パイナップルケーキを最前面に打ち出した経営戦略 - GOHOUBI LABO - ブランスリー電子版

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お店拝見/2023年12月号

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パイナップルケーキを最前面に打ち出した経営戦略 - GOHOUBI LABO
店主の畠山浩一さん
高座渋谷駅から徒歩2〜3分の場所にあり、黄色いのぼりが目印の「GOHOUBI LABO(ゴホウビ ラボ)」。歩行者専用道路に面している
店内は、移転前にかしわ台駅構内に設けていた売店の雰囲気に合わせた
「パイナップルケーキ」(税込330円)は単品のほか、セット商品、ラッピング済み商品など様々なものがある。中央は折り紙で作った紙袋入りの商品
「パイナップルケーキ」(税込330円)の断面
パイナップルをイメージした様々なラッピングを施した「パイナップルケーキ」が用意されている
オリジナルのパイナップルケーキを開発

 神奈川県中央部に位置する大和市の小田急江ノ島線・高座渋谷駅西口から2〜3分ほど歩いた商店が立ち並ぶ一角に、オリジナルのパイナップルケーキで知られる「GOHOUBI LABO(ゴホウビ ラボ)」はある。
 「きっかけは台湾土産でもらったパイナップルケーキです。意外なおいしさに感動し、自分でオリジナルを作ってみたいと思いました」
 こう話すのは店主の畠山浩一さん。畠山さんは、ベーカリーチェーンの洋菓子部門や個人経営の店などでパティシエとして約20年働いた後、都内のベーカリーに約7年勤めた経歴がある。
 台湾発祥のパイナップルケーキはパイナップルで作るあんをクッキー生地で包んで焼き上げる菓子で、形は四角のものが多い。同店の「パイナップルケーキ」(税込330円)も見た目は同様に四角だが、味に特徴を持たせた。あんは厳選した生のパイナップルを使い、酸味と甘味のバランスがちょうど良く感じられる味に。周りのクッキー部分は隠し味にチーズを加え、強めに焼き上げ、濃厚な味わいに仕上げる。パティシエとして経験を積んだ畠山さんのセンスが凝縮した製品となっている。
 「試行錯誤して辿り着いた味と製法です。このパイナップルのあんは、水分量がジャムを作るときの半分くらいになるまで、5時間ほど煮詰めて作ります。水分が少ないと仕上がりが硬くなり過ぎてしまい、反対に多いと日持ちしなくなってしまいますので、その加減が難しいですね」(畠山さん)
 「パイナップルケーキ」は専用の袋に、脱酸素剤を同封し、常温で約1カ月日持ちするようにしている。店内の陳列台には、単品と2個セットのほか、「パイナップルケーキ」との相性がいいオリジナルブレンドコーヒー付きの「ティータイムセット」(税込1100円)、4個入りや6個入りの箱詰めなどを用意し、用途に合わせて選べるようにしている。中でも目を引くのは、柄が一つひとつ異なる取っ手付きの紙袋でラッピングした一個入りの商品だ。
 「ラッピングの紙袋は折り紙でできていて、近所の方がご厚意で作ってくれるんですよ。一個入りですし、ラッピングのあるなしで値段は変わりませんので、手土産だけでなく自分へのご褒美にしたりして、その時々の気分で選んでもらえたらと思っています」(畠山さん)

パンを一緒に並べて集客力をアップ

 「パイナップルケーキ」が一番人気の同店だが、パンの品揃えも充実していて、20〜25種類ほどが揃う。
 「パンがあれば、老若男女どんな方でも飽きずに来店してくださる店になると思ったんです」(畠山さん)
 パンの人気上位はブリオッシュ生地風のリッチな配合で作る「ごほうび食パン」(税込480円)、モッツァレラチーズを巻き込み、ポテトをのせた「モッツァレラポテト」(税込250円)、パイナップルとカスタードをのせた「パイナップルパン」(税込280円)など。
 畠山さんは「パイナップルケーキ」とパンのほか、「きび糖プリン」(税込280円)、季節限定の「スイートポテト」(税込750円)など5〜6種類の菓子もすべて一人で製造する。
 「焼き菓子は日持ちしますし、パンは食パン生地など、ベースの生地を3種類に絞ることで効率化を図れます。今後も従業員を雇わず一人で作っていけたらと思っています」(畠山さん)



「ごほうび食パン」(税込480円)やモッツァレラチーズを巻き込みポテトをのせた「モッツァレラポテト」(税込250円)などが並ぶ
行商やイベント出店時に使用する荷車。店舗営業時は店内の売り場に設置されている
ブリオッシュ生地風のリッチな配合で作る「ごほうび食パン」(税込480円)
季節限定の「スイートポテト」(税込750円)は、さつま芋の皮を付けて焼き上げ、風味豊かに仕上げる
販売方法を妻から学び行商から始めた

 同店がこの地にオープンしたのは今年8月。タイミング良く居抜き物件と出合い、市内の7キロ離れた場所から移転オープンした格好だ。
 「移転前の店舗は人通りが少なく集客に苦労したので、駅近で店前の通りが歩行者専用になっている今の場所は気に入っています」(畠山さん)
 現在同店の売り場に立つのは、妻の陽子さん。陽子さんは1年前まで化粧品メーカーで主に販売業務に就いていた。畠山さんは販売について陽子さんから多くを学んでいるという。
 畠山さんがビジネスを始めたのは2年前。当初はシェアキッチンで「パイナップルケーキ」を製造し、店舗をもたず荷車を使い行商をしていた。その前、ベーカリーにまだ勤めていたときは、終業後焼き芋の販売を行っていた。
 「できるだけリスクの少ない方法から始めようと、最初に焼き芋屋をやったのですが全く売れませんでした。しかし、妻が販売するとよく売れるんです。私はそれまでずっと製造をやってきていたので販売の仕方が分からなかったんですね。声を出すことすらできなかったんです」(畠山さん)
 こうして陽子さんの教えを活かしながら販売の仕方を習得。同時に販売先を模索した。行商を数カ月行った後店舗を構えたが、商圏を広げるため3キロほど離れた相鉄線かしわ台駅の構内にも、販売店を設けた。最初に構えた店舗と駅構内の販売店でそれぞれ週3日営業した。
 「売り上げは駅構内の方が、断然良かったですね。移転した今の店舗にも、かしわ台駅の売り場の常連さんが来てくれることがあります」(畠山さん)
 定休日は日曜と月曜で、日曜は地域のマルシェなどのイベントに出店し、月曜は買い出しや仕込みをする。畠山さん自身はほぼ休みのない日々だ。
 「周囲の協力があってこそですが、自分で考えた通りに動ける楽しさを実感しています。販売はただ待っていてはだめで、とにかく外へ売りに行くという考えを持っているので、所縁(ゆかり)のある地域のマルシェはできる限り出店してきました。また、店舗営業の日に売れ残ってしまった商品は閉店後、約5キロ離れた駅近くにある地場産野菜や食品を扱う店に配達して、販売してもらうことでロスをなくしています」(畠山さん)
 今年11月、同店の「パイナップルケーキ」は、品質や味、製法、包装デザインなどが評価され、地元大和市が2年おきに認定する推奨品となった。推奨品は市役所などで開催される販売会に出品される。
 「地元のまだ知らない方に知っていただける機会が得られて嬉しく思っています」(畠山さん)

SHOP DATA
店名:GOHOUBI LABO(ゴホウビ ラボ)
住所:〒242−0023 神奈川県大和市渋谷5‐24‐7
電話:080‐1096‐2941
営業時間:午前11時〜午後7時(土曜は午後5時まで)
定休日:日曜、月曜
品揃え:約30品目
スタッフ:製造常時1人、販売常時1人
店舗面積:売り場約5坪、厨房約6坪
日商:約5〜6万円



この記事の読みどころ

●圧倒的に想い入れが深いパイナップルケーキを、店の看板商品として打ち出す。
●看板商品で客の心を刺激し、その他の様々なパンや菓子で客の心を和ませる。
●最初は店舗を持たずに荷車を使った行商を行った。
●化粧品の販売員だった妻から、販売方法を教わった。



原価計算女王
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