ミキシングについての注意事項を具体的に細かく検証してみましょう - 文・橋本泰之 - ブランスリー電子版

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パン屋さん手帖(2)/2002年5月号

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ミキシングについての注意事項を具体的に細かく検証してみましょう - 文・橋本泰之

橋本泰之 1956年横浜生まれ。新宿の専門学校を卒業後、銀座レストランみかわやに就職。その後センチュリーフーズ、モンタボーなどを経て、1996〜2001年、東京製菓学校教師。2001年10月、有限会社レーヴを設立、現在に至る。

コート数の1・5倍が基本
こんにちは。今回はミキシングについて考えていきたいと思います。ミキサーはよく何コートという言い方をします。コートとはボウルに入る水の量で、イギリスとアメリカでは単位が多少違いますが、日本では「コート=水の量」です。ふだん使用しているお店のミキサーは何コートか調べてください(知っていると思いますが)。
パンを捏ねる時は対粉で生地の量は1・8倍前後になります。粉2�圓任鰐鵤魁Γ境圓砲覆蠅泙后E�たり前ですよね。コートに対してパン生地の仕込みの量は30%位にしてください。これが許容量で、簡単に言いますと、コートの1・5倍が基本です。店舗に行くと約2倍前後まで仕込んでいるケースがあります。でもそれは基本的にはミキサーに負荷がかかりますし、故障の原因にもなると思います。容量を覚えて無理のないように仕込むことが大切です。

ミキサーの逆回転を直す方法
ミキシングの話の前に、よく店舗である逆回転の直し方について少し書きたいと思います。ミキサーの電源はほとんどが三相で、ミキサーに矢印で回転方向が示してあります。しかし店舗の内装工事の際に逆に配線される事もあるのです(結構自分も店舗で経験し、直しました)。知らない人は簡単なので次のことを覚えてください。
三相は電源の差込プラグの中に四本の線があります。緑がアース線であとの赤・黒・白は電源線です。アース以外の3線のうちの2線を入れ替えればいいのです。必ず電源を切ってから行ってください。

粉の質が向上し高速でもOK
それでは本題に入りたいと思います。ミキサーには縦型ミキサーと横型ミキサー、そしてスパイラルミキサーやアートフェックス等のフランスパン用ミキサーがあります。本当はもっと色々ありますが、皆さんの使っているミキサーは多分この中に入っていると思います。横型ミキサーは大量に仕込む大手用、縦型ミキサーは一般に使用されているミキサーです。スパイラルミキサーやアートフェックスは、フランスパンの生地を優しく混ぜ合わせるミキサーです。
どのミキサーでも仕込めるのですが、用途によって使い分けると、性能を存分に発揮します。最近ではミキシングはあまり回さないっていう人が多くなってきています。その辺を踏まえて少し考えてみましょう。
ミキシングの六段階とよく本に書いてあります、その辺は本を見て自分で参考にしてください。今回はミキシングについて少し考えてみます。
学校でミキシングのふっ切れ状態の実験の時に、ミキサーを3速で20分以上回しても中々ふっ切れ状態になりません。
今の粉は良くなっていて、多少のミキシングではミキシングオーバーになりません (発酵オーバーとミキシングオーバーは違います) 。ですから食パンを作る際に3速を12分かけて捏ねる人もいます。製品を作るには、別に間違いではありません。
ではこんなに粉の性質が良くなっているのに、なぜミキシングをあまり回さない人が多くなってきているのかというと、粉の風味の問題があるからだと思います。
ミキサーは、メーカーによっても違いますが、1速の倍が3速で2速の倍が4速になっていることが多いので、そこから何回転すれば生地が出来るかって考えればミキシング時間が出てきます。
しかし発酵によっても生地を作れます。その件は次回に書きましょう。

高速でまわすと風味が劣る
高速だけで捏ね上げたパン生地と低速だけで捏上げたパン生地を比較すると、高速を使用した生地は生地中に細かい空気の気泡が沢山入りそれが焼成の時に窯伸びの要因のひとつになっています。
しかし気泡の空気により生地の中の小麦粉が酸化し易くなり風味が劣ります (窯伸びする事により中のおいし香りも一緒に生地から出ていってしまいます) 。高速を使用すると生地の伸展性は増しますが粉の肝心な風味がどうしても劣ります。
ハード系のパンは副材料があまり入らない配合です。粉本来の風味を味わって食べるのですからミキシングではなく発酵によって生地をつなげて風味の良い製品を作るわけです。
フランスパンを後塩法・オートリーズ法で作るのはこうした理由からです。ミキシングの時は、低速を3分程度回しますが、この時に粉が水を吸って砂糖や塩が小麦粉中に水和していきます。
ここが生地作りには大切で、粉が水和する前に高速で捏上げると、粉が十分な水分を含む前に、グルテンがつながって生地が出来上がってしまい、べたついた生地になりやすいのです。ですから必ず初めの低速の間に生地の硬さ、そして生地をなめて味を確認してください。それによってミキシング時の大部分のミスが減ります。
ミキシングは配合によって捏ねる時間を調節しましょう。

浸透圧と生地引締め効果
最後に塩の作用について書きます。色々とありますが、浸透圧とグルテンの引き締め効果が重要です。塩を入れなければ水和が早く進みますし、ふっ切れ状態も早く起こります。ミキシングを短縮し生地のボリュームを出したい時は良い方法だと思います。
今回はこの辺で終わります。次回は発酵について考えます。









原価計算女王
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