第5回ベーカリー・ジャパンカップの優勝者を徹底取材 - ブランスリー電子版

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特集/2023年5月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


第5回ベーカリー・ジャパンカップの優勝者を徹底取材
コンテストで全国からの出場者と製パンの技を競い、大きな収穫を得た

 日本のパン職人による日本のパンのナンバーワンを決めるコンテスト「第5回ベーカリー・ジャパンカップ」が、千葉市美浜区の幕張メッセで2月28日から3月3日まで開かれた「2023モバックショウ」の会場内特設会場で、会期中の2月28日と3月1日に開催された。同コンテストは予選を通過した出場者が、会場で一定の規定に則ってパンを作り、その出来栄えと製パン技術を競うというもの。仕込みからの製造、掃除やディスプレイに至るまでの一連の過程が評価の対象となった。本特集では、菓子パン部門で1位の厚生労働大臣賞を受賞したヴィロンの遠藤莉菜氏と、食パン部門で1位の農林水産大臣賞を受賞したイスズベーカリーの菰田悠記氏を取材し、それぞれの栄光までの軌跡を追った。



形、色、香り、食感の全てが主役記憶に残るインパクトを大切にした - ヴィロンの遠藤莉菜さん(菓子パン部門優勝=厚生労働大臣賞受賞)
菓子パン部門で優勝し「厚生労働大臣賞賞」の栄光に輝いたヴィロンの遠藤莉菜さん
初夏をイメージしフランボワーズをのせた「クロワッサンフランボワーズ」。ディスプレイのスロープは段ボールを活用して作った
秋をイメージしたトッピングを施した「フルールドクロワッサン」
独自性を強く打ち出し、秋をイメージした「メイプルメロンパン」
ブリオッシュ生地に抹茶風味のマカロン生地を巻きつけた「三日月抹茶あんぱん」
「フルールドクロワッサン」の製造作業の様子
ずっと魅力を感じ、憧れを抱いていた

 「ベーカリー・ジャパンカップの事は先輩達が出ていたので話は聞いていました。コンテストで活躍する職人の姿に憧れて、自分もやってみたいと思ったんです」
 「第5回ベーカリー・ジャパンカップ」の菓子パン部門で見事優勝し、「厚生労働大臣賞」の栄冠に輝いたヴィロン丸の内店の遠藤莉菜さんは、出場した動機についてこう語る。
 遠藤さんは、「ベーカリー・ジャパンカップ」にエントリーするかどうか、昨年9月30日の締め切り直前まで迷っていたという。コロナ禍で中止となった2年前を経て4年ぶりの開催となったのが今回行われた第5回大会だった。
 「やるだけやってみようと思って参加を決めました。でも、今まで参加した他のコンテストは決められた食材を使って一つのパンを作るというものだったのに対して、このコンテストは8種類もの菓子パンをそれぞれ異なる規定に沿って作らなくてはならないなど、ルールが複雑で作る量も多くて手強いなと感じました」(遠藤さん)

8種類の菓子パンを12個ずつ作る

 今回の菓子パン部門の規定は、まず国産小麦の粉を100%使用すること。その上で、発酵させた生地を折り込んだ製品(クロワッサンなど)を2種類、発酵生地(スイートロール、ブリオッシュ、菓子パンなどの生地)を使った製品を6種類作るというものだった。
 さらに発酵生地を使った6種類については、フィリングの生地への練り込みや焼成後のトッピングを自由に行って作る製品2種類、フィリングを生地に練り込み、焼成後は手を加えない製品2種類、レーズン、チョコレートなど固形状の具材を入れて作る製品2種類というように、さらに細かい規定が設けられていた。
 合計で8種類の菓子パンを作るということだが、さらに1種類につき12個作らなくてはならないというかなりハードなルールだった。
 審査の流れの概略はこうだ。応募者は、まず決勝大会で作る予定の作品を冷凍し、写真やレシピなどの情報と一緒にコンテスト事務局に送って第一次書類審査を受ける。そしてそこを通過した応募者だけが決勝大会に参加し、実際に製品を作って、最終審査を受け、勝利を目指すことができる。
 2月28日の菓子パン部門の決勝では、参加者らは、会場での前日の準備作業1時間と当日の作業8時間の制限時間内で、作品の製造からデイスプレイ、掃除までを行い、終了後は完成した作品について5分以内のプレゼンテーションを行った。
 エントリーに当たって遠藤さんは、作品の条件として100%使用する事が求められる国産小麦の専門的な勉強をした事がなかったため、改めて小麦に関して色々と調べたという。
 「どんな小麦がどんなものを作る上で適しているか調べました。大阪で以前行われた製菓製パンの展示会をきっかけに、国産小麦への興味を持つようになったので、独特の風味や膨らみ方などを見た上で、扱いを考えながら練習を進めていきました」(遠藤さん)

日本の四季をテーマに作品を展開

 遠藤さんは見事予選を通過し、2月28日の決勝大会に出場することになった。遠藤さんを含め4人の選手が集まる中、長時間にわたる精神的にも肉体的にも厳しい戦いが繰り広げられた。
 「自分の場合、練習でたくさん失敗し、その分どうやったら失敗してしまうか学んだので、本番では逆にその失敗を繰り返さないように心がけました」(遠藤さん)
 今回、遠藤さんが掲げたテーマは「日本の四季」。そのテーマに沿ってまず「発酵させた生地の折り込みの製品2種類」については、初夏をイメージしフランボワーズをのせた「クロワッサンフランボワーズ」と、花の形に成形した折り込み生地に栗を入れて焼成し、秋をイメージしたトッピングを施した「フルールドクロワッサン」を作成した。
 「発酵生地にフィリングを詰め、焼成後は手を加えないもの」という課題では、秋をイメージした「メイプルメロンパン」と春をイメージした「三日月抹茶あんぱん」を作成。
 「どこのパン屋にもあるのがメロンパンとアンパンですが、そこに少し手のこんだ要素を加えて、独自のものを作りました」(遠藤さん)
 「三日月抹茶あんぱん」は、ブリオッシュ生地に表面がザクザクとした抹茶風味のマカロン生地を巻きつけ、中には遠藤さんが好きな素材である求肥を入れ、もちもち感を出した。
 「外と中で対照的な食感を楽しんで欲しいと思いました」(遠藤さん)
 一方、「発酵生地にフィリングを練り込み、焼成後のトッピングは自由に行って作る製品」という課題では、一つ目が、オレンジダマンドとクリームチーズ、マカデミアナッツなどをブリオッシュ生地に練り込み、シュトロイゼルを下に敷き詰めて長方形の型に入れて焼成した「オレンジアフタヌーンティー」で夏を表現。
 二つ目はアールグレイの茶葉を練り込んだブリオッシュ生地に、ドライフルーツのアップルとジンジャー、パイナップル、ホワイトチョコなどをのせてクグロフ型につめて焼成した「アップルジンジャー」で、秋から冬の季節を表現した。
 「発酵生地に具材を練りこんだパン」の課題では春をイメージした「贅沢ほうじ茶クリームサンド」と冬をイメージした「真っ赤なリンゴタルト」を作成。
 「贅沢ほうじ茶クリームサンド」は実は作るのに一番苦労したという。生地にも間に挟んだクリームにもほうじ茶パウダーを入れたが、ほうじ茶パウダーは発酵を阻害するので入れすぎると良くない。しかし少なすぎると香りがつかない。さらに、パンの上部をトゲトゲのフォルムにするため焼成前にカットする角度や深さが難しかった。
 「しっかり生地作りができていないと綺麗に開かないんです。練習では失敗続きでしたね」(遠藤さん)
 「真っ赤なリンゴタルト」は焼き菓子の要素が強いパンをひとつ入れたいと考えた結果の製品。タルト生地にのせたリンゴ果肉をグリオットチェリーのシロップ漬けで真っ赤に色付けし、レモン果汁で酸味を、ローストナッツで香ばしさを出した。形もなるべく規定の12個全てで縁の高さを揃えたかった。
 「どのパンも主役になれるよう、色味、形、味、香り、食感のすべてが、製品の個性として注目してもらえるように作り上げました」(遠藤さん)



オレンジダマンドなどをブリオッシュ生地に練りんだ「オレンジアフタヌーンティー」
ブリオッシュ生地にドライフルーツなどをのせて焼成した「アップルジンジャー」
ほうじ茶パウダーを生地にもクリームにも練り込んだ「贅沢ほうじ茶クリームサンド」
冬をイメージして、りんごをトッピングして焼き上げた「真っ赤なリンゴタルト」
遠藤さんが所属する「ヴィロン丸の内店」は、本格的なフランスパンで有名
記憶に残るインパクトがあるパンを作りたい

 「大変でしたが、練習でたくさん失敗した経験が役立ち、本番では100%失敗しないで制限時間内に作り上げる事ができたのが良かったのではないかと思います」と遠藤さんは言うが、競技の中で遠藤さんが評価されたのは、作品の持つ個性を生かした斬新なディスプレイが施され、「日本の四季」というテーマがうまく表現されていた点も大きかったという。
 例えば初夏をイメージした「クロワッサンフランボワーズ」の展示では、段ボールを活用したスロープの上に形と色味が印象的なクロワッサンが並べられ、インパクトがあった。
 「視覚や食感として強く印象に残って記憶してもらえることって、大切だと思うんです。そうした製品を作る人への純粋な憧れがあってこの世界に入ってしまったという感じです」(遠藤さん)
 埼玉県朝霞市出身の遠藤さんは、10代半ばに、両親に連れられ、東京・丸の内にある「ヴィロン丸の内店」を初めて訪れた。現在の勤務先だ。
 「初めて食べたヴィロンのパンがすごくおいしくって。父親が調理師だったので、おいしい店をよく知っていたのですが、ヴィロンはバゲットレトロドールなどを筆頭にあらゆるパンがおいしくて綺麗だし、店の内装も綺麗で、ずっと魅力を感じ、憧れていました」と遠藤さんはいう。
 さらに「パン職人を目指したのは、パンを作る事だったら、そんなに難しくなく楽しくできるかも知れないと浅はかですが思ってしまったということもあります」。
 実際は大変な仕事だという事は後で知ったが、現場に出るなら早い方が良いという調理師の父親の助言もあり、高校卒業後すぐにパン職人になるため就職する道を選んだ。
 ただし憧れの「ヴィロン」は条件が経験3年以上だったため、池袋のホテルベーカリーに就職した。そこで2年強の間働き、「ヴィロン」へ移る。そこで先輩達の背中を見ながら必死で頑張って5年が経過した。
 「パン作りはまだまだ奥が深く、もっと勉強していきたと思っています。ただ自分の中では五感に伝わるインスピレーションも大切にしたいと考えています。自分が優勝したことについては、まだそこにふさわしいのかどうかわからず複雑ですが、安易に満足せず、上を見て変化していけるようなパン作りを続けていきたいと思います」(遠藤さん)
 相談に乗ってくれた先輩や試食に協力してくれた両親など周りの人たちが喜んでくれたのは良かった、と遠藤さんは感じている。今までの仕事を振り返る事ができ、外の世界を見ることができたのは大きな刺激になったという。
 遠藤さんは「自分が純粋にパンを作るのが好きだと気づいた事が一番大きな収穫でした」とも話した。
 ベーカリー業界へ就職して7年間、厳しい世界で、他の道に進んだ同世代の若者を横目に見ながら羨ましく感じ、思う通りにいかないと、くよくよすることもあったというが、遠藤さんは「続けてきて良かったと思えるようになりました。後輩に伝えられる事があるなら、失敗は無駄にならないという事です。自分の場合、不安な時期が長かったからこそ結果を出せたと思いますね」と語ってくれた。



優勝は入社後12年間の積み重ねの結果「神戸の山食」で培った力が活きた - イスズベーカリーの菰田悠記さん(食パン部門優勝=農林水産大臣賞受賞)
食パン部門で優勝し「農林水産大臣賞」の栄光に輝いたイスズベーカリーの菰田悠記さん
菰田さんが作り上げた優勝作品。手前左が「灘五郷」。右がクランベリーとリンゴのドライフルーツを練り込んだ「朱い宝石」。後ろがプルマンの「もっちり極み」
「基本的な食パン・プルマン1種」の課題で作ったプルマンの「もっちり極み」
灘の酒粕と兵庫県加東市のもち麦などを使った食パン「灘五郷」
ドライクランベリーとドライのリンゴを練り込んだ「朱い宝石」
「朱い宝石」の生地にドライフルーツを練り込んでいる様子
ギリギリの時間で作品の製作を進めていった

 「競技が始まるまでは、心配で不安だらけでした。なんとなく期待できるようになってきたのは、競技の中盤以降。自分の作った生地の様子を見て、他の選手と差をつけることができたかもしれないと感じた時からですね」
 「第5回ベーカリー・ジャパンカップ」の食パン部門で見事優勝し、「農林水産大臣賞」に輝いたイスズベーカリーの菰田(こもだ)悠記さんは、当日の競技についてこう振り返る。
 「ベーカリー・ジャパンカップ」の食パン部門での最終決戦は、「基本的な食パン・プルマン1種」「健康栄養を考慮した食パン1種」「ドライフルーツ食パン(ドライフルーツを基本としその他具材も使用可)1種」の3つの課題で、制限時間内に3種類の製品を作るという流れで行われた。制限時間は前日の準備のための1時間と、当日会場での作業6時間の合計7時間だ。
 制限時間内で、普段とは違う環境で、小麦も国産小麦100%という条件で作業する中で、苦労したのは、普段の業務通りにイーストの使用を極力抑え低温長時間発酵させようとすると、制限時間内に規定の数量を完成させる事ができなくなってしまうことだった。
 「長時間の発酵は、味、香り、食感の全てに関わることですから、安易に省略したりはできません。だからその場の生地の状態を見極めながら、今までの経験で培ってきた感覚をフルに活用しながら、何とかギリギリの時間で進めていった感じでしたね」(菰田さん)

アイデアを生かしてSDGsも提案

 菰田さんは香川県出身。地元の高校を経て大阪のエコール辻大阪製パンマスターカレッジ(現辻製菓専門学校)を卒業後、新卒で神戸の老舗として知られるイスズベーカリーへ2011年に入社。以降12年間同社での業務を通じパン職人としての研鑽に励んできた。今回の出場は職場の皆の協力もあってできた事なので、受賞の喜びは様々な人への感謝の気持ちにも繋がったという。
 今回の大会で菰田さんが作った作品は、SDGsに関わるようなアイデアも注目を集めた。「健康栄養を考慮した食パン1種」のテーマで菰田さんが製作に取り組んだのは、「地産地消」のコンセプトで、灘の酒粕と兵庫県加東市のもち麦など地元の素材を積極的に取り入れた食パン「灘五郷」だ。
 「灘五郷」という商品名の使用許可は既に得ており、近々店頭でも実際に販売する事が決まっている。価格は3斤分の量がある1本で1600円位を想定。神戸市にほど近い加東市のもち麦は、国産のもち麦がまだほとんど流通していない中、市が特産品化を目指し2017年の秋蒔きから栽培を開始した。
 審査での評価のポイントの一つのプレゼンテーションでは緊張しながらも、酵素が多く、ビタミン類やアミノ酸も含まれる酒粕の健康効果、食物繊維が豊富で血糖値の上昇を防ぐもち麦の栄養価の高さなどの説明を行った。
 「ドライフルーツの食パン」は最も自由度が高い課題だったので、作品である「朱い宝石」のレシピ考案には苦慮した。パンに練り込む素材は菰田さんがもともと好きだったクランベリーのドライフルーツを採用。加えてリンゴのドライフルーツも使用し、全体のバランスを考えた上で各素材の適量を練り込んでいった。
 「ドライフルーツは多く入れると生地が重くなり、外側の焦げ付きが増えて苦味が出るなどの問題があります。一方で量が少ないと味が抑えめになってしまいます。だからそこをうまく調節しながら素材同士の調和も考えてまとめていった感じですね」(菰田さん)

井筒英治会長の教えの真意を理解した

 制限時間ギリギリの緊迫した状況での競技だったが、最終的には菰田さんの職場であるイスズベーカリーの井筒英治会長の教えが支えになった。
 「手間をかけながらも一連の作業を丹念に行っていく事で本当においしいものが作れるというのが私が務めるベーカリーの井筒英治会長の教えです。自分の中では日々の業務の中で当たり前にやってきた事も、外に出てこうした経験をした事で、その真意を改めて理解しました」(菰田さん)
 菰田さんが今回「ベーカリー・ジャパンカップ」への出場を決めたのは、もともと同社の中にはコンテストへの出場に前向きな雰囲気があり、「ベーカリー・ジャパンカップ」も含め過去に何らかのコンテストで受賞経験のある社員が何人かいたことも大きい。
 さらにその中でも「食パン部門」での出場を決めたのは、菰田さんが所属するイスズベーカリーが1946年創業の老舗で、「神戸の山食」として知られるほど、長く多くの人から愛される食パンを作り続けてきた事がある。昨年9月に本社工場が創業の地である神戸市中央区から同市兵庫区へ移転したが、新工場では山食パンの形をした看板を掲げた。
 「会社にとってもターニングポイントとなっている今、イスズベーカリーからの選手として出場するのであれば、やはり食パンで競わないと、と思いましたね」(菰田さん)
 実は菰田さんは過去に兵庫県協同組合主催の「パングランプリ兵庫パンコンテスト」へ出品した「アップルローズデニッシュ」で神戸市長賞を受賞した事があった。当時は周りの勧めもあって何となく成長の一助になればと思って応募したコンテストだったが、この時の受賞を機にコンテストというものに対する意識が大きく変わったという。
 「社会人になってからずっと一つの会社で仕事をしていたので、外の世界を見ることができたのはとても刺激的でした。神戸はパン屋さん同士が仲良くて、ライバル意識というほどのものはないのですが、お互い競う事で切磋琢磨し合い、負けても勝っても良い経験になると知りました」(菰田さん)
 ただ「ベーカリー・ジャパンカップ」となると、全国区のコンテストなので、ハードルもさらに高くなる。しかし、実は菰田さんの2年上の先輩である宇田大希さんが2015年の第2回「ベーカリー・ジャパンカップ」の菓子パン部門に出場し優勝していた。先輩の話を聞き、同コンテストに対する想いはさらに膨らんでいったという。
 「普段の業務の中で時間と場所を貸してもらいながら練習をするのも大変です。ただ普段お店で出しているものとは違うパンを作るのは、そうそうない経験なので、気を引き締めながら真剣に取り組みました」(菰田さん)



表彰式で喜びを表現する菰田悠記さん
表彰式で農林水産大臣賞を授与される菰田悠記さん
菰田さんが所属するイスズベーカリーの看板商品「ハード山食」
後輩の指導にもしっかり取り組みたい

 地元の香川県で祖父の代までは農家だったという菰田さんは、周囲に農家の人も多く、農業の大変さも身近で見てきた。自分たちも農家ではないものの畑があったので、自分の家族が食べる分くらいの野菜は自給自足で作って食べて育ったという。
 「仕事で農業をやっている一次産業の人達は、雨風関係なく毎日必死で仕事をしていて、本当に大変だと思います。そうした農家の人達の思いは大切にしたいですし、だから地産地消のために、パンの材料として色々な地元の素材を使っていくことで少しでも助けになれればと思っています」(菰田さん)
 菰田さん自身が入社以来ずっと感じてきた事に、何をするにも、色々な人に助けられ、支えてもらいながら成長させてもらったという事がある。
 だから今後は後輩の指導にもしっかり取り組みたいし、店頭に出す受賞作品も含めて店で販売する商品は、今後もしっかりと良いものを作っていきたいという。
 菰田さんが後輩に伝えたいのは「パンを作る事はすごく素晴らしい」ということだ。
 「自分たちが作ったパンを食べて、誰かが喜んでくれるのって、本当に嬉しいことです。それまでのしんどかった事とかも吹っ飛んでしまうんですよね」と菰田さん。
 また、コンテストについては「コンテストに出る事で得るものって、それまで培ってきたものとはある意味全然違うと感じました。コンテストへの出場はすごく刺激になることですから、後輩も自分から興味を持って出たくなるような環境作りをしてあげなくてはならないと思っています」。

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