に飾った。
 「通勤などで毎朝店前を通る人が気にして見てくれるように、店舗のガラス壁を掲示板やショーケースのように活用しました。見てくれた人の中には、写真を撮ってSNSに投稿してくれた人もいます。波及効果を期待した宣伝の仕方ですね。当店でもSNSはやっていますが、皆さんによる情報発信の方が影響力は大きいですから」(松村さん)
 掲示物はパンだけでなく、開業に当たってこのエリアを選んだ理由や、店名の由来などを知らせる紙も用意した。店名は、松村さんがパン業界で初めて働いた、かつてこのエリアで人気を博していた店の名をもらったとう。
 店内の白い壁は、色々な装飾が映えるよう、白いキャンバスをイメージし、売り場のレイアウトは固定しないことにこだわった。持ち運び可能な陳列台を採用し、その都度配置を変えることで、効果的に模様替えができるようにした。
 「季節などに合わせて店内の雰囲気をガラッと変えていきたいんです。お客様に、毎回新鮮さや楽しさを感じてもらえるような店にしていきたいと思っています。さらにそれがお客様の間で話題にしてくれるようにできたらいいですね」(松村さん)
 おいしいパンがあることを大前提とした上で、売り場の空間作りに注力することは、スタッフらにもいい影響があるという。
 「定期的な変化は、スタッフたちには気分転換になります。例えばちょっと気分が落ち込んでいたとしても、職場がいつもと違う景色になったら気持ちが前向きになったりして、一瞬で変わるようなことってあると思うんです」(松村さん)

モーニングサービスで朝食の食べ方を提案

 朝7時と早めの開店時刻は、最寄り駅から近所の会社に向かう人が立ち寄る需要を期待したもの。イートインスペースでは10時まで、コーヒーとトーストのモーニングセットを税込350円で提供。トーストは「イギリスパン」(税込346円)の6枚切りにトースト後バターをのせる。
 「お客様に、いつもご自宅で食べているトーストがさらにおいしくなる方法をお伝えし、実感していただくことが主な目的なので、サービス価格での提供です。焼いたらすぐ、できれば一分以内にお召し上がりくださいと、食べ方までご案内しています。食べるタイミングで全然味が変わりますから。私も修業時代、従業員の皆で朝食として食べていたので、そのおいしさと食べ方は身に染みています」(松村さん)



入り口の左側の陳列棚に並ぶ「イギリスパン」(税込346円)などの大型のパン
イートイン席が外から見えるガラス張りの店舗
迷ったときは手間だと思う方を選択する

 「イギリスパン」(税込346円)と、「バタール」(税込324円)、「クロワッサン」(税込281円)、「パンオレ(4個入)」(税込346円)の4アイテムは、松村さんにとって特別なアイテムだという。「クロワッサン」は現在同店の一番人気だ。
 「『バタール』や『クロワッサン』などは一番基本的なもので、基本に忠実に作ることの大切さを体現しています。何をおいしいと思うかというところは感性ですから、色々なパンがあって当然ですが、基礎というのは変わらないですし、これらのパンは大事に守っていきたいと思っています」(松村さん)
 売り場に並ぶパンは、一日で最大約80種類、常時約60種類はあるようにしている。同じ商品でも一日に複数回焼成し、焼きたてが並ぶようにしている。
 「少数ずつ何度も焼くのが手間であるなら、少数ずつ何度も焼かなくてはなりません。自分たちにとって手間になることは、お客様の得になることが多いからです。そしてひいてはそれが店の利益につながります。ですので、工程を考えて最後に2択になったら、手間だと思う方を選ぶように、ほかのスタッフにも話しています」(松村さん)
 人気商品でも一度にたくさん焼成しない。たとえ品切れになったとしても、松村さんはそれをプラスに捉える。
 「品切れした商品がお客様の目当てだったとしても、代わりとしてほかのおいしい状態のパンを味わってもらえる機会になりますし、品切れの商品は、次回来店時の購入を楽しみにしてくれるのではと考えているからです」(松村さん)
 商品は価格も含めて幅広く揃えることを重視。敷居を低くするためだ。
 「一定の品質を保ちつつ、どこにこだわるかは商品ごとに変えています。安くて買いやすい商品や、当店の独自性が強い高価な商品など、様々なものを揃えることは、幅広い客層の集客につながるからです。まずは来店して色々見てもらって、最終的にお客様に判断して頂ける店にしたいと思っています。また、バラエティーに富んでいる方が、客単価も上がると思っています」(松村さん)

SHOP DATA
店名:ルヴァン・ドール
住所:〒183−0034 東京都府中市住吉町2−27‐11
電話:042‐306−9958
営業時間:午前7時〜午後4時
定休日:不定休
品揃え:約80品目
スタッフ:製造常時2〜3人、販売常時2人
店舗面積:売り場約15坪、厨房約17坪
日商:平日約20万円、土曜、日曜、祝日約30万円



この記事の読みどころ

●壁面は白で統一し、白いキャンバスに絵を描くような感覚で、売り場を演出する。
●移動可能な陳列台を採用し、その都度配置を変えることで効果的に模様替え。
●少量多頻度焼成で発生する品切れは、顧客に別のパンに手を伸ばしてもらうための好機と捉える。



原価計算女王
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