深く根付いた食パン - ブレドール - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
お店拝見/2002年5月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


深く根付いた食パン - ブレドール

神奈川県三浦郡葉山町。東京から南へ約50キロメートル、三浦半島の入り口に位置し、青い海と緑濃い山々に囲まれた
住宅と観光の街。ブレドールはそんな場所にある。オーナーの橋本宗茂さんは、同じく葉山町の名店、葉山ボンジュールの出身。5年前に独立し、現在は平均日商45万円を売り上げるまでに成長した。24席のカフェを併設し、パンの食べ方の提案にも力を注ぐ。比較的富裕層が多いことと、まとめ買いが多いことなどから、客単価がかなり高い。よく焼き込んだハード系のパンやヴィエノワズリー類が目立つことから、ヨーロッパの食文化にこだわっているかというと、そうでもない。「看板商品は食パン」(橋本さん)だ。

住所 神奈川県三浦郡葉山町一色657‐1
電話 0468-75-4548
営業時間 午前8時〜午後7時
定休日 火曜日



4斤棒などがよく売れる。ハード系やデニッシュも人気

よく焼き込まれたハード系のパンが平台に所狭しと並ぶ


地元産のちりめん雑魚をトッピングした「干しシラスのフォカッチャ」


ブレドールの看板商品「角食」
入店すると、すぐに大きな平台。橋本さんの自信作「ルヴァン」(800円、ハーフカット400円)などよく焼き込まれたハード系のパンが所狭しと並ぶ。その奥にはショーケースがあり、デニッシュの「アップル」(150円)、同じくデニッシュの「洋なし」(150円)、ドライフルーツ入りのブリオッシュ「フルーツブレッド」(130円)などのヴィエノワズリー類などが収められている。ショーケースの上には、地元でとれたちりめん雑魚をたっぷりとトッピングした「干しシラスのフォカッチャ」(400円)や、いちごをぎっしりとトッピングした「いちごのピザ」(280円)などが置かれ、店内の雰囲気を華やかにしている。
ヨーロッパの食文化に傾倒したベーカリーと思いきや、実は必ずしもそうでもないようなのだ。
「看板商品は」との質問に橋本さんは「食パンですね」と躊躇なく答える。「角食4斤」(1160、ハーフカット=2斤=580円)、「角食3斤」(870円、ハーフカット=1・5斤=430円)、山型食パンの「食パン3斤」(870円、ハーフカット=1・5斤=430円)、同じく山型の「食パン2斤」(580円、ハーフカット=1斤=290円)。多くの顧客は、スライスせずに2斤や4斤をそのまま買っていくという。
クラストがかなりしっかりしていて噛み応えがあり、なんともいえない香ばしさがある。多くの顧客にとって食生活の根幹を成すパンになっていることが窺い知れる。ある顧客は「親が病気で『何が食べたい』と聞くと、ブレドールの食パン、というんです」といって買いに来たという。それぐらい深く根付いている食パンなのだ。


同じくブレドールの看板商品で、山型食パンの「食パン」


橋本宗茂オーナー



「冷たいフライほどまずいものはない」。日本人の口に合うパンを作る

ブレドールの外観


ショーケースの上には「干しシラスのフォカッチャ」などが置かれ華やか。
「焼きそばパンなどの『いわゆる調理パン』は作りたくありませんね」と橋本さんは淡々と話す。しかし、ヨーロッパにこだわっているからではない。
「焼きそばにしてもコロッケにしても、できたてや揚げたてが一番おいしいわけですよ。それをパンの具に使えば、冷やして長い間置いておくのと同じことになり、おいしいはずがありません。私が焼きそばパンなどを作らないのは、自分が食べておいしくないからです。それだけです」
橋本さんはハンバーガーチェーンを引き合いに出して説明する。「モスバーガーにしたって、フライなんかは温かいし、ほとんど作り置きはしていないでしょう。冷めたフライほどおいしくないものはないですから」
さらに「フレンチにしてもイタリアンにしても、学ぶべきことは多いと思いますが、商売するのは日本なわけで、日本人の口に合わなければ意味がありません」。
橋本さんの基本は「自分が食べておいしいと思うものを地道に作って提供すること」なのだ。


多くの顧客にとって食パンがあるかどうかは、最大の関心事だ。



窯を担当して全体を把握。基本を忠実に実行する

デニッシュ類も充実。橋本さんのお勧めは、「アップル」(150円、中央)


ブレドールは終日客が絶えない。


橋本さんの息子、茂樹さん
橋本さんは主に窯を担当している。ほとんどすべての製品が橋本さんの窯を通っていく。製造スタッフは橋本さんを含めて0人。そのうちの一人は息子の茂樹さんだ。
「窯をやっていると、焼け具合で、どこの工程に問題があるかがすぐにわかます。例えばミキシングに問題があると判断すれば、ミキシングをしたスタッフに問題点を指摘できます。窯を仕切っているとそういう利点があるんですよ」。
橋本さんは基本の大切さを説く。「まず掃除をきちんとして、きれいにすること。きれいに保つためには汚さないこと。例えばオーブンのガラスが汚れて中が見えなかったら、ガラスであることの意味がまったくありませんよね。純粋にいいパンを焼くという意味でいったら、ガラスであることは不利なわけです。それをあえてガラスにしてあるのは、焼きの状態を確認できるようにということなのですから」
橋本さんのこうした態度は、パン職人として雇われていた時も、独立してオーナーとなってからも変わっていないという。
体に染み付いた習慣は、スタッフらにも着実に伝わってく。
◇
ブレドールは、6台収容の駐車場を完備。
売り場面積は7坪、24席のカフェスペースは10坪の広さ。製造スペースは18坪。
品揃えはおよそ120品目で、7人の製造スタッフが作る。
販売スタッフは4人だ。
なるべく多くの品目について頻繁に焼き上げるように製造体制に工夫を凝らしている。
車での来店客が多く、客単価はかなり高い。日商は平日が40万円、土日が60〜70万円だそうだ。

木の折り箱に入れて焼くけしの実のパン
モーンケベック
モーンペーストを巻き込んで輪切りにした生地を木の折り箱に入れて焼成。独特の雰囲気があり、土産用としても人気があるという。
【配合%】
準強力粉(シャトー) 50
内麦粉 50
砂糖 15
塩 1・2
ショートニング 5
生イースト 5
卵 1個(粉1キロに対して)
牛乳 23・5
水 23・5

【工程】
ミキシング L3分M5分、
捏ね上げ温度 27度C、
分割 1500グラム、
折り込み 3つ折り3回(1500グラムの生地に対して折り込みバター500グラム、最終生地厚2ミリ)、
成形 (1)バターを折り込んでのばした生地を4等分する
(2)[1]のそれぞれに▼モーンペーストをおよそ100グラム塗り広げ、ロールする
(3)[2]を冷やしたあと、輪切りにする(12等分)
(4)カットし生地を6個、木の折り箱に2列に並べて入れる。
ホイロ 27度C60%2時間30分(乾ボイロ)、
焼成 170〜180度C35〜40分(スチーム注入)

※焼成後、和三盆から作ったフォンダンを塗る。
▼モーンペースト
【材料グラム】
モーンマッセ 1250
シナモンシュガー 10
ラム酒 15
生クリーム 90

【作り方】全材料を混ぜ合わせる

生地にフルーティーな酸味があって食べやすい


ルヴァン
ぶどう種から作る直焼きのパン。レーズンとくるみが入っている。クラストにもフルーティーな酸味が少しある。目の詰まったパンだが、食べやすい。
▼中種
【配合%】
準強力粉(シャトー) 40
石臼挽き全粒粉(ベアー) 20
塩 1
ぶどう種 20
砂糖 1
水 23

【工程】
ミキシング L2分M18分、
捏ね上げ温度 28度C、
発酵 10〜12時間

▼本捏ね
【配合%】
強力粉(カメリヤ) 40
塩 1
レーズン 23
くるみ 46・5
水 20
中種 全量

【工程】
ミキシング L2分M10分、
捏ね上げ温度 28度C、
発酵 6〜8時間、
分割 500グラム、
ベンチタイム 20分、
成形 ナマコ形、
ホイロ 28度C30分、
焼成 200度C30分(スチーム注入)

原価計算女王
原価計算女王
ブレドール流のシナモンロール
シナモンロール
1斤型で焼くワンローフ形のシナモンロール。ひとつ350円。
【配合%】
強力粉(カメリヤ) 80
強力粉(ビリオン) 20
砂糖 15
塩 1・2
バター 6
レーズン 45
生イースト 2
水 76

【工程】
ミキシング L2分M16分、
捏ね上げ温度 28度C、
発酵 2時間(1時間30分の時点でパンチ)、
分割 300グラム、
ベンチタイム 20分、
成形 (1)麺棒で15センチ×25センチ程度の楕円形にのばす
(2)[1]の上にカスタードクリームを全体に薄く塗り広げ、シナモンシュガーを全体にふる
(3)[2]を手前からきつめに巻き、1斤型に入れる。
ホイロ 32度C85%30〜40分、
焼成 190度C20分

※焼成後、上面にアプリコットジャムを塗り、シナモンシュガーをふる。


2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら