体に優しいパンを食べて喜んでもらいたい - ブランスリー電子版

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お店拝見/2023年9月号

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体に優しいパンを食べて喜んでもらいたい
店主の美㘴暢秀さん
「PAIN MIZA」の外観。紺色と木目調でまとまっている
店内の様子。売り場と厨房は大きなガラス窓で仕切られている
「生米パン」(ハーフサイズ税込334〜388円)は、ビーツ、ニンジン、黒ゴマ、ほうれん草、クルミ&クランベリーの5種類が揃う。材料の野菜はオーガニックのフレッシュを使用
バゲット生地を使った「ホワイトカンパーニュ」(右、税込340円)はクラストが薄くソフトで食べやすい
「ホワイトカンパーニュ」の断面
客との距離感を近く保っていきたい

 東京・羽村市のJR青梅線羽村駅から徒歩5分、飲食チェーン店が多く並ぶ通りにベーカリー「PAIN MIZA(パンミザ)」はある。昨年1月に開業した。
 店主はパン業界で35年以上働いてきた美㘴鴨秀さん。「紺色と木目をテーマカラーにした」(美㘴さん)という落ち着いた佇まいの店舗は、紺色のタイルが外壁と店内の壁に施され、木枠のガラス窓とガラス戸で外から店内が見える造りとなっている。売り場と厨房を仕切る壁にも大きなガラス窓が取り付けられており、双方の様子が互いに見られるようになっている。
 製造をほぼ一人でこなしている美㘴さんだが、客が来店すると厨房からガラス窓越しに挨拶を欠かさない。販売担当の佐久間あゆみさんも、明るい声かけや丁寧な対応を行い、来店客の多くが笑顔で店を後にする。
 美㘴さんが同店を開業する前、定年間近まで勤務していたのは、駅構内や駅ビルなどで飲食事業を運営する会社。同社が運営するベーカリーの各店で店長を務めるなどしてきた。
 「これまで働いてきた店舗はすべて商業地立地でしたが、当店はそうではありません。その点では、地域の方々のための店として、お客様一人ひとりとできるだけ近い距離感を保っていくことを大事にしたいと考えています。お客様が、気軽におしゃべりを楽しんでもらえるような店にしていきたいですね」(美㘴さん)
 店内には約40〜50種類のパンが並ぶ。また、金、土、日の各曜日はそれぞれに限定のパンがあり、金曜は「アップルパイの日」、土曜は「生食パンの日」、日曜は「クロワッサンの日」とうたい、それぞれのアイテムを強化した販売をする。
 「お客様の多くが近所の方なので、曜日限定商品をイベント感覚で楽しんでいただきたいと思っています。また、週末は客数が増えるので、その分種類と製造量を増やす必要がありますね」(美㘴さん)

グルテンフリーの需要から生米パンを販売

 曜日限定商品のほか、毎月不定期で数回、米を使用したグルテンフリーの「生米(なまごめ)パン」の製造販売も行っている。同商品を製造するのは、同店の製造スタッフで「生米パン認定インストラクター」などの資格を持つ山崎真生さん。
 「生米パンには、製粉所などで製粉した米粉ではなく、精米したままの生米を使います。作り方は、米を2時間ほど水に浸して、酵母やきび糖などほかの材料と一緒に、滑らかになるまでミキサーにかけます。そのあと型に流し、発酵をとって焼成します。白米ではなく、玄米や、ぬかと胚芽を一定量残して精米する分付き米を使ってもいいと思います。また、使うお米の品種を変えると、味や食感に違いが出て面白いですよ」(山崎さん)
 生米パンは5月に行った都内の百貨店の催事でも、行列を作るほどの人気で完売した。美㘴さんはその需要と話題性の高さに注目している。
 「こうして小麦のパンを並べていても『グルテンフリーのパンが欲しい』という要望を受けますから、その需要はかなり高いのだと実感していました。どうにかしてあげたいという気持ちから、山崎さんの生米パンの販売を始めたんです。生米パンは、米粉パンと比べても劣化しにくく、柔らかさが持続して食べやすいと思います。また、生米から作るので粉のように酸化が進まないというのもメリットですよね」(美㘴さん)



人気上位の「クロワッサン」(税込345円)や「クリームパン」(税込216円)が並ぶ。国産発酵バターをたっぷり使用した「クロワッサン」は噛むとじゅわっとバターが感じられる
乳業メーカーから得た情報をヒントに開発した「クリームパン」(税込216円)
「天酵食パン」(左、税込389円)、「全粒粉食パン」(右、税込410円)の各断面
レーズンをたっぷり入れた 「レーズンブレッド」(税込367円)はしっとりとした食感
「カレーパン」(税込238円)のカレーフィリングはトマトカレーをブレンドして夏向けの味にしている
材料と製法を学び続け、新たな挑戦を続ける

 美㘴さんは会社員だった45歳のとき、オールスクラッチのベーカリーの店舗を任された。それを機にパンの奥深さを知ってより興味が沸き、材料への関心も高まっていったという。
 「材料メーカーの方から色々と勉強させていただきました。開業した今も交流があり、わからないことは質問したり、反対に作り手側の立場から、製造の実態や意見などを伝えるようにしています」(美㘴さん)
 乳業メーカーから得た情報をヒントに開発した商品は「クリームパン」(税込216円)。暑い時期はまろやかに、寒い時期は濃厚な味わいにするため、フィリングを作り分けている。
 「使う牛乳の殺菌温度が違うと、カスタードの仕上がりが変わるんですよ。面白いですよね」(美㘴さん)
 埼玉県さいたま市の「パン工房風見鶏」の福王寺シェフからも多くのことを学び、「体にいいパンを作りたい」と思うきっかけをもらったという。
 「パンを食べて胃にもたれる感じがあったのですが、福王寺シェフが焼いたカンパーニュは、丸々一個食べてももたれなかったんです。不思議に思い色々訊いてみると、どうも添加物を使っていないことが原因だということがわかったんです」(美㘴さん)
 開業前から同店の看板商品にすると決めていたのは「全粒粉食パン」(税込410円)。酵母はホシノ天然酵母パン種、砂糖は種子島のきび糖とハチミツ、油脂はバター、塩は沖縄の天然塩などと、厳選した材料を使い、無添加で作る。この基本姿勢はほかの商品にも共通している。
 「湯種を使うのですが、全粒粉と牛乳で作るんです。そうすると全粒粉配合の生地でもしっとりした食感に仕上がるんです。今まで全粒粉のパンが食べたいけどぱさつくのが嫌だったという方にぜひ食べていただきたいと思っています」(美㘴さん)
 「レーズンブレッド」(税込367円)に入れるレーズンの下処理の方法も独特だ。レーズンの漬け込み液に、ラム酒だけでなく生クリームも使うという。
 「パンに入れたときにラム酒だけよりもしっとり感が増すんですよ。だからたっぷり入れられるんです」(美㘴さん)
 レーズンのように、具をたっぷり入れることも、美㘴さんのパン作りの基本姿勢だ。例えば「こしあんぱん」(税込216円)は生地量40グラムに対してあんが50グラムと、フィリングの重量の方が重い。
 「半分に割ったときに、中身がたっぷり見えるとか、持ったときにずっしりしているとか、そういうパンを提供したいと思っています。せっかく買っていただいたお客様を、がっかりさせたくないんですよね」(美㘴さん)

SHOP DATA
PAIN MIZA
住所:〒205−0011 東京都羽村市五ノ神4−7−5
電話:042‐578‐9333
営業時間:午前10時〜午後7時
定休日:月曜、木曜
品揃え:40〜50品目
スタッフ:製造常時1〜2人、販売常時1人
店舗面積:売り場約5坪、厨房約15坪
日商:6〜7万円



この記事の読みどころ

●顧客一人ひとりとできるだけ近い距離感を保つ。
●金曜は「アップルパイの日」、土曜は「生食パンの日」などとうたい、そのアイテムを強化した販売をする。
●水に2時間ほど浸した米を他の材料とミキシングした生地から作る「生米パン」に注目。
●胃にもたれない無添加のパンを作る。





原価計算女王
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