ふるさと納税の返礼品としてのパン - ブランスリー電子版

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特集/2024年9月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


ふるさと納税の返礼品としてのパン

 今回の特集は「ふるさと納税の返礼品としてのパン」にスポットを当てた。ふるさと納税は、納税者が自分の納税地以外の都道府県や市区町村に寄付をする制度だが、多くの場合、寄付額から2000円を引いた額が、納税地での合計の納税額から控除されるので、基本的に実質2000円の負担で自分が応援したい自治体に寄付ができる。返礼品の価値が2000円を超えれば、2000円の負担も相殺され、2000円を超えた部分の価値は無料で享受できることになるため、ふるさと納税の寄付額は一貫して増加傾向にある。
 返礼品は、各自治体がその自治体内の事業者から仕入れるが、多くの場合、自治体が返礼品提供事業者の募集を行っている。返礼品提供事業者に選ばれると、「さとふる」や「楽天ふるさと納税」などの大手サイトに掲載されるので、大きなPR効果も期待できる。
 今回取材したベーカリーが提供する返礼品の自治体への納品額は、それなりに多く、売上の柱の一つになっているようだ。



冷凍ストックしやすいパン - パンストック箱崎本店(福岡県福岡市)
「パンストック箱崎本店」の店内の様子
「定番パンストックセット(おまかせ11種類各1個)」に入っている商品
オーナーシェフの平山哲生さん
販売担当の深田美恵子さんに聞く

日持ちするパンをセレクトする

──ふるさと納税の返礼品を提供する事になった経緯について教えて下さい。
 深田 通販はコロナ禍に入ってから始めたのですが、当初は、事業者が自ら応募して、自分の商品をふるさと納税の返礼品として採用してもらうことができることを知りませんでした。しかし、通販を始めてほどなくして、福岡市から、私どもの商品をふるさと納税の返礼品として採用したいというお話があり、返礼品提供事業者になることが出来ました。オーナーの平山はもちろん、私どもスタッフも、大変喜びましたね。
──現在ふるさと納税の返礼品として出している「定番パンストックセット(おまかせ11種類各1個)」はどのような商品ですか。
 深田 当店で提供する定番のパンをハード系の食事パンからソフトな菓子パンまで11種類そろえたものです。11種類のうち2種類は、当店がその都度選ぶ食パンで、あとは「19世紀バゲット」「くるみとレーズンのルヴァン」「クランベリー・プルーン・カレンツのルヴァン」「カカオドショコラ」「アールグレイとホワイトチョコレート」「ドイツロール」「ジャぱんロール」「オーガニックゴマロール」「食物繊維」が一つずつ入っています。
──アピールのポイントは。
 深田
 当店のパンは高加水で保湿性の高い生地を低温で長時間発酵させたものなので、冷凍で日持ちさせるのに向いているのですが、返礼品のパンはその中でも特に日持ちしやすいものを選んでいます。商品は冷蔵発送ですが、届いたら冷凍保存して、ちょっとずつ食べて頂ければと思っています。
 また、国産小麦を中心に、体に優しい安心安全な素材のみを配合した生地を低温で長時間じっくり発酵させています。当店は、オーナーシェフである平山自身がアレルギー体質だったこともあり、子供にも安心して食べさせられる体に優しいパン作りを行う事を基本にしています。
──返礼品は年間どれくらい注文があるのでしょうか。
 深田
 コロナ禍が落ち着いてからは店頭の売り上げが戻り通販自体は多少縮小気味ですが、ふるさと納税の返礼品はいまだに需要が多く、2023年の1年間で約3500件の注文がありました。今では通販全体の半分以上がふるさと納税の売り上げです。
──返礼品への反響についてはどう捉えていますか。
 深田
 ふるさと納税だと、普通の通販よりも気軽に申し込めるらしく、「遠方に住んでいて買いに行けなかったけど、返礼品を通じて食べる機会ができて嬉しい」「店の事は知らなかったけど、食べてみておいしくて驚いた」などという声を頂きます。遠方から福岡へ旅行に来られた方の中に旅行プランに当店に来る予定をわざわざ入れてくれた方もいました。日本各地で当店の事を知ってもらい、パンを食べてもらえるようになるのは嬉しいですね。
──ふるさと納税の返礼品を提供することを通じて、ふるさとである福岡市に対してどのようなお気持ちをお持ちですか。
 深田
 私たちがパン作りを続けることで、長年お世話になっている福岡市に貢献できることは非常に意義深いと感じています。この町のパン屋として、今後もお客様の期待に応え続けていきたいと思います。
 当店では、国産小麦をできる限り使用しており、その中でも九州産の小麦を積極的に取り入れています。さらに、当店の看板商品である「明太フランス」に使用している明太子は、福岡市に隣接する粕屋町の事業者から特注で取り寄せた、添加物を極力控えたものです。
 また、明太子は福岡の特産品で、これを使用した明太フランスは福岡を中心に人気を集め、今では全国的にも広く親しまれる惣菜パンとなりました。当店がオープンした14年前にはまだ珍しい商品でしたが、バゲットを多くの人においしく楽しんでもらうため、この商品を主力として育ててきました。商品の特性上、返礼品として提供することはできませんが、機会があれば遠方の方にもぜひ一度お試しいただきたいと思っています。。
──返礼品の生産にかかる労力と、そこから得られる売り上げのバランスは取れていますか。
 深田
 はい。現在はオペレーションの都合上、返礼品については、一度に大量に生産しやすい商品を中心にしているため、その点に問題はありません。

複雑な旨味のあるパンを作る

 「パンストック箱崎店」は2010年にオープン。オーナーシェフである平山哲生さんの「冷凍ストックしてもおいしいパンを提供したい」との思いから、冷凍保存しやすい高加水で低温長時間熟成をさせたパンを多く揃えている。
 国産小麦を中心に安心して食べられる素材のみを使い、時間をかけてゆっくり発酵させながら複雑な旨味のあるパンを作り上げている。バゲットをなんとか食べてもらおうと、添加物を極力抑えた福岡県産の明太子を使って開発した「明太フランス」が看板商品。フランスのベーカリーや福岡の「パン・ナガタ」などの有名店で修業した平山さんの確かな技術に対する評価は高く、同店の知名度は今や全国規模となっている。2019年には2号店の天神店をオープン。

SHOP DATA
店名:パンストック箱崎本店
住所:〒812-0053 福岡県福岡市東区箱崎6丁目7−6
店名:092−631−5007
営業時間:午前10時〜午後6時
定休日:月曜、第1火曜、3火曜
店名:約100品目
スタッフ:製造常時10人、販売常時7人
店舗面積:売場16坪、厨房14坪
日商:平日90万円、土日祝日110万円



浅草で長く愛されるパン - ペリカン本店(東京・台東区)
年季を感じさせる木製の番中は長く「ペリカン」のパンを運び続けている
東京・台東区の老舗ベーカリー「ペリカン本店」
スタッフが返礼品用の食パンを取り出す様子
「ペリカン」のふるさと納税返礼品の中味
専務取締役で4代目店長の渡邊陸さんに聞く

地元の活性化に貢献していきたい

ー──ふるさと納税の返礼品を提供する事になった経緯について教えて下さい。
 渡邊
 台東区は飲食店が多く、大きくは上野と浅草に分かれている感じですが、当店は所在地も商圏も浅草のほうに属します。浅草は家族で2代、3代と続く事業者が多く、町会や法人会が活発に運営されています。そんな中で経営者同士が強く繋がっています。
 ふるさと納税については、今から3年ほど前に同業者の方々から話を聞きました。「返礼品を提供したくて申請した」というお店の話を多く耳にするようになり、当店も申請することにしました。
 浅草には「今半」さんや「亀十」さんなど、観光客の心を惹きつける魅力的なお店が多数あります。そのような場所で長く商売をさせていただけることに、とても感謝しています。
──現在ふるさと納税の返礼品として提供している「浅草の老舗パン屋、ペリカンのパン」はどのような商品ですか。
 渡邊
 「ごはんのように毎日食べられるパン」をモットーに、浅草で長く販売している食パンとロールパンのセットをお届けしています。「食パン」(1斤約400グラムと1・5斤約600g)、「中ロール」(5個入り約300g)、「小ロール」(10個入り約400g)が1箱に入っています。
──返礼品は年間どれくらい注文がありますか。
 渡邊
 1セットのみのラインナップですが、年間1500件くらいありますね。
──どのような方が注文していて、どのような反響がありますか。
 渡邊
 「今までペリカンのパンを買ってみたかったけれど、なかなか予約が取れなかった」「遠方に住んでいてなかなか買いに行けなかった」という方からの申し込みが多く、「初めて食べたけどおいしくて嬉しかった」「家族で一緒に食べられて良かった」などという声を聞くと、とても嬉しく思います。多くの方に食べていただけることは本当に嬉しいですし、それがこの街の活性化につながるのであれば、やって良かったと感じますね。
──ふるさと納税の返礼品を提供することを通じて、ふるさとである台東区に対してどのようなお気持ちをお持ちですか。
 渡邊
 最近は、インバウンド需要が戻り、観光客も増えて、浅草や上野がこれまでとは違った形で注目を集めるようになっています。街の活性化自体は良いことだと思いますし、そのために財源が必要であれば、微力ながら台東区に貢献していきたいと考えています。
──返礼品の生産にかかる労力と、そこから得られる売り上げのバランスは取れていますか。
 渡邊
 もともと、オンラインで食パンのみを常温発送する宅配サービスを行っていたので、ふるさと納税の取り組みも気軽に始めました。ただし、ふるさと納税に関する事務処理や、送り状や箱詰めの作業には手間がかかるため、ラインナップは1アイテムに絞っています。
 商品は焼きたての状態で常温発送するため、翌日中に届けられる地域に限定して注文を受け付けています。多くの店がパンの返礼品を冷凍で送っていると思いますが、当店では1斤や1・5斤の食パンとロールパンのみを取り扱っており、食パンをスライスしてから冷凍する工程を追加すると、全体の作業フローに組み込みにくく、大きな負担がかかってしまいます。
 そのため、当店ではなるべく早く常温で発送し、製造日から3日以内に食べていただくか、届いたらすぐに冷凍していただくようお願いしています。焼きたての状態を保つため、通常のオンライン販売でもスライスした食パンの発送は承っていません。

1942年創業の老舗ベーカリー

 「ペリカン」は、東京・浅草で1942年に創業した老舗ベーカリー。戦後、浅草界隈で多数パン屋が生まれる中、「他の店と競合したくない」という2代目店主、渡辺多夫氏の考えから、販売するパンをあえて食パンとロールパンのみに絞った。以降70年以上「創業当時からの変わらない味」「シンプルで毎日のご飯のように食べても飽きのこない味」をモットーに、このスタイルでの販売を続けている。
 1日400人以上が来店し、ほとんどの客が予約してから来店。食パンは1日400〜500本、ロールパンは1日約4000個売り上げる。家族2代3代にわたって、何十年も通う近隣の常連客もいる。熟練された職人の手によって作られるパンに対する評価は高く、全国的にも有名なベーカリーだ。

SHOP DATA
店名:ペリカン本店
住所:〒111‐0042 東京都台東区寿4‐7‐4
電話:03‐3841‐4686
営業時間:午前8時〜午後5時(電話での注文受付は午後3時30分まで)
定休日:日曜
品揃え:食パンとロールパン10品目
スタッフ:製造常時6人、販売常時5人
店舗面積:売場19坪、厨房19坪



親子で楽しめるパンセット - OLEA(栃木県小山市)
代表の笠井麻衣さん
「OLEAのふるさと納税返礼品の「【国産小麦】無添加生地で作るバラエティーやさしいパンセット(20個以上)」
「OLEA」の店内売り場の様子
「OLEA」の外観
代表の笠井麻衣さんに聞く

小山市の魅力を全国に伝えたい

──ふるさと納税の返礼品を提供することになった経緯について教えてください。
 笠井
 当店は、もともと子育て世代の親子が寛げる場所を提供したいという思いから始めたベーカリーカフェで、添加物が少なく、形も可愛らしい、子供が食べやすいパンを多く販売してきました。そんな中、お客様から「商品を冷凍で送って欲しい」という要望があり、その声にお応えするうちに、冷凍パンの通販を始めることとなり、現在では冷凍通販サイトを通じて広く販売しています。
 その頃、イベントなどで以前から交流があった小山市役所の担当者から、返礼品として商品を提供してほしいとの依頼を受け、冷凍パンのセット商品を返礼品として提供することに決定しました。私たちは、自分たちの住む小山市のPRに貢献したいという強い思いがありました。
──笠井さんにとって、小山市はどのような町でしょうか。新幹線で東京へ短時間で行けるため、都心への通勤が可能で、最近では若い世代の居住地として注目を集め、人口が増加していると聞いています。また、地方ならではの自然や広々とした土地があり、住みやすい場所としても評価されています。
 笠井
 そうですね。小山市には、様々な特産品があり、自然や歴史、文化遺産も豊富ですが、全国的にはあまり知られていません。町の利便性から人口は増えてきていますが、町そのものの魅力のPRはまだ十分ではないと感じています。そこで、返礼品を通じて全国の皆さんに小山市にもっと興味を持っていただければと考えていました。
──現在ふるさと納税の返礼品として出している「【国産小麦】無添加生地で作るバラエティーやさしいパンセット(20個以上)」はどのような商品か教えてください。
 笠井
 当店で人気の「くま食パン」「ねこ食パン」「牛肉カレーパン」や、動物の顔をかたどった「ミニパン」など、お子さんが喜ぶ、形が可愛らしくバラエティー豊かなパンを中心に揃えています。子供向けでありながら、家族全員で楽しめる商品でもあるので、家族の会話が増えるきっかけとなり、特に子育て世代の方々に喜んでいただけると思っています。
──返礼品は年間どれくらい注文があるのでしょうか。
 笠井
 昨年1年間で、合計1188件の注文を受けました。注文は4月から8月頃までは少ないのですが、9月から翌年3月にかけて集中して増加し、この期間は毎月平均で約150箱の注文があります。。
──返礼品の生産にかかる労力と、そこから得られる売り上げのバランスは取れていますか。
 笠井
 当店の場合、客層に子育て世代のお母さんが多いので、午前10時〜午後1時にかけて来客が集中します。そのため午前中は店頭商品のパンを作り、来客が落ち着く午後2時頃からふるさと納税のパンを焼くという流れができています。ふるさと納税の返礼品のパンは、その生産に労力はかかっても、年間420万円位の売り上げがあることを考えると、労力に見合った成果は十分にあり、経営面で大きく貢献していると感じています。
──返礼品への反響はいかがでしょうか。
 笠井
 遠方の神奈川県に住んでいる方が「返礼品のパンがおいしかった」と、わざわざ買いに来てくれたことがありました。嬉しかったですね。また、他県のパン屋さんが当店に興味を持ってくれて、ふるさと納税で寄付をする際に、当店の返礼品を選んでくれた事もありました。
 この10年で共働き世帯が増え、働くママも多くなりました。それに伴い、冷凍食品の品質の高さが再評価されるようになってきました。特に冷凍パンは、忙しいママにとって使い勝手が良く、毎日の食事やおやつに手軽に取り入れられる点が魅力です。返礼品を通じて、日常にちょっとした喜びと楽しみをお届けできればと思っています。

子供たちが喜んで遊べる場所を提供

 「OLEA」は、自身の子育て経験を活かして、主に小さい子供とその親が一緒に楽しめる場所を作ろうと、栃木県小山市在住の笠井麻衣さんが、同市に2018年にオープンしたベーカリーカフェ。国産小麦を100%使用した無添加生地で焼き上げたパンは、人気の「くま食パン」や「おむすびパン」、動物の顔をかたどった「ミニパン」など、可愛らしい製品が多く揃っている。これらのパンは、子供が喜んで食べるだけでなく、安心して食べられる点でも好評を得ている。
 イートインスペースの奥には広いキッズスペースがあり、おむつ交換台や授乳室なども設置。さらに店の裏手にある人工芝を整備して作った広場「OLEA PARK」には、様々な遊具も揃っている。

SHOP DATA
店名:OLEA(オレア)
住所:〒329-0201栃木県小山市粟宮684−1
電話:0285−32−6730
営業時間:午前10時〜午後4時
定休日:月曜、火曜
品揃え:約40品目
スタッフ:製造常時2人、販売常時3人
店舗面積:厨房11坪、売場13坪、イートインスペース(キッズスペース10席、ソファ10席、テラス6席)など
日商:平日8万円、土日祝日12万円



人口5000人の町のパン屋 - トカトカ道の駅かみしほろ店(北海道 上士幌町)
北海道上士幌町の道の駅内にある「トカトカ道の駅かみしほろ店」の店内風景
ふるさと納税の返礼品として提供している「トカトカのパン満喫セット(16種18個)」
北海道上士幌町にある「道の駅かみしほろ」
店長の鎌田実さんに聞く

2年目の売上が初年度の倍になった

──「トカトカ」の運営会社である片原商店について教えてください。
 鎌田
 片原商店は大正13年に創業して以来、長く上士幌町で地域住民の皆様の食生活を支えてきました。近年は人口約5000人のこの町に欠かせない存在の小売スーパー「Aコープ上士幌店ルピナ」を運営してきました。また2010年から行っているブランド牛「十勝ナイタイ和牛」の販売も主力事業です。
──ベーカリーである「トカトカ」を出店されたのはいつですか。また、「トカトカ」の商品をふるさと納税の返礼品として提供する事になった経緯について教えてください。
 鎌田
 「トカトカ」は2012年にオープンしました。当時、町内にはベーカリーが一軒もなく、町のアンテナショップ的な役割を果たす店を出そうという動きがある中で、住民の要望を受けて当社がベーカリーを開くことになりました。そのため、技術のあるパン職人を探し、まだ道の駅がなかった頃に、まずは国道沿いに出店しました。店では主に十勝産の食の魅力を発信することを目指し、その後、2020年に「道の駅かみしほろ」ができた際にこちらへ移転しました。現在は、道の駅内の本店をはじめ、音更町の「トカトカ木野ハピオ店」、帯広市の「帯広やよい通り店」と、近隣地域に3店舗を運営しています。
 ふるさと納税の提案が町役場からあったのは2年前の2022年でした。その頃にはスタッフも揃い、パンを急速冷凍できる新しい機械を導入することも決まっていたため、良いタイミングだと考え、その提案を受けることにしました。
──現在、上士幌町のふるさと納税の返礼品として提供している「トカトカのパン満喫セット(16種18個)」について教えてください。
 鎌田
 「トカトカ」で一番人気の食パン「トカ食」をはじめ、十勝ナイタイ和牛を入れたカレーパンから、「薄皮つぶあんパン」「黒豆塩バターパン」などの菓子パンまで18種類を詰めたセットです。小麦やバター、生クリーム、チーズなどは、北海道産で、特に十勝産のものをなるべく使用しています。さらに粒あんや黒豆は上士幌町産のもので、好評を得ています。
──年間どれくらい注文を受けていますか。
 鎌田
 まだ始めて2年ですが、この1年間で約2000件の注文がありました。初年度は1000件に満たなかったので、かなり成長してきています。
 小さな町であるため、返礼品を提供することで町に大きく貢献できます。さらに、「トカトカ」の全国的な知名度を上げることにもつながり、大きなやりがいを感じています。また、上士幌町がふるさと納税で得た財源は、町おこしのために活用されています。上士幌町は今年の4月に「消滅可能性自治体」のリストから外れました。
──返礼品の生産にかかる労力と、そこから得られる売り上げのバランスは取れていますか。
 鎌田
 問題はないと感じています。出荷数は週によってバラバラですが、夏は観光客が増えるので店頭の売り上げが増える一方で、オンラインでの「ふるさと納税」の注文は減ります。冬は逆に観光客が減り店頭の売り上げは下がりますが、年末年始を中心に贈答需要が上がるので「ふるさと納税」の注文数が増えます。年間平均でみると「ふるさと納税」の商品にかかる労力は全体の3割位で、売り上げは全体の2〜3割でしょうか。
──ふるさと納税の返礼品には、単発のセットのほか、定期便(サブスク)やロスパンセットもありますね。
 鎌田
 売り上げが一番多いのは単発のセットですが、ロスパンセットも意外と人気で「ふるさと納税」関連の売り上げのうち、4割位がロスパンセットによるものです。店としてもロスパンセットがあることで閉店まで目一杯商品を出せるようになり、助かっています。定期便は単発の商品を頼んで、当店のファンになってくれた方が頼んでくれているようです。
 反響については、1箱にパンがかなり多く入っている事に対する喜びの声が多く、自分達がやってきた事は間違っていなかったと確信しています。上士幌町は自然が豊かで食べ物がおいしい町です。今後も、長く愛される返礼品を育てていきたいですね。

十勝産小麦を使って低温長時間熟成

 「トカトカ道の駅かみしほろ店」は、北海道十勝地方北部の人口約5000人の町、上士幌町の国道沿いに、町で唯一のべーカリーとして2012年にオープン。十勝産小麦を使って低温で長時間熟成させた食パンや北海道産の生クリームやバター、上士幌町産の餡や豆を入れたパンなどの販売で人気を集め、2020年には「道の駅かみしほろ」のオープンと同時に同施設内に移転。近隣地域に2号店と3号店も展開。
 上士幌町は酪農、林業、観光業を主力産業としてきたが、深刻な若年人口の減少で2014年に「消滅可能性自治体」に指定された。しかしその後、無人バスの運行やドローンでの郵便物の配達、認定こども園の無償化などを進めた結果、移住者が増え、今年4月に「消滅可能性自治体」のリストから外された。

SHOP DATA
店名:トカトカ道の駅かみしほろ店
住所:〒080-1408 北海道河東郡上士幌町上士幌東3線227−1
電話:01564−7−7722
営業時間:午前9時〜午後5時
定休日:年末年始
品揃え:約80品目
スタッフ:製造常時8人、販売常時1人

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2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

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