まずは掃除から始めましょう。油脂は酸化します。モップにも気をつけて - 文・橋本泰之 - ブランスリー電子版

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パン屋さん手帖(1)/2002年4月号

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まずは掃除から始めましょう。油脂は酸化します。モップにも気をつけて - 文・橋本泰之

橋本泰之 1956年横浜生まれ。新宿の専門学校を卒業後、銀座レストランみかわやに就職。その後センチュリーフーズ、モンタボーなどを経て、1996〜2001年、東京製菓学校教師。2001年10月、有限会社レーヴを設立、現在に至る。

パン屋さんは「なぜ」がいっぱい
こんにちは。今回から6回連載を書く事になりました。
ブランスリーの購読者はパン店舗に勤めている人が多いと聞いています。ですからパン屋さんの疑問やこうしたら良いのに、なんてことを1回目に書きたいと思います。
パン屋さんに就職すると、本当になんでこんなに忙しいのかって思いませんか。自分も最初は余裕がなくて大変だった記憶があります。でも疑問も多く、いつもなぜって思っていましたが、中々お店の先輩に聞いても良い回答がなくて、本を買って調べた記憶があります。
よくお店でパンにショックを与えろって言いますよね。でもなぜショックを与えなくてはいけないのか、自分のころはほとんどそんなことは答えてくれる人がいなくて、なぜ? ショックを与えると調理パンは形が壊れるし、(パンにもよりますが)なぜ?
調べてみると簡単なことで、パン生地の中は気泡の大きさが不揃いで、焼きたての時はいいのですが、そのままにしておくと大きな気泡の中の水蒸気や炭酸ガスが外に逃げて行き、気泡が収縮してケービングがおきやすい。だからショックを与えて気泡を揃えるっていうのです。
でも少し考えたら、ケービングをしやすいパンにショックを与えるということです。食パンやメロンパンのようなケービングしやすいものはショックを与えてればいいのです。そんな素朴な疑問がパン屋さんではいっぱいあるようです。
ちなみにショックの定義は食パンを20センチの高さから落とすというのが、特許になっているようです。

掃除が意外とないがしろ
では本題に入ってパン屋さんで気が付いた事を書いてみます。
まずオーブンの汚れている店は製品も結構ムラがあるようです。これは偏見ではなく色々な店舗に行って見ての結果で、オーブンを掃除できない職人に、パンはきれいに焼けないと思います。
特にオーブンのガラス。このごろは大きなガラスが多く、中が良く見えているはずなのに汚れて見えない。中が見えないから度々ふたを開ける。中の蒸気が逃げてムラ焼けする。
全てがそうではないですが、出来ればきれいな方が外から見えますよね(お客さんにもきれいな方がいいと思います)。
パン屋さんで一番肝心な掃除が以外に忙しさでないがしろにされている、そんな光景を良く見ます。まず自分の周りを掃除する、気が付いたら拭く、そうすると、オーブンでもミキサーでも汚れませんよ。まず汚さないことから心がけましょう。
なんか当たり前の事だけど、当たり前が一番難しくて大変ですよね。
それとオーブンの所で使っている型を拭くモップ、それと離型油は、一応油脂なので酸化します。冷蔵庫で小出しにすればよいのですが、いつも窯の前に置いていたら、一番工場の中で暖かい場所なので酸化が一番進みます。
天板や食パンの型に酸化した離型油を塗ったら、せっかく一生懸命作った食パンの表面が酸化した油脂でコーティングされて匂いの悪いパンになってしまいます。
今はスプレー式のものがありますので、油脂は酸化しませんが、それを塗る布やモップが汚いと同じです。
出来れば型拭きは、替えを用意して、最低でも一週間単位で苛性ソーダや漂白剤で油を落としてから洗剤で洗いましょう。それだけでパンのクラストの匂いが良くなると思います。

材料はすぐに所定の位置に
油脂ついでに材料の話を少ししたいと思います。
油脂は生乳を油脂にするまでに数多くの工程を経てバターになります。時には温度を均一にして製造します。
材料の問屋が油脂を持ってきたとき、理解のある問屋やお店ならすぐに冷蔵庫にしまいます。特に夏場のバターなどは、そのまま半日でもほっぽっておくと油脂の乳化が壊れてしまいます。冷蔵庫に入れれば、一度は確かに固まりますが、すでに乳化が壊れているので、例えば食パンに使用すると、焼き上がり時に表面に流れたりしますし、窯伸びにも影響します。
クロワッサンで使用するバターを麺棒で叩いてみると一回乳化の壊れたバターは、すぐに割れてしまいます。割れるということはリバースで伸ばした時に生地と一緒に伸びないということで、出来上がりがボリュームがなかったり、暴れて形の不揃いの製品になったりします。ほかにも色々と弊害が出ます。
簡単なことですが、油脂だけでなく、材料はまず一番に所定の位置にしまいましょう。

続けることで運命が変わる
なんか子供じみた事を書いて、俺の店には関係ないと思う人もいると思いますが、自分でもいつも心がけていることが、初心に帰る、ということです。初めてのパン作りを思い出して、掃除・挨拶が一番大切だったなって思い起こしてください。
よく三日坊主っていいますよね。
自分でも意外に昔は良く三日坊主で終わってしまったものですが、ある人から、続けることが大切だよって言われました。まず簡単なことでもいいので続けていると、それは習慣になる、習慣になるとそれは自分のものになる、そうすると運命が変わるよって。
こんな事を人から言われてから自分自身少しずつ実行しています。仕事は大変だけど、まず掃除から、がんばりましょう。







原価計算女王
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