1週間周期で多品種少量生産。単品売上げ高い製品は多頻度焼成 - ベルアルプ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2000年11月号

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1週間周期で多品種少量生産。単品売上げ高い製品は多頻度焼成 - ベルアルプ

常連客などで賑わうベルアルプ店内

 東京都豊島区巣鴨4-14-17、電話03-3915-3324、営業時間 午前7時〜午後7時30分

 日曜定休東京・豊島区のベルアルプ(地引弘道代表)は、売り場面積およそ3坪で、平均日商およそ13万円の優良ベーカリーだ。地域の人たちとのコミニュケーションを図りながら、「彼らが何をを求めているか」をつかみ、きめ細かに対応しつづけてきた成果だ。品揃えは、約80品目。玄米や全粒紛、天然酵母など材料を厳選して、丁寧なパン作りをしている。同店は、刺抜き地蔵で有名な地蔵通り商店街にある。

 客層は年配者から子供まで幅広く、基本的には地元に住んでいる人が中心。しかし、地蔵通り商店街という人出が多い場所にあるので、1人ひとりの来店頻度は少ないが、遠方からの客も多いという。
同店は、「天然酵母黒五ブレッド」「天然酵母全粒粉ブレッド」「天然酵母クランベリー・ノア」など、材料にこだわったパンおよそ15品目については、製造日限定で作っている。
 例えば、黒五ブレッドは、火、木、土の週3日、全粒分ブレッドは、水、金の週2日、といった具合いだ。
 こうした製品は、アイテムごとの売上げは少ないが、各アイテムに固定客がついており、確実な売上げが見込めるのだという。注文生産と同じような意味合いを持つ。こうした製品を買う顧客は、製造日を知っていて、必ずその日に買いに来るのだ。
 「天然酵母黒五ブレッド」は、黒五(黒豆、黒松の実、黒米など5つの穀物などを粉末にして混ぜ合わせたもの)を練り込んだナマコ型のパン。天然酵母で発酵させる。
 「天然酵母クランベリー・ノア」はくるみとクランベリーを練り込んだナマコ型のパン。
 こうした製品は、セミハードロール系の生地が多く、比較的さっくり感のある食事パンだ。
 こうした、売れる量は少ないが固定客がついている製品が数多くある一方で、カレーパンや内麦食パンなど、毎日製造し、単品での日商が高い商品も多い。
カレーパンの具は、玉ねぎ、ひき肉、カレールーなどから作る自家製。内麦食パンは、内麦100%、蜂蜜6%、フレッシュバター6%などを配合して作る(20頁参照)。こうした製品については、作業工程に工夫を凝らし、窯入れの回数を多くして、常に店頭に焼きたてが並ぶようにしている。
 例えば、カレーパンの場合、朝一番で出すものは、前日に成形したものを翌朝まで冷凍保存する。
それ以降に出すものについては、当日の朝仕込んで、ホイロまで済ませ、冷凍保存。必要に応じて順次焼成して店頭に並べる。
 「このやり方は、ある程度の量が売れる見込みがたつ品目でないと難しいですね」と同ベーカリーの地引代表はいう。
 同店には、このほか「赤ちゃんのおしり」(20頁参照)やよもぎあんぱん、パン・オーレなど数多くの定番人気商品がある。



顧客の多様なニーズに対応。顧客の顔を思い浮かべてパン作り。アトピーの子供用のパンも

入り口から見たベルアルプ店内


地引弘道ベルアルプ代表
 同店は、顧客の様々なニーズにきめ細かに応えることを怠らない。
 例えば、塩分を控えなければならない顧客には、減塩食パンを少量でも作る(同店の食パンは食塩の配合が1・5%と、もともと低い)。
アトピーの子供を持つ親に頼まれれば、卵や牛乳を使わないパンを作る。
 「他の店のパンは食べられませんが、ここなら食べられるパンを作ってくれる」と心から喜ばれるという。
こうした細かなニーズに対応していくのは、コスト的に大変だが、「例えば週1回限定で対応する方法もあります」と地引代表は話す。
 こうしたことも顧客とのコミュニケーションが密だから出来ることだといえる。
 本誌が取材をしている間にも、「この間のパンとてもおいしかったです」と御礼にきた顧客がいた。

 女性従業員が大きな力に
地引代表は「女性従業員が、お客様とコミュニケーションをとるために大きな役割を果たしてくれます」と嬉しそうに話す。
 レジと製造補助などを担当する女性スタッフが、顧客との何気ない会話の中で、主婦の立場から、顧客が何を求めているかを探り出す。
 レジ周りにさりげなく置かれているキャラクターグッズなどは、ほとんどが女性従業員が用意したものだ。



商品編


レジ前人気商品の「フレンチエッグ」。売れ残ったフランスパンを2〜3センチ厚にカットして、上面をくり抜く。そこにたまごサラダを入れて、マヨネーズをかぶせて焼き上げた商品。フランスパンが売れ残った時だけ作る。2時間ほどの取材の間に、ほとんど売れてしまった。左にあるのは、刺抜き地蔵(手前)とこげパンのキャラクターグッズ。

人気のかきあげサンド(220円)やハムカツサンド(180円)、いんげんしめじサンド(220円)など多くの種類のサンドイッチが並ぶサンドイッチショーケース。多くの種類を少量ずつ作っている。サンドイッチの商品開発は地引代表の得意とするところだ。

ベルアルプの超ロングセラー「赤ちゃんのおしり」。アクリル製のケースによもぎあんぱんとともに並ぶ。見た目が、赤ちゃんのおしりに似ていることからこの名前を付けた。約12年前に発売し、今でも同店の看板商品だ。ハードロール系の生地でカスタードクリームを包み、白焼きにしたシンプルな製品で、白焼きパンの程よいひきの強さと、フィリングのカスタードとが好対照をなしている。55グラムの生地をブール型に成型、細い棒で中央にくぼみをつけて発酵後、白焼きにする。カスタードクリームは、焼成後に充填する。

ベルアルプの人気食パン「内麦食パン」(250円)。特に年配の人に人気があるとのこと。【配合%】内麦100、蜂蜜6、フレッシュバター6、塩1・5、イースト非公開、水67〜70【工程】ミキシングL2分MH7分(フレッシュバター投入)MH5分、捏ね上げ温度28〜29度C、発酵28度C60分パンチ後10分、分割230グラム×6、ホイロ37度C78%50分、焼成190度C50分。

店先の棚(入り口に向かって左側)に並ぶのは、ラスク(120円)やガーリックトースト(100円)、ケーキドーナツ(240円)など。すべてビニールの袋に入れて陳列。地引代表は「ラスクやガーリックトーストは、回転が速いので、外に置きやすい」という。地蔵通り商店街を歩いている人の目をひきつける意味がある。後ろには、看板商品の「赤ちゃんのおしり」や「キャベツドーナツ」「天然酵母パン」の説明書きが見える。

入り口に向かって右側の台には、クランベリー・ノアやごまパンなどが並ぶ。この台には、同店の定番商品をサンプル的に並べ、刺抜き地蔵に観光に来た人などに、同店のことを知ってもらうことが目的だという。後ろには、同店を代表するパンのプロフィールが書かれたリーフレットが置いてある。「初めてウチの前を通りかかった人が、1人でもウチのパンに興味を持ってくれれば、と思って置いています」と地引代表はいう。

子供たちには、ピカチュウなどのキャラクターパンが人気。地引代表は、アトピーの子供のために、卵や牛乳の入っていないキャラクターパンも作る。1人のアトピーの子供だけのために作ることもある。地引代表は「キャラクターパンが食べたくても食べられない子供が、目を輝かせてはしゃぐのを見ると、もう嬉しくなってしまいます」と目を輝かせる。こうした中から顧客との信頼関係が生まれる。キャラクターパンは、日替わりでいろいろなものを作る。「新しいキャラクターパンを作る時は、女性従業員に教わったりして作るのですが、それを棚に並べておくと、子供たちが『ここがちょっと違う』などといって、そのキャラクターの絵を持ってきてくれるんです。嬉しいですね」と地引代表。

店先には、女性従業員が用意したピカチュウのぬいぐるみも。来店した子供たちは、大喜びだ。



原価計算女王
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