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| 特集/2024年2月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 続 個性派ベーカリーの凄さ
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薄井さんは栃木県出身。22歳で地元の小さな工場を構えるベーカリーに入社し、パン業界に入った。 「自分ができる事は何か考えて、とりあえず食べる事が好きなので飲食関係で就職を探したら、パンを作る店で就職の口があって、という感じでしたね」(薄井さん) パン業界に入ったのはたまたまだったが、やっていくうちにパンを作る仕事が段々面白いと思うようになっていった。そもそもパンが膨らむ事自体が不思議で面白かった。 そして4〜5年が経ったのち上京、川崎の某チェーンベーカリーに職を得た。上京前に東京のベーカリーの味を知り刺激を受け、もっと色々なパンを作れるようになりたいと考えた。 「修業を続けながら、色々と食べ歩きもする中で、確かに味が良くて見た目も綺麗なパンを作る店はたくさんあるのですが、みんなそれぞれ何かに影響を受けすぎているなと感じるようになっていきました」(薄井さん) 見ただけで「ああこれはどこで修業した人が作ったパンだなと」とすぐわかってしまうことに、薄井さんはひっかかっていた。 「『おいしくて綺麗だけど、どこか似通っている』パンではなくて、『どこにもないパン』が作れないかと考えるようになりました」(薄井さん) 「どこにもないパン」を売る店を出して、自分の力を試してみたい、そう考えるようになった薄井さんは独立に向けた準備を開始。 最終的にベーカリーの激戦区として知られる横浜元町を開業の地に選び、上京して8年経った2019年11月に同店をオープンした。 パンと具材の両方の品質を重要視 同店のパン生地はほとんどが湯種法で作っている。粉はライ麦のカンパーニュを除いて全てが国産だ。 「国産小麦粉は使い勝手は良くありませんが、独特の香りや挽きたて感がいいですよね。でも挽いた日がちょっとでも違うと水の量が変わったりして、思う通りにはいきません。でも思う通りにはいかないのがパン作りの醍醐味だから楽しいですよね」(薄井さん) 店を開いた当初から、パン生地だけで差を付けようとしたら競争の中で埋もれてしまうと考えていた。 「生地も勿論大切なんですが、店として特徴を出すなら、パンと具材を合わせた組み合わせで看板商品を作っていった方が良いのではと思いました」(薄井さん) 実際、同店は、味、見た目ともにインパクトの強い商品が多い。特にオープン当初は多少、労力や材料費がかかっても皆に店の事を知ってもらうために、今までやった事がない事にも果敢に挑戦していったという。 例えば、粒あんや、「ソーセージぱん」(税込330円)に使用しているソーセージなど、大変でも自家製の方がおいしく作れると判断したものはなるべく自分で作った。 見た目にもこだわった。例えば看板商品の「あんぱん」は、たっぷりの量の粒あんがパックリ開いたハンバーガーバンスの形のパンからはっきり見えるようにした。さらに平仮名で商品名を書いた紙の帯をつけ、誰がどう見てもあんぱんだとわかるようにした。 その一方で、「山椒ぱん」(税込210円)のように、視覚的には何が入っているかがわかりづらく、それほど強くアピールしていない商品が売れる事もあるという。 「『山椒ぱん』は中毒性の高い商品で好きな人は好きなんですね。ただ『辛すぎる』との声を頂く事も多い商品です。山椒の味が辛すぎるからで、もう少し抑えた味でも良いと自分でも思うのですが、このままが好きという人も意外に多いのでやめないで出しています。一応、ポップに『シビレ注意』と注意書きはしています」(薄井さん) 同店には華々しい商品もある一方で、こうしたマニアックな魅力で静かに長く売れる商品もある。店の商品としては表裏一体で、どちらも必要なものという事なのかもしれない。 「本当は自分としては、中毒性の高いマニアックな商品を作っていく方が楽しいのですけどね。ただそうした自分の嗜好を出しすぎると売れないので、ある程度世間の基準に合わせるようにしてきました。程々のところで止めている感じですね」(薄井さん) | |||||||||||||||||||

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SHOP DATA
店名:オー ト ウー 住所:〒231-0861神奈川県横浜市中区元町1‐54リブレ元町2階 電話番号:非公開 営業時間:午前9時〜午後5時 定休日:月曜、火曜 品揃え:50品目 スタッフ:製造常時2人、販売常時1人(平日)、常時2人(土日祝) 店舗面積:総面積12坪 |
| 幼稚園を改装した商業施設でベーカリーカフェを運営 - フロントビレッジダイナー保田店 | |||||||||||||||||||
地域密着型のカフェやベーカリーの店舗展開を進める「フロントビレッジダイナー(front village diner)」は昨年10月、千葉県安房郡鋸南町の道の駅「保田小学校」に隣接する都市交流施設「保田小附属ようちえん」内にベーカリーカフェ「フロントビレッジダイナー保田店」をオープンした。バターや卵を一切使用しないプラントベースのクロワッサンメニューなどが大きな注目を集めている。 同店を運営するのは、飲食店のコンサルティングとプロデュースを主力事業とする「Fun and Pride」。代表を務める前村佳槻さんは「今、観光地では道の駅がひしめき合っている状態です。観光需要を意識した店も、その中で差別化していく必要があると考えています」と話す。 「フロントビレッジダイナー保田店」は、昨年1月に東京・大田区にオープンした都市型店舗のカフェ「フロントビレッジダイナー池上店」に続く同ブランドの2号店だ。観光地型店舗として、廃園になった幼稚園をリノベーションした舞台で、1号店とは異なる需要を取り込んでいくという。 観光客に食の多様性を提供したい 「保田小附属ようちえん」は、廃校後に道の駅となった「保田小学校」にかつて隣接し今は廃園となった鋸南幼稚園をリノベーションして作り上げた施設で、昨年10月にオープンした。 「フロントビレッジダイナー保田店」は同施設のオープンと同時に地域復興のためのプロジェクトに参画する形で同施設内にオープンした。 同店では単体での販売もしているプラントベースのクロワッサンを様々な形で組み合わせたメニューに力を入れているが、観光地であるという特性上、地域グルメとしての展開を強化している。 中でも、クロワッサンに千葉県のブランド豚「林SPFポーク」で作った無添加ベーコンの厚切りステーキを挟んだ「鋸山サンド」や、クロワッサンにオーツミルクをベースに作ったソフトクリームをのせた「クロワッサンソフトクリーム」などは人気で、注目を集めている。 「卵や牛乳などのアレルギーを抱える人の場合、旅行先で自分が食べられるものがなくて辛いという声をよく聞きます。プラントベースフードを出す事で、訪れた人達のなるべく多くの人達が色々なものを食べられるようにし、旅行や観光を楽しんで欲しいと考えました」(前村さん) 「鋸山サンド」は鋸南町の名所である鋸山の切り立った岩肌に似ている厚切りベーコンを挟んだクロワッサンサンドで、プラントベースのクロワッサンならではのあっさりした味と、ベーコンの濃厚さが合わさった絶妙な味が大きな反響を呼んでいる。 「クロワッサンソフトクリーム」も奇抜な見た目も含めて、「スイーツ好き」や「スイーツマニア」の人達の琴線に触れ、徐々に注目度が高まっている。「冷たいクリームパンを食べる時のようなおいしさですが、コーンの部分をクロワッサンにする事でサクサク感も同時に味わえる食感の楽しさも加えました」(前村さん) こうしたクロワッサンメニューを展開する事で、テイクアウトで販売しているクロワッサンラスクの土産需要も高まっている。ラスクは日持ちするのでまとめて多くの量を購入していく客の姿も目立つようになった。 | |||||||||||||||||||
房総・鋸南町の地は自然豊かな場所で、観光地としては首都圏の中でも人気が高い。鋸山は登山やツーリング、キャンプ、グランピングを楽しむ人で賑わう。近隣のゴルフ場へ向かう人も多い。隣接する館山エリアは、サーフィンのメッカで、釣り好きの人も多く訪れる。 「ただ地元住民の人口は減り、過疎化が進んできているので、この辺りにはベーカリーやカフェがあまりありません。当店では『パンがないと味わえないような幸福感』を生み出すメニューを届けたいと思っていて、数少ないベーカリーカフェとしての役割を果たしたいと考えています。パンも単価が高くなってきているとは言え、組み合わせ次第では手頃な価格で魅力的なメニューを提供できると思っています」(前村さん) 同店では、モーニングでもクロワッサンとビーツを使ったポテトサラダなどのメニューを展開。さらに今は房総ならではの海鮮メニューにも着目しているという。 「クラムチャウダーとパンを組み合わせたメニューやアジフライのハンバーガーなどのメニューを今後は取り入れていきたいと考えています。まだ、組み合わせの幅は色々と広げられると思いますね」(前村さん) またクロワッサンもプラントベースだけではなく、発酵バターを使った対極的な商品を出すことで、選択の幅を広げていきたいとも考えている。 それぞれの個性を育てていく 保田小学校は鋸南町で120年以上続いた歴史ある小学校だったが、少子化が続く中で、2014年に廃校。その翌年の2015年に地域活性化の起爆剤として、名前も校舎も残したまま道の駅として生まれ変わった。黒板やロッカー、机と椅子がある教室での宿泊体験が可能で、時間を知らせるチャイムが鳴り、校歌が時折流れる中で、懐かしの給食を味わえる食堂が利用できるというノスタルジックな空間が話題となり、都市部からの観光客を呼び込むことに成功した。日本各地に増加中の道の駅の中でも差別化を果たした例として注目を集めた。 今回、新たにオープンした都市交流施設「保田小附属ようちえん」は、道の駅「保田小学校」へ、駐車場や子育て支援施設を追加する目的で、隣接する附属施設として始動した。園庭の広場を囲む大きな屋根つきの歩道「わっか」がシンボルになっていて、子供たちが遊ぶ姿をゆっくり見守れるキッズスペースや、元職員室を生かしたコワーキングスペースなども用意されている。 飲食店も房総の幸を使ったメニューを展開する食堂など9店が新たに出店していて、「フロントビレッジダイナー保田店」もその中の一つだ。鋸南町が出店する店舗を公募した際に、「独自の形で地域グルメを発信するベーカリーカフェ」として応募し、出店が決まったという。 そのため現在、地域グルメとしては、「鋸山サンド」や「クロワッサンソフトクリーム」のほか、登山や車中旅行中の食事やおやつなどの需要も狙ったクリスピー感溢れるチキンの「ホタチキ」や、鋸山の山頂展望台「地獄のぞき」からヒントを得て、激辛ではなく「地獄をのぞく程度の辛さ」に仕上げた「鋸南ブラック 〜地獄のぞきの麻辣まん〜」なども展開している。 また鋸山の山頂に住む猫たちとクロワッサンをかけ合わせたデザインのキャラクター「クロニャッサン」も店のシンボルとして発信している。 「今後も引き続きベーカリーカフェとして観光地ならではの優位性を生かした店舗運営をしていきたい」と前村さんは意気込んでいる。 都市型や郊外型の店舗と違うのは、SNSでの口コミのスピード感だという。 「SNSでアクティブに情報を発信する層は観光需要の高い店舗への食いつきが早いですね。そうした人達へのアプローチに力を入れ、よりインパクトの強い情報を伝えていきたいと思っています」(前村さん) 「フロントビレッジダイナー」としては、今後は都市型、観光地型の店舗のほか、ベッドタウンなど大規模住宅地の需要に焦点を当てたベーカリーなども展開していく予定だ。 「異なる3つの需要に合わせた店を出すことで、それぞれの個性を育てていきます。その一方で『林SPFポーク』の無添加ベーコンやクラムチャウダーをクロワッサンと組み合わせたメニューなど単体の商品やメニューで引き合いが強いものがあれば共有して、店の魅力にプラスさせていきたいですね」(前村さん) SHOP DATA 店名:フロントビレッジダイナー(front village diner)保田店 住所:〒299‐1902 千葉県安房郡鋸南町保田724 電話:0470‐29‐7665 営業時間:平日は午前9時〜午後5時、土日祝は午前8時〜午後5時 定休日:不定休 品揃え:スタッフ:店舗面積: | ||||||||||||||||
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