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| 連載/2023年4月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| ベーカリーの人の問題と職場としての特性について考えてみる - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(70) | |
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前号で「人手は足りていますか?」のテーマで、特集を組みましたが、今回はその取材内容を手掛かりにして、ベーカリーの人の問題と職場としての特性について考えてみたいと思います。
取材させて頂いたベーカリーのうちの一軒のオーナーは、「一から独立して店を構えたいという若者は少なくなってしまいましたね」と話していました。 パン業界に就職しようとする若者に人気なのはチェーンストアなどの大手に偏ってきている傾向があり、そうした若者の多くは一般的な会社員と同じような生活を好み、サラリーマン化してきている印象があるといいます。 同オーナーは「スタッフの半分以上を2代目、3代目のパン屋の息子さんが占めている状況です。彼らの多くは親の店を将来は継ぎたいが昔のやり方ではダメだからここで何かを学びたいと感じています。だから目的意識が強い子達なのです」とも話していました。 一昔前は、パン屋の子供ではなくても、ベーカリーを一から立ち上げて、独立したいという強い思いを持つ若者が多くいて、小規模のリテールベーカリーはそうした人達の修業の場になっていました。 一流のパン職人が一流のパン職人を育て、育ったパン職人が独立して、そこでまた新たなパン職人を育てるという循環は、日本のパン文化を育て、後世に継承していくための有効なシステムとして機能してきたと言えるかも知れません。しかし、そこには雇用主と従業員の関係についての意識が薄く、どちらかというと、師匠と弟子の関係性が重要視されてきました。 一方で、様々な社会情勢の変化と共に、人々の所得格差が広がり、さらには情報化社会の出現とともに、人々の権利意識が高まってくると、パン職人を育てるための修業の場の負の部分が照らし出されるようになりました。 これに呼応して、最近では小規模リテールベーカリーでも、労働条件の整備や福利厚生の充実がなされるようになりましたが、まだまだ十分ではないと指摘する専門家も多いようです。 近年の若者の気質の変化もあり、ベーカリ―業界でも、独立をして自分の店を持つことはせずに、腕のいいパン職人として、ベーカリーに雇用された状態で長く仕事を続けていきたいと考える人達も多くなっていますが、こうした人たちには、一店舗のみで、オーナー自らがメインでパンを作るベーカリーよりは、多店舗展開をしていて、各店に責任者が必要であるようベーカリーの方が適しているかも知れません。正社員として入社した従業員が徐々に昇進していくための役職の種類と数が最低限必要なので、一定数以上の従業員は必要になってくるでしょう。 また、パン職人を正社員として長期にわたって雇用していくためには、彼らが家庭を持って生活を維持していくのに十分な給料を払わなくてはなりません。そのためには、生産性を向上させ、利益が出る体制にしなければなりません。 私が知る大手チェーンベーカリーの役職者の年収は、会社によってかなり格差があるのが現実です。しかし、高額な給料を支給しているベーカリーも確実に存在します。 こうした状況を踏まえて、各ベーカリーのオーナーは、自分の立ち位置を考えなら、日本社会全体の慢性的な労働力不足の中で、人手の確保に日々取り組んでいます。 取材の中で浮かび上がってきたのは、従業員が会社に、そしてオーナーに何を求めているかを詳しく知ることの大切さです。従業員の想いと、オーナーの方針との間にミスマッチが生じないようにするために、従業員とのコミュニケーションの機会を可能な限り多く作っていくことが大事だと言えるでしょう。(RO) |



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