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| 連載/2024年2月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 個性的であることは、商圏内の多くの人を固定客にするための大きな力になる - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(80) | |
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先月号と今月号の2回にわたって「個性派ベーカリーの凄さ」のテーマで何軒かのパン屋さんを取材しました。「個性派ベーカリー」という言葉からは、独自性や創造性があって、既存の方法論にはとらわれず、独自のスタイルで店の運営を行うベーカリー像が思い浮かびます。しかも、そのスタイルが、かなり際立って見えるというイメージがあります。これは、店や商品の外見や、オーナーシェフの考え方や行動などに大きなインパクトがある場合が多いことに由来します。
ベーカリーを立ち上げて軌道に乗せ、繁盛させようと思ったら、一定数以上の固定客を作らなければなりません。それでは、商圏内の人達が固定客と呼べる状態になるまでには、どんな過程を辿るのでしょうか。 まず最初に、ベーカリーの存在を知ってもらい、その名前を覚えてもらわなくてはなりません。そして、その次に、店に来てもらわなくてはなりません。店の存在を知り、店名を覚えた人達の中から、できるだけ多くの人に店に来てもらうために必要なことは何でしょうか。 それはおそらく、「面白そうな店」としてその存在と名前を知ってもらうことでしょう。商圏内の人達が「つまらなそうな店」としてその存在と名前を知ることとなれば、その人達の中から多くの人が来店するとは考えられません。 それでは、来店してくれた客に、再度来店してもらうにはどうしたらいいでしょうか。そのためには、店での体験と、パンを持ち帰って食べた時の体験を、その客にとって好ましいものにしなくてはなりません。それには、パンの見た目と味のほかに、店の外観と内観が大きく関わってくるでしょう。店の外観については、ファサードや看板、入り口のデザイン、サインボードやメニューボード、ウィンドウディスプレイの洗練度などの要素が関係してくるし、内観については、パンや菓子の陳列方法、壁、床、備品などの色彩やデザイン、照明の当て方、製造スタッフと販売スタッフの服装と言葉遣い、店内に流すBGMなどの要素が関わってきます。こうした数えきれない数の要素が複雑に絡み合って、店全体の雰囲気が醸し出されます。 初回来店時の体験が客にとって好ましいものであれば、その客は再度来店するでしょう。そして、再度来店したときの体験が、初回来店時の体験以上であれば、その客は三度目の来店をすることになります。そして、一定回数以上の来店を繰り返し、その間にネガティブな体験をしなければ、その客は店に対して心を許してくれます。この段階で、店はその客の懐に入ることができたと言えるでしょう。 そして、その客の心の中には、店に対する信頼感が芽生え始めます。さらに来店を重ね、好ましい体験を重ねていくことで、その客の店に対する信頼感は深まっていきます。ここまで来れば、その客はもう固定客です。 「個性派ベーカリーの凄さ」のテーマで何軒かのパン屋さんを取材して思ったのは、商圏内の人達が店の存在と名前を知って、初めて来店し、再来店して、さらに来店を重ね、固定客になっていく過程で、店や商品の外見、オーナーシェフの考え方や行動などに大きなインパクトがあったとすれば、それは大きな援護射撃になるのではないかということです。 人間は、物事を認識して記憶する際に、その事柄が脳に刻まれる時に伴う刺激が強ければ強いほど、その記憶をより深く心に刻み、より長く維持すると言われています。そして、「個性派ベーカリー」で刺激的な体験をした消費者は、自身のSNSで、その体験を多くの人とシェアしたいという欲求を抑えることができません。 因みに、「個性派ベーカリーの凄さ」のテーマで取材した「オー ト ウー」の看板商品「あんぱん」は、黒糖入りの自家製の粒あんの大きな塊を、ハンバーガーバンズの形のブリオッシュを横に切り分けて挟み、「あんぱん」と書いた帯をまとわせた製品で、インパクトの大きさは半端ではありませんでした。 (RO) |




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