調理スペースを充実させ、パンの具材を自家製造に - パンの家 あ・ら・もーど - ブランスリー電子版

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お店拝見/2024年11月号

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調理スペースを充実させ、パンの具材を自家製造に - パンの家 あ・ら・もーど
店主の野田満由樹さん(右)とスタッフら
JR秋川駅前にある「パンの家 あ・ら・もーど」。看板は2年前に新調し、一番人気の「秋川牛カレーパン」のイラスト入りにした
日本カレーパン協会主催のコンテストで5年連続最高金賞を獲得した「秋川牛カレーパン」(税込356円)
「秋川牛カレーパン」の断面
改装を機に一変した商品作り

 東京都心から西に40キロほど離れたJR秋川駅前にある「パンの家 あ・ら・もーど」。1998年に創業し、この10月に26周年を迎えた。店主の野田満由樹さんは開業時をこう振り返る。
 「駅前はまだ更地で、そこに建設予定のビルがベーカリーを募集していることを知って出店を決めました。人通りの多い駅周辺の立地を探していたんです」
 しかし開業後周辺の開発が進むに連れ車社会が発達し、人の流れが変わった。野田さんは時代の変化を感じたという。
 「9年目の頃、駅から少し離れたところに商業施設ができたのが大きかったですね。そこに転職してしまうスタッフもいましたし、売り上げは半減しました。店を閉めるという選択肢が、初めて現実味を帯びてきてしまって」(野田さん)
 郊外など立地の異なる場所への移転も考えたが、野田さんはここに留まり、装い新たに再スタートを切ることを決めた。
 「これで諦めてしまうのは、くやしいという気持ちが強かったんですね。ちょうど空き家になった隣の店舗を活用して、2・5倍に増床する大規模改装をしました。厨房を拡張し充実させたほか、バリアフリーの売り場、イートインスペース、スタッフの休憩室など、今までスペースの都合上難しかったものを設けました」(野田さん)
 改装後、同店の商品は一変した。厨房を拡張し、フィリングなどの調理スペースを確保できたことで「これまでできなかったことができるようになった」(野田さん)からだ。
 現在看板商品となっている「秋川牛カレーパン」(税込356円)も改装を行った結果誕生した商品だ。カレーフィリングは、地元産の食材を使い、ブイヨンスープをベースに作るカレーに、デミグラスソースなどを合わせるという、手間暇を惜しまないもの。同商品は、日本カレーパン協会主催のコンテストで5年連続最高金賞を獲得した話題性もあり、通販でも人気だ。
 「改装前はカレーのみならずほとんどのフィリングが自家製ではなかったのですが、調理スペースができたことで、フィリングも本腰を入れて作れるようになりました。実はカレーフィリングは、受賞後も改良を続けているんです。使う食材を変えるだけでなく、食材の炒め方や入れるタイミング、肉の下処理など、行程の一つひとつをチェックして改良を続けています。こうしてのめり込んで改良していく作業は楽しいですね」(野田さん)
 コンテストの連続受賞は、改良を続けている成果なのだろう。野田さんはパン製造の仕事に就く前、洋食店やホテルで調理担当として働いていた。改装して設けた調理スペースは、そのときの経験をいかんなく発揮できる場と言える。今では不定期だがビーフシチューやホワイトシチューなども作り、総菜としての販売も行っている。



「クリームパン」(税込259円)、「キャラメルクリームパン」(税込259円)、「フランボワーズクリームパン」(税込259円)は、中のクリームが二層になっている。パッケージデザインは学生らが考案
「クリームパン」の断面
「キャラメルクリームパン」の断面
「フランボワーズクリームパン」の断面
学生らが製作した「キャラメルクリームパン」と「フランボワーズクリームパン」をイメージしたイラストやキャッチコピーを載せたポスター
通路を広めにし、ベビーカーなどでも通りやすくした店内
一番人気商品に続くほかの商品を育てる

 「秋川牛カレーパン」のヒットがけん引する形で、同店の経営状況は回復した。コンテストの効果もあって知名度が上がり、商圏範囲も拡大。土日は平日の2倍以上に客足が伸び、遠方からの客も増えるため、駅前立地だが駐車場も借りている。
 しかし同時に課題も抱えた。「秋川牛カレーパン」の店全体の売り上げに占める割合が25%と高く、それに準ずるような人気商品がなかなか生まれないのだという。
 「一つの商品が店の経営を左右する状況になってしまっているのは不安です。他にも支えになる商品を育てていきたいと思っているのですが、2番目に人気の商品でも、全売り上げに占める割合は5%程度で、それ以上にするのが難しいんですよね」(野田さん)
 そこで3年前から取り組んでいるのが、地元大学の経営学部の学生らとのコラボだ。クリームパンのキャッチコピーを含めた個包装用のデザインを、授業の一環として学生らに考えてプレゼンしてもらい、1位の評価になったデザインを実用化するというもの。
 クリームパンは「クリームパン」(税込259円)、「フランボワーズクリームパン」(税込259円)、「キャラメルクリームパン」(税込259円)の3種類。いずれも中のクリームがバニラとカスタード、フランボワーズとカスタードといったように、2種類のクリームが二層になって入っている。
 「学生とのコラボをきっかけに、パン生地を変え、クリームの種類を増やすなどして、改良を加えました。最も重視しているのは一口目の口どけの良さで、今でも改良はずっと続けています」(野田さん)
 「クリームパン」も「秋川牛カレーパン」と同様に通販を行っており、冷凍便で配送している。冷凍した状態でも、アイス感覚でおいしく食べられると好評だ。



「ジューシー豚カツサンド」(税込454円)などボリュームタップリの総菜パンが並ぶコーナー
「ホテルブレッド」(税込302円)など食パンが並ぶコーナー
改装時に設けたイートインスペース
笑顔を失わずに元気に働いていきたい

 社員は6人おり、製造は野田さんを含め常時7人で、販売は常時2人で行っている。
 「スタッフにはまず朝の出勤時の挨拶を大事にしてもらっています。挨拶で一日のスイッチが入り、気分の切り替えができると思っているからです。そのとき、スタッフの異変に気付くこともでき、いつもより元気がないなと思えば、フォローするように心掛けています」(野田さん)
 野田さんが飲食業に就いたきっかけは、中華屋を営んでいたおじの、笑顔で働く姿に憧れたから。
 「通販の注文が増えたときは嬉しかったですが、店内でお客様に直接お渡しするのと違って、顔の見えないやり取りですし、忙しさが増すとスタッフがどんどん疲弊していくのを感じました。笑顔が消えていくような状況では、何のためにやっているのかわからなくなってしまいます。以降、通販に関しては控え目にやっていきたいと思うようになりました」(野田さん) 
 レジのセルフ自動支払機は6年前に導入したが、レシートはスタッフ側に出るように設定しており、最後にスタッフが客に手渡しするようにしている。
 「最初から最後まで機械には任せられないなと思いました。接客では、お客様が最後に店を出るところまで笑顔で見届けたいという気持ちを大事にしたいと思っています。地域一番店を目指し、お客様にファンになっていただくためには必要なことですね」(野田さん)

SHOP DATA
店名:パンの家 あ・ら・もーど
住所:〒197−0804 東京都あきる野市秋川1−1−16
電話:042‐550−6505
営業時間:午前8時〜午後7時
定休日:木曜
品揃え:約90品目
スタッフ:製造常時7人、販売常時2人
店舗面積:売り場(イートイン含む)約19坪、厨房(休憩室、事務室含む)約24坪
日商:平日30万円以上、土曜、日曜、祝日50万円以上



この記事の読みどころ

●時代の変化と戦い、新しい時代に対応して、大きく発展した。
●カレーパンコンテスト入賞のカレーパンが売り上げ全体の25%を占める。
●二番目の看板商品を作るために地元の大学とコラボ。
●セルフレジを導入したが、レシートは店員が客に手渡しするようにした。

原価計算女王
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