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| 連載/2024年3月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 世の中の価値観はめまぐるしく変わる。昨日の常識は今日の非常識 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(81) | |
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昨年末に発売された週刊文春で、お笑い芸人の松本人志氏の性加害疑惑が報じられ、大きな話題になりました。既婚の男性が不特定多数の女性といわゆるコンパのような飲み会に参加することを常とすることについては、私はいかがなものかと思いますが、その中に違法な言動がいっさいないのであれば、基本的には本人の責任において自由ということになるのではないかと思います。
昭和の時代に青春時代を過ごした私には、芸人には破天荒な私生活が付きもので、逆に破天荒な私生活を過ごしていなければ芸人ではない、といった認識があったのも事実です。自分の中に確固たる根拠がないまま、「そんなものだろう」と妙に納得してしまっていたような気がします。 しかし、世の中の価値観はめまぐるしく変わります。そして、その変化のスピ―ドは、時代が進めば進むほど早くなっていきます。 昭和の時代に世の中が許していたことで、今は決して許されなくったことは、数えたら切りがありません。 私の頭にまず思い浮かぶのは、喫煙についての世の中の価値観です。私が二十歳代の頃は、成人男性の8割以上は喫煙をしていたのではないでしょうか。当時は、喫煙が広く社会に受け入れられ、職場や公共の場でも喫煙が一般的でした。たまに、YouTubeで当時放送されたテレビのトーク番組などを観ると、ゲストが話しながらタバコを吸っている場面をよく見かけますが、今では絶対にあり得ないことです。 性的マイノリティーの人など社会の少数派の人達に対する理解も、私が二十歳代の頃と比べると格段に深まりました。最近は「LGBTQ+」などをテーマにしたテレビ番組も多くなっています。昭和の時代は、社会の中に少数派の人達がいて、理解を得られずに悩んでいる事すら知らない無知な人たちが多かったように思います。 もっと深刻だったのは、あの悪名高き優生保護法です。この法律は、遺伝性障害を持つ人やハンセン病の人に対する強制不妊手術や中絶手術を実施するための根拠法として地方自治体などに用いられ、身体的、精神的障害を持つ人々に対する合法的な差別を生み出しました。この悪法は1996年まで存続していたといいますから驚きです。少し前までは、日本は野蛮な国だったのでしょうか。 このように考えてくると、世の中の主流派以外の人達の権利が少しずつ認められてきた過程で、世の中の価値観も変わってきたと言えるでしょう。私が物心ついてから今までのことを振り返ってみると、しみじみとそう思います。 これまで書いてきたことの文脈の中で、最近少し気になっていることがあります。それはパワーハラスメントの問題です。 昭和の時代の高度経済成長の過程で、大きく成長した企業は、社長を頂点とする数多くのリーダーを必要としました。企業全体がひとつの大きな組織ですが、その中には、部や課があり、それらひとつひとつも組織です。社長は企業全体のリーダーですが、部長は部のリーダーで、課長は課のリーダーです。 人は皆、性格が異なるので、色々なタイプのリーダーがいたと思いますが、当時もてはやされたリーダー像の一つが、人を従わせる威圧感があって、常に上からの物言いで、その存在感が場の緊張感を高めるといったタイプの人物だったように思います。 そのようなタイプの人間は一定の確率で、パン業界を含む社会のあちこちに存在しますが、様々な組織のリーダーに抜擢され、または自らがリーダーとして会社を率い、その能力をいかんなく発揮することで、日本の発展に多大なる貢献をしました。しかしその陰で、そうしたリーダー達が醸し出す威圧感や極度の緊張感に、どれだけ多くの人が悩み苦しんできたかに思いを馳せるとき、私の心は限りなくざわつきます。(RO) |




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