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| 連載/2024年9月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| パン酵母について、その種類ごとの役割を考える - 竹谷先生!教えてください(1) | |
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質問 ドライイーストの死滅酵母には何らかの効果があるのでしょうか。先日テレビで、「甘エビは死んだ後に酵素が自己消化を行いグリシンに変わって甘くなり、魚は同じように自己消化が行われ、イノシン酸に変わることで旨みが出る」と紹介されていました。同じようなことが起こるのでしょうか。それとも何も起こらないのでしょうか。
竹谷 とても良い質問です。ドライイーストは乾燥工程で、4〜15%の死滅酵母が出来ると言われています。酵母が死滅しますと、酵母体内のグルタチオンが体外に溶出し、還元作用を生地に与え、生地を緩めると同時に独特の旨味をパンに与えてくれます。 千葉のあるパン屋さんは、パン酵母(生)を溶かした溶液に塩を加え、少し放置した後に生地に加えることで、パン酵母(生)から溶出するグルタチオンを製パンに利用しています。 質問 パン酵母(生)、ドライイースト、インスタントドライイースト、セミドライイーストはどのように使い分ければいいでしょうか。 竹谷 パン酵母(生)を基準としてご説明いたします。ドライイーストはそもそも、僻地、戦場などの物流の悪いところに供給するために開発されたものです。日本のパン酵母(生)は高糖用酵母として作られており、無糖生地には向きません。その為、フランスパンにはドライイーストが使われています。 その後、インスタントドライイーストが開発され、ドライイーストに必要な前処理(38〜40度Cの温水に若干の砂糖を加え15分ほど放置する処理)の必要がなく、直接パン生地に加えることができるようになりました。但し、15度C以下の水、生地に触れると発酵力が阻害されるので、注意が必要です。インスタントドライイーストには、乾燥工程での死滅酵母の減少と、保存期間の延長を目的に、ビタミンCがキロ当たり2500〜3500ミリグラム添加されていることにも注意が必要です。 最近開発されたのがセミドライイーストです。セミドライイーストは冷凍で流通し、冷凍保存が可能で、冷たい生地にも加えることが出来ます。ビタミンCは添加されていません。 質問 フランスパンにはドライイースト、ドイツパンにはパン酵母(生)が使われていることが多い気がするのですが、どういった理由なのでしょうか。 竹谷 本当に良い質問です。フランスパンにドライイーストを加えるのは、ドライイーストが無糖生地用であるためですが、この理由ならドイツパンにもドライイーストを使うのが妥当と考えます。しかし、多くのドイツパンにはパン酵母(生)が使われています。これはドライイーストは初期発酵が遅い傾向があるためです。ご存知のようにドイツパンは仕込んで5〜15分後には分割工程に入り、ほとんど発酵時間が有りません。その為、次善の策として、初期発酵力が比較的強いパン酵母(生)を使っています。 質問 自家製発酵種には、高糖生地向け、低糖生地向けはないのでしょうか。 竹谷 有ります。これはあくまで私見ですが、自家培養するときに無糖環境で培養すると無糖生地向けになりますが、私のように、25%加糖の培養液を使うと、高糖生地にも活性の高い自家製酵母が作れます。 質問 サンフランシスコサワー種が日本では起こしえないのはなぜなのでしょうか。 竹谷 サンフランシスコサワー種の乳酸菌は独特の性質を持っており、日本には自生していません。ですから、菌株をサンフランシスコから買い付けると、サンフランシスコサワー種を日本で培養することが可能だと考えます。 質問 パン酵母(生)、ドライイースト、インスタントドライイースト、セミドライイーストは利便性を考えて順番に開発されてきたのですね。ドライイースト、インスタントドライイースト、セミドライイーストはどれを使っても最終的なパンの仕上がりにそれほど違いはないと考えてよいでしょうか。 竹谷 最終的には違いはないと思います。しかし、使う場面と効果は違います。 インスタントドライイーストは、赤にも金にも、ビタミンCがキロ当たり2500〜3500ミリグラム添加されていますから、その効果が明らかにパンに出ます。ドライイースト、セミドライイーストにはビタミンCは添加されていません。 インスタントドライイーストは直接15度C以下の水、生地に触れると活性を落としますが、セミドライイーストはその心配は有りません。 |

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この企画は、リテールベーカリーの活性化のための活動を行うアルバネット(竹谷氏が主宰)が行っているオンラインセミナーで、竹谷氏が受講者らからの質問に答えた内容をお伝えするものです。同時に読者の皆様からの質問にもお答えしますので、普段のお仕事の中で疑問に思っていることがありましたら是非ご質問ください。
竹谷光司 1948年北海道生まれ。北海道大学卒業後、山崎製パンに入社。1974年に日清製粉に入社。1986年、ベーカリーフォーラムを設立し、日本のベーカリー発展に貢献。著書の「新しい製パン基礎知識」は、パン職人のバイブルとされる。2010年に「美味しいパンの研究工房・つむぎ」を開店。 |


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