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| 連載/2023年7月号 |
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| 自分の立場を意識しながらお客様のことを考える - 私の販売集大成ノート(29) | |
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トンネルを抜けると強風が吹いていた
長いトンネルを走り続けた先に目指していた光がやっと見えてきた。未だぼやけているが光であることに間違いないようだ。蒸気機関車は煙をはいて尚も走り続けるが、抜けたトンネルの先では、走りを遮る程の強い風が吹き荒れている。コロナというトンネルを何とか抜けた後にも、諸材料の値上げという強風が依然として猛威を振るっていた。 私が住む町田市内の繁華街まではバスで30分ほどで、約5キロ強ほどの距離がある。その間で僅か半年間だけで8店舗が閉店ないしは移転した。うち2店はベーカリー、1店が洋菓子店である。 40年通い慣れている道すがらに起きている且つては見たことのない異常な景色である。閉店や移転の理由は定かではないが、時期が時期だけに、コロナや値上げの影響ではないかと想像する。厳しい状況はもう暫く続くだろうが、蒸気機関車は強風の中を走り続けなければならない。 販売行為がないことへの抵抗感がある 町田市内に花屋がある。4人も入れば身動き出来ない位の小さな無人の店舗である。植木鉢や華やかに並ぶ花々が季節を演出している。興味はあるが未だその店で買った事は無い。私の心の中で無意識のうちの抵抗感が働くのだろう。人の手を介して金銭授受をしてから物品を渡すという販売行為がない事への抵抗感なのかも知れない。しかし、不思議と自動販売機については、機械であるという割り切りのせいか、便利さを感じるだけで抵抗感は全くない。 今とこれから先の両方を大切にする 部下のマネージャーと話していた時の事を思い出した。「販売員と店番の違いは何ですか」との質問があった。「店番は来店したお客様に対応するだけ。販売員は来店客の対応は勿論だが、次回の来店に繋げられる行為が出来る。今だけを大切にするか、今とこれから先の両方を大切にするかの違いだ」と話したことがある。 販売員の仕事を成すためには、接客用語や陳列方法、売り込み方を学んで、それを実践出来るスキルを身に付ける事が必要だと説明した。 人事部が人事評価制度を導入するにあたり、全ての販売作業を分解して仕事内容を洗い出したことがある。作業は直接携わっている現場のマネージャー達を中心にして進められたが、想像以上の仕事量と内容に改めて驚いたものだ。 またそれは多くの無駄と、改善を要する事柄の発見をもたらした作業でもあった。俯瞰して客観的に見ることによって販売の仕事の方向性が掴めたように思えた。 自分の立場からお客様をどう見るか 不特定多数の様々な感情を持ったお客様に対応するのが販売の仕事である。全てのお客様に一様に対応する事が望ましいのは分かっているが、それは非現実的で不可能だ。販売員に対して感じが悪いお客様もいれば、好意的に振る舞ってくれるお客様もいる。その両極端の中で仕事をする事には強いストレスが掛かる。 販売員に強烈な個性は必要ない。大事なのは、自分がお客様だったらどう思いどう行動するか、お客様に喜んで貰う為に何をするかを考えて行動する事だ。私は、すべてのお客様の立場になって考えるというよりは、「自分だったらどうするか」という視点で行動した。私がすべてのお客様になれるはずもないので、自分の立場からお客様をどう見るかに重点を置いた。そのように考えた方がスムーズに納得出来た。 販売スタッフに必要なものは観察力 販売は失敗を重ねた経験の中から正解に近い自らの拠り所を見つけて、それを信じて実行する以外にない。様々な経験は強い力になる。時間は掛かるが人の気持ちを受け入れる幅が広がり柔軟な発想が持てるようになる。販売は毎日同じ仕事で魅力がないという人がいた。毎日毎秒異なる人がいて同じで済む事などあり得ようか。30年の私の経験の中で同じ事など一度もなかった。だから販売は遣り甲斐があるし面白いのだ。 販売の責任者クラスの人に必要なものは観察力である。観察力は判断する力を育てる。正しい観察は正しい計画を呼び、望ましい成果をもたらす。 望月 康男 販売アドバイザー。1946年神奈川県川崎市生まれ。東京都町田市在住。趣味は、ドライブ、登山、ビデオ撮影、映画鑑賞。1978年9月、株式会社ポンパドウル入社後、町田店、六本木店、伊勢佐木町店の販売マネージャー。1985年1月販売課長。1989年6月販売部長。1996年12月取締役販売促進部長。2001年10月取締役広報宣伝部長。2007年2月〜2010年1月顧問。全店の接客、品質、クレンリネス、品揃えの改善点をアドバイス。株式会社ポンパドウルの成長期、成熟期に販売関連業務に携わる。 |




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