新たなる挑戦 - パン・デ・サヴール - ブランスリー電子版

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お店拝見/2002年4月号

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新たなる挑戦 - パン・デ・サヴール

婦人雑貨売り場の一角にあるパン・デ・サヴール
リテールチェーンの老舗、ポンパドウルが初めての新ブランド展開に挑戦している。2月26日、カフェベーカリー「パン・デ・サヴール」を三越横浜店一階にオープンしたのだ。同店のために新たに開発したパンおよそ40品目は、「ヨーロッパの伝統的なパンをイメージさせる商品」(パン・デ・サヴール開発責任者の長澤岳秋課長)が中心。「ポンパドウルの伝統を生かしながら、伝統にとらわれない新しい要素も積極的に取り入れていきたい」と長澤課長はいう。

住所 神奈川県横浜市西区北幸
1−2−7三越横浜店1階



欧州の伝統を想わせる品揃え。湯捏ね法なども採用

レトロバゲット


左からパン・ド・ルパ(くるみ)、パン・ド・ルパ(くるみ)大、パン・ド・ルパ大 


フランスの地方菓子、ピティビエ


サヴール特製食パン
パンは、ハード系、クロワッサン、パイ、デニッシュなどに絞り込んだ。各商品の発祥地の食文化の雰囲気を演出する一方で、低温長時間発酵法や、湯捏ね法など様々なパンの製法も積極的にとり入れている。
例えば、「レトロバゲット」(250円)という商品。低温で15〜20時間じっくりと発酵させて作るバゲットで、ポンパドウルにはなかった商品だ。「パン・ド・ルパ」は湯捏ね法を採用した直焼きパンで、同一生地からプレーンの「パン・ド・ルパ大」(300円)のほか、くるみを入れた「パン・ド・ルパ(くるみ)」(180円)、「パン・ド・ルパ(くるみ)大」(280円)などを作っている。
「カントーンブレッド」(150円)は米粉を15%配合したパンだ。
このほか、「ブリオッシュ・アテット」(130円)、「ペストリー・ノア」(180円)、「ショーソン・オ・ポム」(170円)などのヴィエノワズリー類も豊富だ。
フランスの地方菓子の「ピティビエ」(180円)もある。
明らかにポンパドウルとはテイストの違う品揃えだ。
こうしたパンは、近くの工房で仕込んだ生地を、店舗の奥に設けた工房に運び込み、成形、焼成などの加工を施している。


カントーンブレッド


ペストリー・ノア(右)とショーソン・オ・ポム(左)


ブリオッシュ・アテット



伝統にあぐらをかいてはいられない。懸案だった新ブランド展開

ポンパドウルではこれまで、新しいブランドを開発することが大きな課題になっていた。「伝統にあぐらをかいてはいられない」という危機感もあった。「新たな可能性に挑戦したい」という若いスタッフらの思いもあった。
昨年末、ポンパドウル元町本店がある、横浜元町商店街の店舗が集まって、三越横浜店の1階に出店するという構想が持ち上がった。
懸案だった新ブランド構想とオーバーラップした。バッグのキタムラ、輸入玩具の「タイ」などとともに出店することが昨年12月末、本決まりになった。
三越横浜店のすぐ近くには、ポンパドウルの最優良店である、相鉄ジョイナス店がある。ダイヤモンド店もある。三越横浜店地下2階にはジョアン、地下1階にはダロワイヨ。必然的にカフェベーカリーの形態に決まった。



まわりの店舗との仕切りがない。イメージカラーはグリーン

円形のカウンターのまわりを囲むようにして41席を配置した。


カウンター内では、スタッフが機敏に動く


タルト・オ・ポワールなどの洋菓子も品揃えに加えた。


トレーに敷く紙には、パン・デ・サヴールについてわかりやすく説明したイラストなどを印刷
パン・デ・サヴールの業態開発に当たっては、長澤岳秋課長を中心に、製品開発担当者3人と、販売促進担当者3人が加わっての共同作業という形で進んでいった。
三越横浜店の1階は、ティファニーやアメリカの有名バッグブランドのコーチ、イギリスの老舗ブランド、ハロッズなどが軒を並べる高級婦人雑貨売り場だ。地下の食品売り場への出店とは当然意味合いが違う。
フロア奥の大きな柱を囲むようにして、円形のカウンターを作った。正面の半円周に沿った陳列棚に、レトロバゲット、パン・ド・ルパ、カントーンブレッド、ブリオッシュ・アテットなどのパンがセンスよく並ぶ。
タルト・オ・ポワール(300円)やパンプキン・プディング(350円)などの洋菓子のコーナーもある。
イメージカラーはグリーンだ。カウンター上部を一周する形ではられたテントがグリーン、ホールスタッフの長めの腰エプロンがグリーン、といった具合に、要所要所に効果的に使っている。
客はパンを自分でトレーにのせ、洋菓子は店員に取ってもらい、ドリンク類はレジで清算する際に注文する。
カウンターの中では、女性スタッフが、コーヒーを抽出したり、顧客にパンの説明をしたりと機敏に動く。常に笑顔を絶やさない。
隣り合う、キタムラなどの店舗との境界がなく、「買い物をしながら歩いていると、いつのまにか休息の場に足を踏み入れていた」という感じだ。「お客様の年齢層は比較的高いですね。接していると、身のこなしも、しゃべる言葉も上品な方が多いようです」と長澤課長はいう。


ライ麦パンをモチーフにしたパンの木。周りに多くの人が集まるようにとの願いが込められている。

食べるスープもラインナップ。フルサービスに近いオペレーション

具だくさんのクラムチャウダーと野菜サンド
具だくさんの「食べるスープ」も揃えた。
定番のミネストローネ、クラムチャウダーのほか、ポテトマッシュルーム、パンプキン、スパイシートマトなど6アイテム。価格はいずれも500円。
大きなカップに入っていて、かなりのボリュームだ。
これらのスープは、元宝塚歌劇団の千珠晄さんがプローデュースしたものだ。
サンドイッチ類は、ポンパドウル自慢のデルニエ、黒糖ライブレッドを使ったベジタブルサンド(500円)やハム・サーモンサンド(700円)などを提供。カスクートは、レトロバゲット、パン・ド・ルパを使った「スモークサーモン」(420円)、「バジルチキン」(380円)、「リオナソーセージ」(450円)などを出す。
こうしたサンドイッチも、店舗の奥の工房で加工している。
ドリンク類は、ブレンドコーヒー(400円)、カフェラテ(450円)、カプチーノ(450円)、エスプレチーノ(400円)、ダージリンティー(450円)などホットドリンクが7アイテム。
アイスカフェラテ(450円)、アイスロイヤルミルクティー(450円)などコールドドリンクが5アイテム。
ブレンドコーヒーは、「ブラジル産『セラ・ダス・カベサス』という豆をベースにして、厳選されたコーヒー豆だけをブレンドしたこだわりの1品」だという。
長澤課長が最も強く勧めるのは「エスプレチーノ」だ。
たっぷりと砂糖を入れて味わうイタリア流の飲み方をしたときに芳醇な香りが出るようにと、少量のチョコレートフレーバーを加えてあるのが特徴だ。これは南イタリアのプリーア地方で飲まれているエスプレッソコーヒーだという。
長澤課長は「私どもはこれまでもイートインは何店舗かで手掛けているのですが、『パン・デ・サヴール』ではさらに一歩進めてフルサービスに近いオペレーションを実践しています」と話す。パンは、客が自分で席まで運ぶが、サンドイッチやドリンクなどは、ホールスタッフが席まで運ぶ。
パン・デ・サヴールは、店舗面積がおよそ26坪、工房が約6坪。山本有作マネージャーが、7人の女性スタッフ(パート)の指揮をとる。

カードレスポイント制度を導入。他店とのコラボレーション

パン・デ・サヴールの出店は昨年12月末に最終的に決定し、今年2月26日にオープンという強行スケジュールだった。しかし、長澤課長は「大きな方向性だけを決められて、具体的な企画などはすべて任されたので、かなりやりがいがありました」と目を輝かせる。
「製品開発スタッフや販売促進担当スタッフらが日頃から温めていた様々なアイデアが、一気に噴き出したという感じでした」という。
カードレスポイント制度もそんなアイデアのひとつだった。
100円で1ポイントが加算され、500ポイントためると、キタムラ特性オリジナルバッグ、350ポイントでキタムラ特性小物バッグ、200ポイントで、元町商店街タカラダのマグカップがもらえる。
ここまでは、通常のポイントカードと同じだが、「カードレスポイント制度」はその名の通り、カードが存在しないのが特徴。
顧客がレジで清算するときに、会員番号と名前をいうと、スタッフがパソコンのデータベースから検索し、相当のポイントを加算する仕組みだ。
「財布の中にいっぱいカードがたまっていませんか? カードがなければ、なくす心配もないし、忘れることもないし、いいと思うんです」と長澤課長はいう。
顧客とスタッフのコミュニケーションを促す効果もあるという。
レジの隣に置いてあるノートパソコンを操作。レジとは連動していない。
前述のように、パン・デ・サヴールは、バッグのキタムラ、輸入玩具のタイなどと同時出店。「元町商店街」がキーワードのひとつになっている。
長澤課長は「例えば、ウチのポイントの景品にキタムラさんのバッグを使用しているような形で、店同士のコラボレーションをさらに推し進めていけたら、と考えています」と話した。

原価計算女王
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