バラエティー豊富な食事系のパンが地元客に人気 - BREAD IT BE - ブランスリー電子版

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お店拝見/2023年10月号

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バラエティー豊富な食事系のパンが地元客に人気 - BREAD IT BE
フォンスのベーカリー統括責任者、森田良太さん。同店のトータルプロデュースを手掛けた
緑に挟まれたアプローチを進むと「BREAD IT BE」の入口がある
看板商品の「BIBバゲット」(左、税込324円)と「スペルトバゲット」(右、税込453円)。右下は「BIBバゲット」の断面
大粒のセミドライレーズンの赤ワイン漬けやスパイス入りの香り豊かな「サングリアロッソ(1本)」(税込972円)。右下はその断面
産直の「朝どれトウモロコシ」を使用した「トウモロコシのリュスティック」(税込420円)。右上はその断面
「本日のメランジェVin(ワイン)」(右、1グラムあたり税抜4円)。右下はその断面
具材よりパンの部分を評価してもらいたい

 JR鎌倉駅東口から徒歩4分、鶴岡八幡宮に続く参道の入口「二の鳥居」前の路地を入っていくと、木の板に「BREAD IT BE(ブレッドイットビー)」のロゴを鉄のフレームであしらった看板が見えてくる。
 両サイドに植えられた木々を見ながらアプローチを進むと、レトロな幾何学模様の色ガラスがはめ込まれた入口の扉がある。店内に入ると白、黒、グレーを基調にした、鉄や木の素材感が引き立つ空間が広がり、ガラスの仕切り板の向こうに約25種類のパンが並ぶ。
 パンはほとんどが食事系で、具材ののった総菜パンや菓子パンなどは見当たらない。店名の頭文字を入れた「BIBバゲット」(税込324円)や、「オーガニック・ロデブ(ホール)」(税込1900円)、大粒のセミドライレーズンを赤ワイン漬けにしたものやスパイスを入れて豊かな風味に仕上げた「サングリアロッソ(1本)」(税込972円)などが同店の定番商品だ。
 季節商品は、産直の「朝どれトウモロコシ」を使用した「トウモロコシのリュスティック」(税込420円)や、カンパーニュ生地に、和歌山県の農家と洋菓子店が協力して作った柚子ピールとチョコを巻き込んだ「柚子チョコカンパーニュ」(税込378円)などで、生産者から直接届く旬の食材を使っている。
 こうした商品展開について、長野県軽井沢町に本社を置く同ベーカリーの運営会社、フォンスのベーカリー統括責任者で、同店のトータルプロデュースを行っている森田良太さんはこう話す。
 「クリームなどのフィリングではなく、パンの部分で評価してもらいたいという思いでずっとパン作りを行ってきました。材料選びでは、オーガニックのものなどできるだけ自然なものを使うようにしています。その方が、味にインパクトが出ておいしくなると思うんですよね」(森田さん)

約30種類の粉を使い分けて作るパン

 森田さんは学校では中華料理を専門に学び、横浜中華街で働いた後、パンの道へ転向。ホテルベーカリーやレストランのパン部門などで働き、複数のベーカリー店舗を立ち上げた。師事した「シニフィアン シニフィエ」の志賀勝栄さんと「ブラフベーカリー」の栄徳剛さんの2人から学んだことが自身のパン作りの基本姿勢となっているという。
 「様々な粉の特徴を知って、一つのパンを作るのに大体3〜5種類の粉を混ぜて使ったり、長時間発酵をとることで、パンの味や香り、食感などを追求していくことを基本としています」(森田さん)
 同店のパンに使う粉の種類は約30種類。そのうち約13種類は、厨房に設置している石臼で製粉したものだ。自家製粉の粉はおよそ半数のアイテムに使用している。
 自然農法で栽培した栃木産「農林61号」と三重県産「ニシノカオリ」の2種類の小麦を、自家製粉した粉を使っているのは「BIBバゲット」。ほか3種類の粉を合わせ、合計5種類の粉を使い、味や香りに深みを出している。
 「初めて使う粉の特徴を知りたいと思ったら、まずその粉だけでバゲットを作ります。材料がシンプルなので分かりやすいんです。また、同じ品種でも産地や製粉の仕方など、様々な要因で粉の特徴は変わってきますから、それぞれの特徴を覚えておいて、作りたいパンに合わせて使い分けできるようにしています」(森田さん)



左は「その時々の有機あんぱん」(税込270円)。右は「柚子チョコカンパーニュ」(税込378円)
全粒粉食パンの生地で包んだ「その時々の有機あんぱん」の断面
「柚子チョコカンパーニュ」の断面
ガラスの仕切り板の向こうに約25種類のパンが並ぶ。照明の傘は使えなくなった焼き型を再利用したユニークなつくり
店内の床のモザイクタイルは入口の扉のガラスの模様に合わせた。白、黒、グレーを基調にした空間になっている
生産性向上と食品ロス削減につながる商品展開

 観光客の多い鎌倉駅からほど近い場所にありながら、森田さんは当初から近隣住民をターゲットにしていた。開業から3年以上経った現在、森田さんの思惑通り、観光客も訪れるが、地元の固定客で賑わう店となっている。
 地元の固定客が頻繁に通いたくなる仕掛けの一つに、日替わりの商品がある。日替わりは毎日5〜6アイテムほどで、取材日は「全粒粉食パン(1本)」(税込1015円)、「オーガニックカンパーニュ」(1グラムあたり税抜2円)、「ハードトースト(1本)」(税込702円)、「本日のメランジェVin(ワイン)」(1グラムあたり税抜4円)など。「本日のメランジェ」はシリーズ化しており、ワインのほか珈琲&カカオ、アールグレイ、ほうじ茶などが、それぞれ香る商品を展開。販売予定のスケジュールは、月毎に印刷した紙を客に配布している。
 「メニューに変化を付けることで常連客の方に来店の楽しみを提供できたらと思っています」(森田さん)
 また月に二回、定休日を利用して「BLACK MARKET(ブラックマーケット)」と名付けた特別営業日を設けている。現在勤務している若手パン職人が自ら考案し作ったパンを販売するというものだ。
 「自分の経験を踏まえてですが、自分で考えて作ったものがお客様の手に渡ることの喜びは特別だと思います。直接評価してもらえる場があると、仕事の楽しさを実感できる機会も増えるのではないかと思うんです」(森田さん)
 現在製造は常時3人で回しており、各自の労働時間が8時間を超えないように努めている。それには森田さんが受けたニューヨークでの製パン研修での経験が活かされている。
 「ニューヨークの製造現場で刺激を受けたのは、効率重視と短時間労働の二つでした。それからは、限られた時間でいかに作るかを重視するようになり、仕事に対する考え方が変わりましたね」(森田さん)
 食事系が主体の品揃えは、パン自体の味を追求するためだが、フィリングなどの具を作らないことによって結果的に労働時間の短縮につながっているという。
 「フィリングの製造や焼き上げ後のトッピングなどは、当店には必要がありません。ですので最も手間がかかる作業は計量になりますね。基本的には焼成後、すぐに並べられるアイテムばかりです」(森田さん)
 そんな中、唯一フィリングを使用する商品がある。「その時々の有機あんぱん」(税込270円)だ。「その時々の」とあるように、あんを包む生地がブリオッシュ生地だったり、全粒粉食パンの生地だったりとその時々で異なるのが特徴。
 「各商品作りで出た半端生地を捨てずに活用できないかと考えて産まれた商品なんです。少しずつでも毎日のことですからね」(森田さん)

SHOP DATA
店名:BREAD IT BE
住所:〒248−0006 神奈川県鎌倉市小町2−16−35
電話:0467‐33‐4680
営業時間:午前9時〜午後6時(売り切れ次第閉店)
定休日:水曜、第2木曜
品揃え:約25品目
スタッフ:製造常時3人、販売常時2人
店舗面積:売り場約3坪、厨房約20坪
日商:約15万円



この記事の読みどころ

●クリームなどのフィリングではなく、パンの部分で評価してもらいたい。
●一つのパンを作るのに3〜5種類の粉を混ぜて使い味に深みを出す。
●メニューに変化を付けることで常連客に来店の楽しみを提供する。
●若手スタッフが自分で考案して作ったパンを販売する目的の「ブラックマーケット」を定休日に開く。



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