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| 連載/2024年5月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| キーワードは「減産増益」。この原則を押さえれば、パン業界の未来は明るい! - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(83) | |
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今回の特集は「原材料高騰と原価管理」のテーマで取材しました。小麦粉や油脂、チョコレート、ナッツ類など、ベーカリーで使う原材料の高騰が続き、値上げの実施や、使用する製パン材料の見直しなど、様々な施策を実施し、何とか利益を確保しようと、奮闘努力する姿が浮かび上がってきました。
原材料高騰が続く中では、否が応でも価格の設定や、原価と利益の管理などにシビアに取り組まざるを得ません。大変なことではありますが、そんな状況だからこそ見えてくるものがあるのも事実です。 今回取材させて頂いたベーカリーのひとつ、千葉県松戸市の有名ベーカリー「ツオップ」で、原価管理や価格戦略立案などの責任者を務める上田怜専務の「従業員の労働負担も抑えながら利益を出していこうとすると、理想は『減産増益』なので、まだもう少し値上げをして、販売個数より、利益を上げていきたいですね」というコメントを読んだ時、私の心の中に、雷の閃光のような鋭い光が走りました。あまりにも心に響きすぎて、しばしの間、気を失ったような放心状態に陥りました。 実は、私はずっと前から、同じことに思いを馳せていたのです。パン業界のカリスマパン屋が同じ考えを基本概念に据えて、原材料高騰の厳しい時代を乗り切ろうと努力していたのだと知って、ちょっとした悦に入ってしまいました。 やはり、最も重要なキーワードは、「減産増益」だと私も思うのです。具体的にどいうことかを、わかりやすく説明してみましょう。 今、1個100円のパンAがあって、その原価が3割の30円で、1カ月に2000個売れているとします。パンAに使用している複数の原材料が値上がりして、パンAの原価が36円になったとしましょう。 パンAは今1個100円で月に2000個売れているのですから、月の売上は20万円になり、原価がひとつ30円ですから、粗利は14万円になります。原価が30円から36円になった時、もし、売価を変えなかったらどうなるでしょうか。売価が変わらないので、同じく月2000個売れると考えれば、売上は20万円と変わりませんが、粗利は、14万円から12万8000円に減ります。 今度は、原価率3割を維持するために、売価を1つ120円に値上げした場合を考えてみましょう。この場合、売価が変わるので、どれだけの販売数量があるかは、実際のところ、やってみなければわかりません。 ここで、色々と推察するのが価格戦略を練るという作業になります。価格戦略を練る際に指針となってくれるのが、売価を変えることの目的を決めることです。仮に、前述の「減産増益」を実現する目的で、原価率3割を維持して売価を120円に値上げした場合について考えてみましょう。 売価が100円の時の粗利が14万円ですから、売価を120円にした時の粗利が14万円を超えるためには、1667個売ればいいことになります。つまり、1667個売れば、売上が20万40円で、粗利が14万28円になり、売価が100円だった時の粗利より28円多くなるという算段です。 そして重要なことは、この時に、製造するパンの数が2000個から1667個に減っているということです。これが「減産増益」の意味するところになります。 「パンの値段は安すぎる」という意見に従うとしたら、ツオップが言うところの「減産増益」の原理原則の上に、様々な要素を加味した上で、原価の絶対値を少しずつ上げていって、さらに、より高度な製パン技術を施すなどして、製品の価値を高め、それに見合う価格で根気強く販売し続けることが、解決策のひとつかも知れません。 こうした方向性は、労働環境の改善というパン業界が抱える最も大きな課題のひとつを解決するために極めて重要であることに、異を唱える人は少ないのではないでしょうか。(RO) |



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