興味を持ってもらうための様々な工夫を凝らした商品 - cotton field - ブランスリー電子版

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お店拝見/2024年1月号

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興味を持ってもらうための様々な工夫を凝らした商品 - cotton field
店主の綿野智博さんと妻の奈津子さん
「cotton field」の外観。窓にタペストリーが飾られている
2種類のクリームが入ったキューブ形の「レアチーズ」
「レアチーズ」の断面
メロンゼリー入りスポイトがセットの「果肉入り追いメロンパン」
「果肉入り追いメロンパン」の断面
コンテスト受賞製品が店の人気を後押し

 千葉県北西部に位置する手賀沼からほど近く、大型スーパーや飲食店が立ち並ぶ通りに面した2階建て長屋の一角に、ベーカリー「cotton field(コットンフィールド)」はある。
 外観は、温かみのあるアイボリー色の引き戸の入口が印象的で、窓ガラスにはタペストリーが、通行人の目に入るよう飾られている。日本リアルベーカリー協会(東京・江戸川区、小山光成理事長)が2022年に初開催した「街パングランプリ」の菓子パン部門に出品した3製品が最優秀賞を受賞したことを伝えるものだ。
 「気負わず思い切り挑戦できたのがいい結果に結びついたのかなと思っています。受賞後は、まず周囲に広めることが重要だと思い、何か掲示物を作りたいと考えました。タペストリーならより多くの方の目に入るのではないかと思い、製作したんです。飾ってから1年以上経ちますが未だに『いつも気になっていたんです』と言って初来店してくださる方がいます」
 こう話すのは店主の綿野智博さん。綿野さんは、個人経営やチェーン展開のベーカリーで働いた後、神奈川県川崎市で父親の営むベーカリーを継いだ。しかし住居のある我孫子市から往復4時間以上かかる通勤時間はかなりの負担で、継いでから約7年経った2020年、現在の地に移転オープンした。
 受賞した製品は「レアチーズ」(税込280円)、「果肉入り追いメロンパン」(税込280円)、「黒蜜ホイップあんぱん」(税込310円)の3アイテム。
 「レアチーズ」はキューブ形のパンの中に2種類のクリームを詰めた製品。カスタードクリームと、オーストリア菓子で使われるトッフェンクリームだ。食べると口の中でこれらの2種類のクリームが融合し、まるでレアチーズケーキのような味わいになる。
 「果肉入り追いメロンパン」はドライのメロンとカスタードを包んだメロンパンと、メロン果汁ゼリーを詰めたスポイトのセット。食べるときにパンにスポイトを刺してゼリーを注入するとメロン風味が増す。
 「黒蜜ホイップあんぱん」は、甘味処のあんみつをパンで再現しようと考案。パン生地であんと餅を包み焼き上げた後、黒蜜を混ぜたホイップ、黄な粉、甘納豆をトッピングした。
 受賞後、タペストリーの宣伝効果や地元のニュースサイトへの掲載による認知度の高まりを受け、これら3製品は同店の人気上位を占めるようになった。現在の一番人気は「レアチーズ」だ。
 「『レアチーズ』は元々人気商品でしたが、受賞後多いときは1日100個近く出るほどの人気になりました。イベント出店時もよく売れます。実際レアチーズケーキを入れている訳ではないのに、口の中で2種類のクリームが合わさるとレアチーズケーキを食べているみたいになるという、ちょっと不思議な体験ができる点が喜んでいただけるポイントなのかなと思います」(綿野さん)

新商品のアイデアは妻からもらう

 「新商品は月に1〜2個出すことを目標にしていますが、コンスタントに出していくのは難しいなと思っています。10個試作しても納得いくものにならず、一つも発売までいかないときもありますし」(綿野さん)
 商品開発は製造と販売の両方を担当する妻の奈津子さんの意見が元になることが多いという。
 「商品開発はコンテストの製品のときもそうだったのですが、こういう味のパンがあったらいいよねなどと、最初に妻の発案があり、それを私が具現化していくという流れが多いですね。妻の方がアンテナが広く、食材の組み合わせや見た目など、ヒントになるものを見付けて教えてくれるんですよ」(綿野さん)
 常連客からのリクエストにも、綿野さんは柔軟に対応して商品開発をする。例えば、ホールケーキ用のスポンジ台のような直径18センチのパン。生地は食パン生地を使用している。通常販売はしていないが、注文があれば作るようにしている。
 「お客様ご自身で、フルーツやクリームをトッピングして、まるでデコレーションケーキのように仕上げているみたいです。その写真を見せてくれることもあって、当店もどんな風に仕上げてくれるか楽しみにしているんですよ」(奈津子さん)



甘味処のあんみつをイメージして開発した「黒蜜ホイップあんぱん」
「黒蜜ホイップあんぱん」の断面
丸形でシンプルな見た目の「すごい!!クリームパン」(税込260円)
「すごい!!クリームパン」の断面
「長時間発酵食パン」は、きめが細かくふんわりした食感でくせのない味が特徴だ
「長時間発酵食パン」(税込350円)や総菜系、デニッシュなどが並ぶ陳列棚
ネーミングを重視した商品開発を行う

 同ベーカリーでは、不定期で作るサービス商品も好評だ。
 「名付けて『ボスの気分』で、店長自身がそのとき食べたいから作るという、材料や手間などの制約は設けないで自由に作るパンです。フィリングを一から手作りしたり、ボリュームが多かったり、その日だけだからこそできるものですね。おそらく原価割れかと思うような製品も多く、お客様にとってはかなりお買い得な商品が多いと思います」(奈津子さん)
 商品開発で特に重視しているのはネーミングだ。相応しいと思える商品名が決まるまで、売り場には出さないという。
 「商品が完成しても、名前がなかなか決まらず売り場に出せないということがあるほど、名前は大事にしています。いい名前は、お客様の目に留まって興味を引き付けます。『何だろうこれ』って思ってプライスカードの商品説明文まで読みたくなるような名前がいいですね」(綿野さん)
 「レアチーズ」も、食べるとレアチーズケーキの味になるという意味が込められている。カレーをナンの形のパンにのせて焼き上げた「なすカレー・ナンだ!?」(税込300円)は、見た目をストレートに表現しつつ、ユニークさを持たせている。
 「レジで会計するときにお客様に確認を取る意味で、商品名を読み上げるのですが、そのときにくすっと笑えたらいいなと思っています。来店されたお客様には、笑顔で帰ってもらいたいですから」(奈津子さん)
 「すごい!!クリームパン」(税込260円)は、同店のクリームパン3代目。初代は定番のグローブ形で、それから何回かの改良を経て誕生した商品だ。奈津子さんの「中に空洞があるのがさみしい」という意見から、クリームを包んで焼き上げ後、さらにクリームを注入することで隙間を埋めるようにした。
 「見た目は何の変哲もない丸パンだけど、中身は従来の倍の量のクリームが入っているので、食べたら『すごい!!』って思ってもらえるかなと。見た目とのギャップに驚いてもらえたらいいですね」(奈津子さん)



優しい雰囲気にしたという店内の様子。レジカウンターの奥の扉の向こうが厨房になっている





SHOP DATA
店名:cotton field
住所:〒270−1147 千葉県我孫子市若松170−4
電話:047‐103‐5346
営業時間:午前10時〜午後6時(土日は午前8時から)
定休日:月曜、第1・3火曜
品揃え:約50品目
スタッフ:製造常時1〜2人、販売常時1〜2人
店舗面積:売り場約3坪、厨房約7坪
日商:約8万円

この記事の読みどころ

●コンテストで最優秀賞を受けた商品を効果的にPRするためのタペストリーを制作。
●「レアチーズ」「果肉入り追いメロンパン」など他にはない唯一無二の商品の開発に力を入れる。
●商品が完成しても、名前が決まらず売り場に出せないことがあるほど、商品名は大事にしている。

原価計算女王
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