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| 講習会/2023年1月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| スチコン+ブラストチラー パンセミナー - ツジ・キカイ | |
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ツジ・キカイ(山根証社長)は11月29日、大阪市北区の同社堂島ラボで「スチコン+ブラストチラー パンセミナー」を開催した。講師は、兵庫県西宮市のブーランジェリー・フリアンド、谷口佳典オーナーシェフが務めた。ツジ・キカイのスチームコンベクションオーブンを使って食パンを効率的に焼く方法や、同社のブラストチラーを使って、焼きたてのパンを急速に凍結したり、冷やしたりする「熱々凍結」「熱々急冷」の各概念を紹介した。講習品目は「パン・ド・ミ」「バゲット トルデュ」「赤味噌のブールフルール」など。谷口オーナーシェフは、2021年にフランスで開かれた「第8回モンディアル・デュ・パン国際コンクール」に、日本代表選手とし出場し、優勝の栄誉に輝いている。
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| パン・ド・ミ | ||||||||||||||||||
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配合
最強力粉(スーパーキング)………100 グラニュー糖…………………………10 塩……………………………………2・1 インスタントイースト赤………………1 加糖脱脂練乳……………………………5 牛乳……………………………………10 吸水……………………………………62 無塩バター………………………………5 工程
コンベクションオーブン導入で空いたデッキオーブンひと窯1時間で5倍の売上が出せる 谷口講師の話 粉は、スーパーキングで、日清製粉さんの最強力粉です。それとグラニュー糖、塩は博多の塩、インスタントイースト赤、加糖脱脂練乳、牛乳、給水、バターを入れていきます。バターは生地がある程度できてから入れます。 僕は、お店では食パンはストレート法で作っています。玉取りして冷蔵の方が効率がいいという人もいるかもしれませんが、いかんせん食パンというのは一番よく売れるアイテムですので、冷蔵庫を食パン生地に占領されるのを防ぐためにストレート法で仕込んでいます。パンを作っていく工程の中で食パン生地を置いておく場所がないんですよね。 お店で作る場合は、パートフェルメンテを30%入れています。なぜかというと、短時間でパンを作るので、熟成を添加して味に深みを出すためです。 ダブルアームミキサーはまだまだ日本では珍しい機械なんですけれども、世界に目を向けると、最も歴史が古いミキサーですね。このミキサーは、手で混ぜるような混ぜ方をしますので、吸水の多いパンには凄く適していると思います。 今捏ねているスピードを見ていただくと、普通のスパイラルミキサーより遅いのではないかと思われる方もいるかと思いますが、遅く感じる割には、生地の出来具合はスパイラルミキサーとあまり変わりません。僕はそういう印象を受けています。 お金の話で恐縮なのですけれども、お店の売り上げは、ひと窯いくらで考えます。デッキオーブンの1段で3斤棒で12本の食パンを焼くと50分以上かかりますので、食パン1本900円として小一時間かけて1万800円にしかならないんですよね。そこにこのコンベクションオーブンを導入すれば、食パン12本が30分で焼けて、しかもデッキオーブンの食パンひと窯50分間が空くんです。 この空いた窯で4枚差1段で1時間かけて200円のあんパンを大量に焼くと、48個を10分で焼くとして、それを6回転させれば、5万7600円という金額をひと窯の1時間で出せるわけです。うちでは、コンベクションで、朝から晩まで食パンを焼いています。他のハード系のパンや、菓子パンをデッキオーブンで焼き続けることができるようになったので、売上はかなり上がりました。効率もかなり上がりました。 | ||||||||||||||||||

| バゲット トルデュ | ||||||||||||||||||
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配合
石臼挽き小麦粉(ロレンス)…………70 フランスパン用粉(リスドオル)……30 インスタントイースト赤…………0・4 塩…………………………………………2 吸水……………………………………70 ハイギーA…………………………0・2 パシナージュ(足し水)………………10 工程
ドウコンから出たら、成形して少し休ませてすぐに焼けるところが効率化のポイント 谷口講師の話 ミキシングは、粉、水、インスタントイースト、塩、ハイギーAを入れます。ハイギーAは、胚芽をローストしたものなのですが、これを入れてあげることによってパンに香りづけができます。低速で捏ねて水和させた後、オートリーズ20分で、生地を寝かせます。フランスパンの基本的なミキシングです。オートリーズが要るか要らないかは配合している材料で判断していただければいいと思います。本捏ねを(オートリーズ後さらにミキシングを)して生地の表面が滑らかになってきたら、パシナージュ(足し水)を入れていきます。生地の状態を見ながらやっていけば、いい生地ができます。生地を触ってその状態を感覚的に把握しておく必要があります。 一晩冷蔵発酵させるので、ミキシング終了時の生地のグルテンのつながりは弱い状態にとどめておきます。生地の膜をはって切れるときの穴のふちにとげのような感じが残る状態が目安です。ミキシングはアンダー気味になります。 オーバーナイトだとパンの食感が重たくなります。冷蔵障害でグルテンの機能が損なわれるためです。僕はそれが嫌なので、仕込んだ後冷蔵庫に入れる前のフロアタイムでパンチを3回打って、生地に力をつけておきます。 冷蔵発酵が終わって、ドウコンから出てきたら、成形して少し休ませてからすぐに焼けるというところが効率化のポイントです。 僕が生地の何を見て判断しているかというと、生地を指で少し押して穴を開けた時に生地が少し戻ってきて、指の型が少し残るぐらいの状態かどうかを見ます。これはすべてのパン生地に共通することですが、この状態になったら生地に対して何かをしないといけないんですね。その状態でさらに何もせずに置いておくと生地が緩みすぎて、指で押しても戻ってこない状態になり、生地はもう元の状態には戻りません。 この製品(バゲットドルデュ)の場合は、生地を指で少し押すと生地が少し戻ってきて、指の型が少し残る状態になったら、分割、成形して焼きます。 | ||||||||||||||||||

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コロナ禍で学校給食がストップしたことがきっかけで、パンのネット通販を始めた
谷口講師の話 「熱々凍結」の話をしたいと思います。皆さんも、お客さんに「パンは残ったら冷凍してください」と勧めているのではないかと思います。パンはグルテンを作って焼く食品ですが、パンにとって一番悪い温度帯は、冷蔵の温度帯です。この温度帯がパンを一番老化させます。急速冷凍することでこの温度帯にいる時間を短くしてあげると、パンの寿命が延びるということになります。 うちは学校給食用のパンも作っていて、契約している学校は十数校あります。そんな中でコロナ禍が起こり、学校給食が一時的になくなってしまった時期がありました。当然売り上げが立たなくなり、従業員もたくさん抱えていますので、売上を補充しなくてはならなくなりました。そんな中で始めたのがECサイトでのパンの通販でした。最初はパンの職人として、「冷凍パンはちょっと」と思っていましたが、冷凍のどこが悪いのかということをよく考えてみると、パンが一番悪くなる冷蔵庫の温度帯、3度から10度ぐらいの部分を早く抜けてやれば、パンのフレッシュな状態を維持することができるのではないかと考え、カネカさんのECサイト、パン結びに出店しました。 パン結びでは、僕は残ったパンは絶対に出しません。店で残ったパンは廃棄という方向にいくのですが、廃棄する直前のものをお客さんに送るというのは、すごく失礼なことだと思っているからです。焼きたてをすぐにショックフリーザーに入れて凍結するという条件でのみ、冷凍パンを受け入れています。 チーズや小麦粉がどれだけ値上がりしようが、結局一番高いのは人件費 谷口講師の話 原材料費が上がっているのはしょうがないし、人件費が上がっているのもしょうがないと思います。クロワッサンとパンオショコラは、工程の数はあまり変わりません。チョコレートを2本巻くだけで200円のクロワッサンが260円のパンオショコラになるわけです。でもチョコレートは60円はしません。チョコレートは1本10円前後です。それをチョコレートが2円上がったからと言って、20円値上げしたら、お客さんに背を向けられ、買ってもらえなくなって当然なのかなと僕は思います。 いろんな場面で効率化ということをすごく考えてます。現実的な話をすると、フリアンドという会社は僕で3代目になるのですが、10年前に僕が引き継いだ時と比べたら売上は2・2倍ぐらいになっています。売上が2・2倍になって、しかも労務費が下がっていますので、利益は増えています。効率よくやることで労務費は確実に下がります。 パン1個だけで考えると微々たるものですが、その積み重ねによって利益は大きく向上します。 色々なものが値上がりしていますが、生産を効率化することで吸収している部分が大きいと思います。チーズがいくら値上がりしようが、小麦粉がどれだけ値上がりしようが、一番高いのは結局人件費です。だから生産効率を高めることで、人件費をいかに抑えるかが大きなポイントになってくると思います。 |

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フランスで身に付けた本質的なパン作りのキーワードは、「適当」という意味深い言葉だった
谷口講師の話 ドンクで6年半働き、そのあと、フランスに住んで、パン屋さんで働きました。そのときに一番びっくりしたのは、フランスでは材料の計量をしないことです。フランスはフランスパンの国ですから、バゲットの消費量は多く、1日1000本ものバゲットを僕一人で作っていたのですが、1日それだけのバケットを焼くということは、40キロの粉袋を持ってミキサーに投入したり、お店によってはミキサーの上にサイロがあって、ボタンを押すと40キロの粉がミキサーに投入されるシステムになっていたりしました。40キロの粉に対して、6割から7割ぐらいの水を入れてやるのですが、それをいちいち計っていると1日4回も5回も生地を練らなくてはいけないので、間に合いません。計っている暇がないんです。 ホースで水を入れて生地の固さを見ながら給水していきました。フランスでは17歳とか18歳の若い子らに今日は雨が降っているからパンは長めに焼いた方がいいなどと教えて、パン作りを感覚で覚えさせます。文化の違いを感じましたし、1年間フランスに住んでいたんですけれど、僕が向こうで得た最も大きなものは、そのような感覚で覚えるパン作りですね。「適当」という言葉がぴったりです。適正、適切という意味の「適当」です。それが学べたのが最も有意義でした。 皆さんに応援していただいたおかげでコンクールで世界1位になりましたが、実はコンクールの場ではいっぱい失敗しています。ヴィエノワズリーの生地がシーターに巻き込まれたりとか、そういうこともありました。その時は終わったと思いましたね。でも、最後の最後まで諦めずに形にして出したら、いい結果が出たんです。 その他にも、コンクールで、生地の吸水の量を間違えたりしました。めちゃくちゃな生地を作ってしまったのですが、粉を足して塩を足して色々他にも調整して、最終的に健康パンの部門で1位を頂きました。それも、フランスで「適当」という感覚を体得したおかげでした。 フランスで日本のパン屋の製品開発をやったことが、自分のパン作りに柔軟性と深みを与えた 谷口講師の話 僕がフランスに住んでいた時の話に戻るんですけれど、実は、一時期フランスで日本のパンを作っていました。父もパン職人で、神戸のパン組合の旅行で父がフランスに来たとき、「フランスまで来て何してんねん」と父にも、一緒に来た県パン組合の人にも言われました。それはそうですよね。フランスまで来て日本のパンを作っていたら、何を勉強しに来たのかということになるのは当然です。でも僕にとっては、フランスで日本のパンを作ることが重要でした。 フランスには我々が普段日本で使っているような粉はないので、そんな中で同じような日本のアイテムを作るというのは、フランスでバゲットを作るよりもはるかに難しいんです。僕はそう思って挑戦していました。 フランスで新しくパン屋をオープンしようとしていた日本人のために日本のパンを作ったのですが、そのことが僕にとってはすごくいい経験で、その店のパンを試作するにあたってもかなりの種類の粉を触ることができました。 また、フランスにあんこはないので、あんこは自分で炊いていました。カスタードクリームも自分で炊いていました。その他、ありとあらゆる具材を自分で一から作っていました。 僕が人生の中で一番成長できたのが、フランスで日本のパンを作っていた時だと思います。 |
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この講習会が、ブーランジェの方々にとって自分の人生を考える場であってほしい
ツジ・キカイ、山根証社長の話 私がセミナーをやりたいと思う理由は、講師の方の話を聞きながら、人生について考えたいからです。技術的なことを学ぶことはもちろん大事なんですけれども、一番大切なのは、自分たちがどういうふうに生きていくのかを考えることだ考え、私はいつも講習会を企画しています。そして「挑戦する人生が楽しい」といつも考えています。本日の講師の谷口シェフはパンの世界大会のモンディアル・デュ・パンの選手として、優勝という成果を得ましたが、そこにたどり着くまでには、私たちの知らない苦労がたくさんあったと思います。チャレンジした人にしか分からない様々な想いを知り、共有したいと思っています。 私たちは今「熱々凍結」と「熱々急冷」という2つのキーワードを掲げて活動しています。私たちはパンの焼成をテーマにして、様々なオーブンを自社で開発してきましたが、今はパンを焼いた後も大事だということを伝える活動をしています。パンを焼いた後に熱々のまま一気に冷やすことと、凍結することによってパンがおいしくなることが分かり、自分でもびっくりしています。 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。




















