製造スタッフの足元まで見えるガラス張りの店 - パン ニア - ブランスリー電子版

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お店拝見/2024年5月号

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製造スタッフの足元まで見えるガラス張りの店 - パン ニア
店主の大宗智成さん
JR中山駅北口からすぐの角地にある「パン ニア」。大きな丸い柱に店名が書いてあり見付けやすい
60〜70種類のパンが並ぶ売り場
入口の扉を開けてまず見えるのは厨房の中の様子
パン生地を計量する様子も売り場から見ることができる
売り場はベビーカーのまま入れるよう広いスペースをとった
外から見て入りやすいと思える店づくり

 神奈川県横浜市のJR横浜線中山駅から徒歩3分、大通りから一本入った通りの角地にある「パン ニア」。3方向から見える店舗の建物の大きな丸い柱には、店名が書かれている。店舗はガラス張りで、売り場だけでなく厨房の中まで、外から見える。
 店に入ると、オーブンや、ラックにずらりと並ぶ焼き上がったばかりのパンなどが見えるなどして、厨房の中の様子が目に飛び込んでくる。売り場のガラスのショーケースには、60〜70種類のパンが並び、その奥には厨房の作業台の上に置かれたパン生地が見える。厨房と売り場を隔てる壁もガラス張りだ。全面ガラス張りで製造スタッフの足元まで見える。
 「厨房の中まで丸ごと、お客様に見てもらえる造りにこだわりました。作業風景をオープンにすることによって、お客様に衛生面の確認をしてもらえ、それが信頼につながっていくと思っています。また、臨場感が出てエンターテインメントの要素もあるかなと思っています」
 こう話すのは、店主の大宗智成さん。大宗さんは専門学校を卒業後、横浜市のホテルのベーカリーに16年間勤めた。その間、複数の製パンコンテストで受賞経験を積んだ。
 「勤めている間は、必ずしも独立したいと思っていた訳ではありません。例えばコンテストで受賞することなど、自分で目標を立てて、それに取り組むということを繰り返していましたね。独立して自分の店を持った場合に限らず、どんな職場に行っても、自分のパンが作れるようになるための準備だと思ってやっていました。次第に自分の周りで独立する人が増えていって、それが独立のきっかけになりました。ベーカリーは体力仕事ですから、年齢のことを考えたら、やるなら今だと、30代後半で決意しました」(大宗さん)
 2020年9月に開業。夏前の開業を予定していたが、準備の最中コロナ禍になり、借入金の申請手続きが遅れたことが影響した。物件探しは場所と建物の大きさや間口の広さなどにこだわりを持ち、時間をかけて行った。
 「周辺の人口推移に将来性があったことや、当時近くに住んでいたので実感としてベーカリーの需要が見込めたこともあり、この辺りに決め打ちして探しました。詳細な立地については、店前の通りが駅利用者などの生活道路であるところが気に入りました」(大宗さん)
 オープンの告知は、一カ月前から店舗に貼り紙をしたのみ。しかし想定以上の良いスタートダッシュが切れた。
 「まずはできるだけ多くの方に食べていただきたいと思っていたので、初日からお並びいただいて嬉しかったですね。リピーターになってもらえるかどうかは、試してもらわない限りわからないですからね」(大宗さん)
 客層は、土曜日は家族連れが多く、平日は幅広い年齢層の客が訪れる。一人で来店する男性も目立つという。また近くに外国人の交流施設があるため、国際色も豊かだ。
 「店内は明るさを第一にデザインしました。壁の色を白にして、木は明るい色調のものを使っています。商品は3段のショーケースに集約することで、お客様が動けるスペースを広く取り、入口にはスロープを付けて、ベビーカーのまま入れるようにしました。外から見て、初めてでも入りやすそうだと思ってもらえるようにしたかったんです」(大宗さん)



総菜系で人気の「豚トロのソシソン」(税込399円)とその断面
コンテストで受賞したレシピをアレンジした「パンドミ NEAR(ニア)」(税込345円)とその断面
ルヴァン使用の生地にセミドライトマトとヘーゼルナッツを入れた「ルヴァン トマト」(左、税込356円)とその断面
さくさくと軽い食感の「クロワッサン」(税込248円)とその断面
客との心理的な距離が近い店にしていきたい

 開業から3年半経った現在、人気上位の商品は「パンドミ NEAR(ニア)」(税込345円)、「クロワッサン」(税込248円)、「豚トロのソシソン」(税込399円)、「メロンパン」(税込216円)、「クリームパン」(税込221円)など。
 「パンドミ NEAR(ニア)」は2019年の「ベーカリージャパンカップ」で、大宗さんが受賞した製品をアレンジした角食だ。
 「生地は湯種を入れてポーリッシュ法で仕込み、一晩寝かせています。湯種を使うともっちり感が出て、ポーリッシュ法で仕込むと窯伸びが良くなり、食感の軽さや風味の良さが引き立ちます」(大宗さん)
 「クロワッサン」はバターの風味が豊かで、非常に軽い食感が特徴だ。歯切れがよくサンドイッチにも向き、「チキンとたまごのクロワッサンサンド」(税込367円)や「ペッパーシンケンのクロワッサンサンド」(税込421円)など、毎日日替わりで用意するサンドイッチにも使用する。
 「駅近で近所に複数のコンビニがありますので、たまごやカツなどが入った三角サンドは間に合っているかと思い、サンドイッチのパンは、クロワッサンやバゲットを使って、当店でしか手に入らない商品を作るようにしています」(大宗さん)
 製造は大宗さん一人で行っており、妻の博美さんは販売を担当している。物件探しの時も、夫婦二人で営業できる規模の店を想定していた。
 「結果的に販売は、対面式を採用することになったので、妻だけでは人手が足りず、常に2〜3人体制を取るようになりましたが、製造は今後も自分一人でやっていく予定です。たまごやチーズを具にしたパンをリクエストされたり、自分自身も色々なパンを作りたいという気持ちもあって、種類は増えてきています。焼き菓子などは、近所においしいケーキ店がありますからね」(大宗さん)
 作って欲しいパンだけでなく、抜いて欲しい食材のリクエストを受けることもあるという。
 「抜いてほしい食材のリクエストで多いのは、『チーズベーコンエピ』(税込324円)のブラックペッパーとか、マスタードなどです。お子さん用に、辛味のある食材を抜いて欲しいということですね。事前に言っていただければ、カスタマイズ商品としてご用意するようにしています」(大宗さん)
 ホテル勤務中は厨房とショップが別フロアだったため、客との交流がなかった。今の店では、客がすぐ近くに見え、客からも店のスタッフがすく近くに見える。
 「お客様に当店の存在を近くに感じていただけるようにという思いを込めて店名に『NEAR』を付けました。様々な要望を気軽に言ってもらえる店にしていきたいですね」(大宗さん)

店名:パン ニア
住所:〒226‐0019 神奈川県横浜市緑区中山1‐9‐1
電話:045‐482‐9402
営業時間:午前9時30分〜午後6時
定休日:日曜、木曜
品揃え:60〜70品目
スタッフ:製造常時1人、販売常時2〜3人
店舗面積:売り場約6坪、厨房約7坪
日商:平日約15万円、土曜約20万円



この記事の読みどころ

●店舗はガラス張りで、売り場だけでなく厨房の中まで、外から見える。
●ベーカリーは体力仕事なので、年齢のことを考えたら、やるなら今だと、30代後半で独立を決意。
●オープンの告知は、一カ月前から店舗に貼り紙をしたのみ。
●近所においしいケーキ店があるので、菓子類は作らない。





原価計算女王
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