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| 特集/2024年6月号 |
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店内の億に向かって右側には16席のイートインスペースがあり、店の前のテラス席は4席ある。来店客の2〜3割がイートインを利用し、食事後に2〜3品をテイクアウトする人が多い。散歩中の主婦や学生などが多いが、客単価は1200〜1300円位だ。高級ホテルであるパレスホテル東京のショップとは棲み分けした「街のパン屋」として、日常に浸透する毎日食べるパンを提供するベーカリーを目指している。 「あえてホテル名は出さず、新たなブランドを目指しました。ベースは地域密着で、ラインナップも朝のオープンから閉店する夕方6時30分までちょっとずつ変えていきながら、こまめに複数回焼き上げるようにしています」(星シェフ) 店の名前である「エトヌンク(Et Nunc)」はラテン語で、英語では「and now」の意味になる。「今この瞬間」に食べたいと思うものを提供できる店を目指し、朝はクロワッサンや軽めの惣菜パンを提供。一方、昼はイートインでゆっくり食べられるランチメニューやティータイムに合うスイーツパン、夕方はワインに合うオリーヴパンや夕食とも合わせやすいバゲット、もしくは明日の朝に食べるパン ド ミなどの食事パンを多く提供している。 昼のランチメニューとしては現在、「パン オ ルヴァン」に春野菜をたっぷりのせた「春野菜のタルティーヌ」(税込1100円)が好評。店内喫食限定メニューで春野菜の新鮮な味わいを国産小麦のパン生地の旨味とともに堪能できる製品となっている。 酵母は15年、店の構想は3年 同店のパンはすべて星シェフがこれまで約15年かけて個人的に育て上げた自家培養酵母を使用。ルヴァン種やポップ種など4種類のパン種を大切に育ててきたという。 「15年間、少しずつ栄養をあげながら育てました。だからもう自分の子供だと思っています」(星シェフ) 愛情深く今まで育て上げてきた種だが、パレスホテル東京のベーカリーではこの種を使うことはなかった。 「いつかの時のためにと大事に育ててきました」(星シェフ) 種とともに星さんが貯め続けてきた情熱は、3年ほど前、パレスホテルが新たな事業の構想を起こす事になった時から徐々に具体化していく事になる。当時はコロナ禍でホテル事業は縮小を余儀なくされ、会社としては新たに外販事業に力を入れる計画が立ち上がっていたところだった。 「キーとなったのが国産小麦です。日本の食材を積極的に使う事で微力ながら日本を活気づけていきたい、始まりはそんな感じでした」(星シェフ) 同事業を発案したのはパレスホテル事業開発部支配人の菅谷和弘氏だ。菅谷氏が星シェフへ新事業のメニュー開発をして欲しいと懇願、星シェフは快諾した。 その後、星シェフは菅谷氏とともに何日もかけて都内各地のベーカリーを回るなどして、議論を繰り返しながら構想を練っていった。今から2年ほど前の事だ。実際のメニュー開発では、様々な地域の国産小麦を試しながら試作を繰り返した。 「特にバゲットに関しては日本らしいバゲットを目指し、小麦の香りがする『お煎餅』のようなものを目指したのですが、当初はなかなかボリュームが出なかったりして苦労しました。最終的に佐賀県産『さちかおり』を使用する事で、無骨(ぶこつ)ながらボリュームがあるイメージ通りのものを作り上げることができました」(星シェフ) そして「エトヌンク 代官山」は足掛け3年近い構想を経てようやくこの春にオープンした。オープンにあたって何人かの製造要員を社員として採用。その際には、今技術があるかどうかではなく、この世界の本当の面白さをこれから知っていこうという意欲があって、これから伸びていきそうな人を採用したという。 「スタッフもこれからだけど、店もまだこれからです。スタッフには大変な事があっても、それを醍醐味として楽しんでもらえるよう、国産小麦を扱ったり酵母を育てたりする楽しさを伝えていきたいですね。パンを通じて地域のお客様と交流することで、皆にこの店を育ててもらいたいと思っています」(星シェフ) SHOP DATA 店名:エトヌンク 代官山 住所:〒150-0034 東京都渋谷区代官山町20番23号フォレストゲート代官山MAIN棟1階 電話:03−5422−3604 営業時間:午前9時30〜午後6時30分 定休日:なし(年数回、休業日あり) 品揃え:約40品目 スタッフ:製造常時4人、販売常時3〜4人 店舗面積:売場23.4坪(イートイン16席含む)、テラス席4席、厨房10.5坪 | |||||||||||||||||||

| この記事の読みどころ
●国産小麦粉の袋を開ける前のワクワク感は本当にたまらない。
●すべてのパンが美しい曲線を描いた形で作り上げられている。 ●時間帯ごとに客が食べたいと思われるパンをこまめに焼いて提供。 ●日本の食材を積極的に使う事で微力ながら日本を活気づけていきたいと考えたのが事の始まり。 |


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