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| 特集/2023年7月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 冷凍パンの通販
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オンライン限定で開発し、発売以降人気が高いのが、客が自分で家にある野菜などをのせてアレンジが楽しめる商品だ。 国産小麦を使用したフラットな生地「パンクレエ」を冷凍したセット(プレーン6枚セット税込1800円、3種6枚入りセット税込2400円、3種12枚入りセット税込4800円)は、好きな具材をのせてリベイクする事を想定した商品で、形や焼成のしやすさなどを考えて開発した。具材をのせやすいフラットな形の生地には、熱を逃がすための小さな窪みが多数施されている。野菜をのせて焼いたときに全体がちょうどよく焼き上がるようにするためだ。 電子レンジで解凍してそのまま食べる事もできるが、具材をのせてオーブンレンジやオーブントースターで焼成して食べてもらうために、そのためのレシピをパンデュースのHPで積極的に紹介している。 このほかに、半焼成のバゲットの6本セット(税込960円)と、同じく半焼成のバゲットの12本セット(税込1920円)の2アイテムをラインナップした「家で焼き上げるドゥミバゲット」という商品もある。完全に焼成しない半焼成の状態で窯から出してプロトン凍結する事で、焼き直しをしてもパサパサにならないバゲットが実現したという。コロナ禍で家にいても焼きたてを食べたいという需要に応えたシリーズだという。 オペレーションの問題はなお残る 米山シェフは「洋服をオンラインで購入するなどということは、ひと昔前では考えられない事でしたが、今は当たり前になっています。今後はパンもオンラインで購入する事が今より当たり前になって来ると思います」と話す。 その一方で、米山シェフは、送料の高さやオペレーションの難しさなどの超えなくてはならないハードルもまだ残ると考えている。 実は、通販でもセット商品ではなく、1品1品を選んで購入したいという客は多いという。 「当社の通販の場合、箱詰めにして冷凍配送で送る事を考えると最低1000円以上の送料がかかるので、パンの単価の低さを考えると、ある程度の個数を購入して頂かないと割りに合わないですし、注文の商品を一つ一つピックアップして箱詰めして送るこちらの作業も煩雑になって、ミスが多発してしまう可能性があります。どうしてもという声がさらに高まったらそれも考えますが、今のところは様子見ですね」(米山シェフ) 「パンデュース」の製造の拠点でオンライン通販の発送なども行っている「ファクトリー」と呼ぶ場所ができたのは、コロナ禍が始まった1年前の2019年秋のこと。ちょうどその頃、大丸心斎橋内の店がオープンしたため、「ファクトリー」にプロトン凍結機を増設した。ただ当初はオンライン販売の商品を強化するための増設ではなく、製造の効率を上げるための増設だったという。 「プロトン凍結機を増設する形で冷凍の拠点を作っていた事が、コロナ禍でほとんどの店が休業を余儀なくされ、急遽オンライン通販を強化することになった際に助けになりました」(米山シェフ) 大丸心斎橋店をオープンしたあたりから徐々に企画を進めていたフードロス問題対応のロスパンセット「もったいないおまかせパンセット」(税込3500円)も、それまで少し躊躇していたオンライン通販を開始する後押しをしてくれたという。 ロスパンセットは、実際の値段より安く売っているので、通常のオンライン販売の商品と比べると、消費者の捉え方も違ってくるという。店としてもロスパンセットと通常のオンライン通販の商品は分けて考えていて、通常のオンライン商品の方はパンを包装するビニールが冷凍時も破れにくいものになっているし、配送時に形が崩れやすい商品はあえて加えないようにもしているという。 「ロスパンのセットも通常のパンのセットも棲み分けができていて、それぞれに好評ですね。オンライン商品の発送は柱となる事業の一つとして捉えています」 米山シェフは、もし冷凍パンだけを販売する専門店があれば、賞味期限が長い商品を提供する店として需要があるのではないかとも考えている。 また、同シェフはよく同業者からプロトン凍結機の見学をさせてほしいと頼まれるという。 冷凍技術の発達は、今後のパン業界を大きく発展させる可能性を秘めていると確信している米山シェフは、「店長が一人だけで運営する小規模店でも、凍結機を有効利用する事でかなりの効率化を図れると思います。ただそれなりに導入コストがかかる話なので、自分の店のオペレーションに合わせてどんな技術を取り入れていくのが最適かをよく考えて、進めていく必要があると思いますね」と話していた。 SHOP DATA 店名:パンデュース本店 住所:〒541‐0047 大阪府大阪市中央区淡路町4‐3‐1FOBOSビル1階 電話:06‐6205‐7720 営業時間:午前8時〜午後7時(土曜、祝日は午後6時まで) 定休日:日曜 品揃え:約100品目(通販は約50品目) スタッフ:厨房常時7人、販売常時2人 店舗面積:売り場9坪、厨房9坪 | ||||||||||||||||

| 広い大型冷凍倉庫に入れる事で、冷凍時のパンの品質低下を防ぐ - パン工房ふぃーる@カフェ | |||||||||||||||||||
宮城県石巻市のベーカリー「パン工房ふぃーる@カフェ」は、2年前の8月に、それまで営んでいた同市内の店舗から、同じ市内の別の場所へ移転し、リニューアルオープンした。その際に、店長の小野寺弘典さんは、それまでの店舗より広い場所を確保し、大型の冷凍倉庫を導入した。冷凍での通販業務を拡大する事を視野に入れて、思い切って高額の投資をしたという。 実は小野寺さんはパン職人になる前は、電気設備のエンジニアとして冷凍倉庫を作る仕事に携わっていた。今回の冷凍倉庫導入に当たっては、当時の経験を生かしてアイデアを出し、倉庫の設計を行ったという。エンジニアだった当時は、鮮魚などを保管する冷凍倉庫関係の仕事に携わっていた。 「エンジニアだった時にお客様から魚の色焼けを防ぐ方法として教えてもらった事をパンの冷凍にも応用しました」(小野寺さん) 具体的には、冷凍倉庫内のパンをパン同士がくっつかないように間隔を空けて並べる事で温度ムラの発生を防いだ。その際には、パンを一つ一つ箱にしまったまま冷風を当てない状態で、四方をまんべんなく冷やす。さらに温度をパンへのストレスが少ないとされるマイナス25度位に保った。 広い場所と高額な設備費が必要なので、誰にでも導入可能な方法ではないが、土地を広く使える地方ならではの特性を活かしたこの方法により、冷凍障害によるパンの品質低下を防ぐ事ができたという。 「色々試してみた結果、色々なモノが密集した冷凍庫にパンを入れると形が変わるし、潰れる箇所も出てくる事がわかってきました。凍結する前に形が潰れると解凍しても元に戻りません。形が潰れているということはパンにストレスがかかったということです」(小野寺さん) 最適な冷凍方法を自分で研究した 同店の場合、通販に参入した当初は自店のHPから直接オンライン通販を行っていたが、昨年2月からは「ぱん結び」というECモールに出店する形に切り替えた。各地のパン好きを中心とした多くの人が閲覧するECモールで、運営者側からノウハウの提供もあるため、全国的な知名度を上げていくきっかけを作りやすいという。 ただしパンの冷凍技術そのものに関しては出店しているベーカリー各店に委ねられているため、出店に当たって小野寺さんは、冷凍パンについての研究を徹底的に行った。 「色々と研究を重ねた結果、包材に関してはしっかり空気を抜く事ができるシーラーで密封させるやり方に落ち着きました。同じECモール内の他店の商品を注文してみて参考にしたりもしましたね」(小野寺さん) 同ベーカリーでは、焼き上がったパンをそのままの状態ですぐに冷凍倉庫の中で保管する。小野寺さんは、通販に出すパンの状態を確認するために、実際に解凍したパンの試食をして慎重に様子を見ながら出荷しているが、これまでのところ大きな問題もなく冷凍できていると感じている。 実際、記者も同店のパンセットを同ECモールで購入したところ、袋のまま4時間ほど置いて自然解凍した結果、目立った離水もみられず、リベイク後も香りや風味が深い状態で残存している様子を確認する事ができた。(写真A、写真B参照) | |||||||||||||||||||

現在、同店がECモールの「ぱん結び」を通じて販売する通販のセットは「春告げわかめ塩バターロールとルヴァン&ライ麦」(税込2639円)、「ロデヴセット」(税込2330円)、「石巻うまい醤セット」(2970円)の3種類。そのうち「ロデヴセット」は食事との相性を考えて生み出した商品で、特に力を入れている。 「店頭でもオリーブやオニオン、オレンジピールなど、それぞれ練り込み素材を変えたロデヴを何種類か展開していますが、通販ではそのうち4種類をセット商品化しました。種類の違うロデヴを複数入れてセット化したものは『ぱん結び』の中でも他にないので、独自性の強い商品として、全国に発信する事で、色々な人達に食べて頂きたいと思っています」(小野寺さん) そのロデヴセットでは同店が生み出した独自の冷凍方法が生かされている。「ぱん結び」の消費者レビューには「3〜4時間位置いて自然解凍し、トーストしたら、外はサックリ、中はもちもちですごくおいしかった」という趣旨の声が多いという。その他には「遠方にあるお店のおいしいパンが食べられて嬉しい」「送料が高いのが残念」という声もあったという。 現在「ぱん結び」だけでも月の売り上げは多い月で20〜25セット位にのぼるという。店全体の売り上げの中では1割ほどだが、人手やオペレーションの状況を見ながら要望があれば種類を増やしたりして生産量を伸ばすことも考えている。 地元産業の復興にもつなげたい 大きな冷凍設備を導入したことは、通販でのメリット以外にも、様々な利点を生み出したという。 「ベーカリーにとって広い冷凍設備の設置は、冷凍パンの販売におけるメリットよりも、通販用の冷凍パンを含めた様々な製品の保管庫になってくれるというメリットの方が大きいかも知れません。例えば形が崩れやすい野菜や具材をのせた商品など、通販では販売していないものもたくさん保管できるので、一度に製造できる量が増えました。結果的に店頭で人気の商品をタイミングよく多く製造できるようになったので、売り上げも増えましたね」(小野寺さん) ただ、同店の製造スタッフは小野寺さん以外にはまだ補佐役のスタッフが一人のみで、今のところ通販の製造量も無闇に増やすことはしないつもりだ。 しかし小野寺さんは、「ECモールへの出店は色々な意味で当店にとって必要なことなので引き続き力は入れていきたいですね」と意欲的だ。 同店では石巻特産品のホヤを凝縮させた調味料「うまい醤」と合わせたパンセットや名産の三陸わかめを練り込んだパンのセットなどの販売にも力を入れている。小野寺さんにはまず、東日本大震災で被災した石巻市の復興を後押ししていきたいという思いがある。 特にホヤは震災後の地域おこしの一環で同店を創業した小野寺さんの母、夢津子(むつこ)さんが力を入れて普及活動をしていて、小野寺さんは夢津子さんを助け、その想いを継ぐために4年前に転職してパン職人になった。パンセットにつけたホヤを凝縮した調味料「うまい醤」は、同梱のロデヴやカイザーなどのパンと同様に冷凍したものを発送している。 「うまい醤」は漁業・水産業のまちである石巻が誇るホヤを水揚げ後に細かく刻んで凝縮し、ニンニクや唐辛子、香味野菜などを加えて加工している。「東京・麺屋武蔵」が監修していて、石巻産のホタテやかつお節の粉末も加えて深い味わいを出した。 石巻では東日本大震災の津波で漁港を含む沿岸部が甚大な被害を受け、ホヤもその後の韓国からの禁輸措置などもあって大量廃棄せざるを得ない状況になるなどして、石巻の生産者にとっては苦境が続いた。 小野寺さんは少しでも地元産業の復興につながればと思い、ホヤの消費拡大には協力していく考えだ。 「今まで一番嬉しかったのは、自分が作ったパンを食べて感動したというフランス人の方が、店に来て記念撮影をして行ったことです。色々な人に当店のことを知ってもらうことで、地域産品の消費拡大を後押ししていければと考えています。その手段として品質を落とさずパンを冷凍する技術がしっかり生かされるようになればと思います」(小野寺さん) SHOP DATA 店名:パン工房ふぃーる@カフェ 住所:〒986‐0827 宮城県石巻市千石町2−2 電話:0225‐24‐6885 営業時間:午前8時〜午後6時(カフェは午後9時) 定休日:水曜 品揃え:約70品目 スタッフ:製造常時2人、販売常時2人(土日祝3人) 店舗面積:売り場8坪、厨房12坪、イートインカフェスペース15坪 | |||||||||||||
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