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| 特集/2022年12月号 |
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| 世田谷パン祭り2022
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今年の「世田谷パン祭り」には、世田谷区の内外から集まった毎年常連の人気店が揃う一方で、今年初めて参加したという店もあった。 東急大井町線の上野毛駅前に昨年7月にオープンした「ブーランジェリー シュシュクリエ」は今年初めて参加。不飽和脂肪酸を多く含む雑穀8種類を使った食パン「オメガ8」(税込350円)の1品目のみを販売。同店でパンの製造を行うシェフの朝倉陸さんは、今年のパン祭りのテーマの「パンの未来」に絡めて、「未来は引き続き、小麦や様々な食品の値上げが続き、戦争やパンデミックなどの影響を引きずったりと、厳しい状況に見舞われる事が多いかもしれません。だからこそ、そんな状況下でもしっかり栄養を取れるおいしいパンを届けていきたいと考えています」と語ってくれた。同店は、特別変わったものではなく日常食として毎日無理なく食べられる食事パンを出すことに力を入れているという。 「高齢の人も多く住む地域なので体の事を考えた安心で安全なパンづくりをしていきたいですね」(朝倉さん) 実店舗を持たずネットや催事のみで販売を行っている埼玉県草加市の「てまりパン」は、「世田谷パン祭り」限定のパンとして、いちごジャムとチョコとミルクで仕込んだマーブル模様の食パン「いちごとチョコとミルク」を販売していたが、人気のため昼前には完売。そのため代わりに、ネット販売で人気の「かぼちゃとミルクの食パン」(1斤税込600円)を一推し商品としてすすめてくれた。 「一年で最も力を入れているイベントです。独立する前に働いていた店の時代も含めると、このイベントには2011年の第1回からずっと参加しています」(代表の三林真利子さん) 同店は、厳選された食材で大切にパンを作る。店の名前は店内で育てている朝顔の「てまり」からとったものだ。全体的に可愛らしい感じの売り場や商品が印象的だった。 一方、茨城県に工房を構える「せたがやブレッドマーケット」は、食べ切れる大きさの「毎日サイズ」のパンを提案。以前は、世田谷区内に店舗を構えていたが、オーナー夫婦に子供が生まれてからは茨城へ転居。今は実店舗を持たず、ネット販売や催事への出店が中心の形態へ移行したという。 「世田谷パン祭り」には、2014年の開業前からパン屋開業セミナーなどのワークショップで参加していて思い入れがあり、今年も引き続き参加した。今年は同イベント限定のパンとして日本酒の雰囲気を楽しめる和風のパン「酒粕まめぱん」を用意した。今後は色々な種類のパンを全国どこでも楽しめる「冷凍パン」の可能性を追求していきたいという。 | |||||||||||||||||||

昨年に引き続き2回目の参加となる千葉県市川市の「ベーカーズプレイス」は、同イベント限定商品として季節を意識した「栗だらけマロンサークル」(税込600円)を販売。また、ハロウィン前なので「パンプキンパイ」(税込350円)を大量に揃えたほか、実店舗で不動の人気を誇る食事パンの「ハードトースト」やライ麦系食事パンの詰め合わせ、ハロウィンの焼き菓子の詰め合わせなども販売し、好評だった。実店舗でもギフト商品には力を入れているという。 「まだクリスマスまで間があるので、今は機会を逃さずハロウィンの催事商品をしっかり売っていきたい」と同店スタッフは話してくれた。 世田谷区池尻に昨年オープンした有機野菜を扱う八百屋「YELLOW DAILY CLUB三宿」は、帯広市のオーガニックパン工房「風土火水」が作ったパンを販売。「風土火水×八百屋YELLOW DAILY CLUB三宿」の名前で共同出店し、同イベント限定パンの「ビオショコラ」(税込700円)や、実店舗で人気の「雑穀」(税込650円)、「くろぱん」(税込800円)などの食事パンを販売していた。 「有機の小麦や農作物を使用し職人が手捏ねで仕込み、じっくり長時間発酵させた生地を薪窯で焼成したパンです。最も原始的な方法で時間をかけて作った完全無添加のパンの良さを知ってもらいたいと思っています」(YELLOW DAILY CLUB三宿店主の村田裕貴さん) 全国的に食パン専門店のプロデュースを行っている事で有名なジャパンベーカリーマーケティングのブースでは、全国各地のご当地食パンを販売。地元食材を使用した食パンや、チーズケーキ食パン、ピーナツ食パンなど、様々な種類の食パンが販売された。 トルコ文化センター内にあるカフェ「ユヌス エムレ カフェ」は、トルコを代表するパンの「シミット(ごまパン)」(税込400円)を販売していた。 「来年のトルコ共和国建国100周年記念に向け、日本の人たちにトルコのことをもっと知ってもらおうと活動しています」と同センターの岡部誠一さん。 昼間は八百屋、夜は居酒屋として営業する「イエローページセタガヤ」は、八百屋で販売している有機野菜を練り込んだカラフルなベーグルや食パンを販売。「パンをきっかけに野菜に対する興味も深めてもらえれば」とオーナーの尾辻あやのさん。 三重県鈴鹿市から出店した「ドミニクドゥーセの店」は、イベントの終了時間である午後4時直前まで長蛇の列ができていた。列の一番後ろに並んでいた20代位の女性二人組にその理由を聞くと「テレビチャンピオンで2連覇したカヌレを買うために並んでいます」との返答だった。 | |||||||||||||||||||

気持ち良い秋晴れの中、盛況だった今年のパン祭りだが、会場では、「架空のラジオ番組」という設定のインフォメーションブース「世田谷パンラジオ」による番組配信も行われた。会場でのお知らせ情報やゲストトーク、パンに合うBGM、ライブトークなどの番組配信が行われるなか、世田谷公園内は休憩所で座ったり広場でレジャーシートを敷くなどして、購入したパンをその場で楽しむ人たちの姿が多く見られた。多くの家族連れが来場し、子供への風船配布ブースが人気を博し、外国人らしい人達の姿も時折見られるなどして、全国的な知名度も高くなってきている様子が窺える活気のあるイベントとなった。 多くの人が世田谷公園に集まってパンを買うことに集中する一方で、日本食糧学院や世田谷がやがや館などの近隣の会場で行われた「世田谷パン大学」の様々なワークショップも好評を博し、広い世田谷公園とワークショップの会場を行き来しながらパンを楽しむ人の姿も多く見られた。 中でも今回話題だったのが、現代美術作家のEAT&ART TAROさんとゲストとの間で繰り広げられたトークイベント「嫌いなパンの話をしよう」。10月29日の初日は日本ヴィーガン協会理事長の室谷真由美さんをゲストに招き、室谷さんが提唱するヴィーガン食についての話を交えながら、彼女が嫌いなパンの話をTAROさんが引き出した。 室谷さんはヴィーガンのパンがそうでないパンと比べて代わりなくおいしく食べられることや、約3500店近くヴィーガンの店を訪れた中で知っているおすすめのヴィーガンのベーカリーを紹介する一方で、実はハード系の硬いパンが苦手だという事を告白。 「ヴィーガンのパンに限ってハード系のパンが多かったりするのでなんとかして欲しい」などと話し、TAROさんと盛り上がっていた。 室谷さんは、世田谷公園中央噴水前で行われた「世田谷パンラジオ」の無料トークショー「わたしたちが考えるパンの未来」にもゲスト出演した。ヴィーガン食の魅力について話す一方で、アレルギーの子供も食べられるヴィーガン給食が導入されることを期待していることなどに触れ、、「パンの未来」への熱い思いについて語っていた。 | |||||||||||||||||||
今年は、昨年ほどアルコールの提供を自粛しなくても良くなったため、「パン呑み」ができる出店ブースも登場した。 ドリンクのコーナーでは、世田谷公園限定のワインスタンド「33vin」が設置された。また石川県金沢市を拠点に無店舗で独自のカレーを販売している「MICS KURRY」がイナセ工務店とのコラボで出したブースでは、カレーと合わせたビールの販売も行われた。 一方で、「パンとコーヒー」という定番の組み合わせを求める人々の姿も多く見られた。コーヒースタンド「Tokyo Coffee Lab.」のブースの前には、ベーカリーのブースに負けないくらいの人が並んでおり、その場で豆を挽いて提供する500円のハンドドリップコーヒーが大人気だった。 また、フードコーナーでは「Sun2Diner」のキッチンカーによる作りたてでアメリカンスタイルのハンバーガーや、「FUNGO三宿店」のホットドッグなどが人気を集めていた。 「パンのおとも」のコーナーでは、パン祭りの公式グッズや、パンの刺繍を入れたハンカチ、サンドイッチ型のポーチなどユニークなパンの雑貨などが人気を博したほか、ピーナツバターやジャム、ドレッシングなど、パンと共に楽しむ食品にも注目が集まっていた。 | |||||||||||||||||||
世田谷パン祭り2022実行委員長、間中伸也氏の話 今年は天候にも恵まれ、多くの人が来場し盛況だった。全国的にコロナ感染者数が減ったので心理的に外へ出やすくなったという事があるのかもしれない。 今年は飲酒を昨年ほど自粛しなくても良くなったので、「パン呑み」というテーマで企画を考えることもできた。専門家の指導の元、昨年より感染対策を幾分か緩和させている。 初回から11年たちイベントの様相は変わってきているが、地域の人に来てもらいたい、地域の人を大切にしたいという根本的な主旨は変わっていない。朝10時から10時40分まで地域住民が優先枠で入れる時間も設けている。 11年前にこのイベントを始めた当初から「地域のお祭りとして盛り上げる」「世田谷も含め有名店のパン屋さんに出店してもらって、多くの人に足を運んでもらう」という二つの視点を大切にしている。イベントの認知度も、地域の人やパン好きの人が高めてくれた。しかし、最近は遠方から来る人や家族連れの人が増えてきた印象があり、イベントの内容も年数を重ねながら変化してきている。 今回のテーマは「パンの未来」だが、変わっていくものの良さと、変わらないものの良さの両方を活かしながら、パンの未来について考えていきたいと思った。 健康志向、ヴィーガンなどがパンのトレンドになってきている一方で、伝統的なパン作りの源流に戻ろうという動きもある。こうしたことを見据えた上でチームで色々な企画を考えた。 「世田谷パン祭り」も色々な切り口で楽しめるイベントになってきている。パンを専門的に考えている人にとっても興味深いイベントだし、家族でちょっと来てパンを買って楽しめるイベントでもある。音楽も流れているし、パンを食べて食事もできるし、子供向けのワークショップでも遊べるし、会場には普通の家族連れも楽しめることがたくさんある。 しかし、マニアックな部分もしっかり残し、パンに関する様々な情報を真剣に探したい人にとっても意味のあるイベントになっている。 | |||||||||||||||||||
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