23年前のオープンから一貫して右肩上がり - パンステージ プロローグ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2022年10月号

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23年前のオープンから一貫して右肩上がり - パンステージ プロローグ
オーナーシェフの山本敬三さん
「パンステージ プロローグ」の外観。入口横にはテラス席が設けられている
右は通常サイズの「アップルカスタード」(税込425円)、左は半分のサイズの「アップルカスタード」(税込315円)
右は通常サイズの「アップルカスタード」の断面、左は半分サイズの「アップルカスタード」の断面
上段はクロワッサン生地を使った商品、下段はパイ生地を使った商品
「クロワッサン」(税込240円)の断面
前例のない挑戦もコンセプト通りの店へ

 神奈川県横浜市のベーカリー「パンステージ プロローグ」は、「わざわざ来てもらう店」をコンセプトに、周囲を畑に囲まれた場所で開業してから23年が経った。
 同店の並びは随分と宅地化が進み、地域の人口も増えた。しかし、道路を挟んだ向かい側は依然として畑が広がり、最寄り駅からの距離も2・5キロほどある。不利な立地であることに変わりはない。それでも土日ともなれば、約1000組の客足がある。平日も午前6時の開店時刻を待たずして、一足早く入店する常連客もいる。売り上げは開業から右肩上がりだ。目指したコンセプト通りの店へと成長を遂げている。
 オーナーシェフの山本敬三さんは立地についてこう話す。
 「修行時代の店は駅前や商店街などの好立地でした。集客がいい反面、パンのおいしさが正当に評価されて売れている訳ではないことを感じていましたね。自分でなくても、他の誰かが作っても同じように売れていくのだろうと。また、近くに新しいビルができれば人の流れが変わって、売り上げが落ちてしまうこともあります。こうしたことは自分の実力ではどうにもならないですね。開業当時、人けもないような場所で店をやるということは前例がありませんでした。前例がないという点で不安はありました。でも、わざわざ買いに来てくれる店にしたくて、この場所を選んだんです」(山本さん)
 好調な売れ行きに合わせ、製造量を増やすべく、これまで厨房を5回ほど増設してきた。開業当初と比べ、現在は倍近い広さとなっている。駐車場も、当初はなかったが、現在は隣の敷地に30台分ある。これほどの拡大は、市街地では難しい。
 「ここまで店舗を拡大してこれたのは、店のすぐ隣に住んでいる大家さんのご協力のおかげです。厨房の大きな変化は、リールオーブンの導入とパイルームを設けたことですね。リールオーブンを使うことで、主力商品である食パンの焼成時間が半分近くに短縮できています。パイルームは、『クロワッサン』(税込240円)を強化したくて備えました。パイルームができてから『クロワッサン』だけで3倍に、クロワッサン生地を使用した全7商品で5倍に売り上げが伸びています」(山本さん)
 コロナ禍になってから同店の売り上げは一段と伸びたという。密集地を避けて買い物をしたいという人の需要が高まったことが一因。立地の悪さが逆に功を奏した。
 「人込みに合わず来店でき、テイクアウト専門なので滞在時間も短いですからね。特に緊急事態宣言が出たときなど、普段の約1・5倍に売り上げが伸びました」(山本さん)

豊富な品揃えは客の要望の蓄積

 現在パンの種類は300を超え、サンドイッチだけでも45種類ほど揃う。コロナ禍で自宅で食事を用意する回数が増え、サンドイッチ人気がさらに伸びたという。
 「サンドイッチならほかに用意しなくても、それだけで食事を完結することができますからね。サンドイッチは元々力を入れていて、現在売り上げの約3割を占めています」(山本さん)
 これからの時期、5月中旬から9月末まで中止にしていた生クリーム使用商品が復活し、さらに種類が増える。種類の多さは効率を考えると負担が大きいが、現状を変えるつもりはないという。
 「減らそうとしたことはないですね。お客様一人ひとりの要望を聞いて誕生した商品ばかりです。お客様あっての当店ですから」(山本さん)
 客の要望で近年増えてきているのは、全粒粉を使った商品で、食パンやロールパンなどのラインナップに加えている。また、小さめのサイズの商品の要望も多い。
 「当店と一緒に、常連のお客様も歳をとってこられたことを実感します。自然と健康志向が高まって、全粒粉のリクエストは多いですね。大きさに関しては、『食べられる量が減ってきたからもう少し小さくして欲しい』などという声を聞きますね」(山本さん)
 同店の看板商品、丸ごと一個のリンゴのシロップ煮とカスタードをブリオッシュ生地で包んだ「アップルカスタード」(税込425円)は約5〜6年前、半分のボリュームにした商品の販売を始めた。中に包むリンゴは、1個を半分にカットして使用。
 焼き込み調理パンの小さめのサイズも作った。「チキンブール」(税込100円)や「チーズロール」(税込140円)、「ウインナー」(税込140円)などがある。
 「サイズだけでなく、から揚げを包んだだけとか、ソーセージを巻いただけとか、シンプルであることと、税込100円台前半の値段に抑えることにもこだわりました。好評ですよ」(山本さん)
 小さめのサイズの商品開発だけでなく、ハーフサイズのカット売り商品の充実も図っている。



活気に満ちた店内。どの時間帯でも客が入れ替わり立ち代わり訪れるのが同店の特徴だ
小さめのサイズの焼き込み調理パンが並ぶ。「チキンブール」(税込100円)や「チーズロール」(税込140円)、「ウインナー」(税込140円)など
東急田園都市線「たまプラーザ」駅から徒歩2分の場所にある販売店「プロローグ パサージュ」
「プロローグ パサージュ」の店内。パンは「パンステージ プロローグ」から1日5回配達している
人材確保が困難な時代にも手作りを貫く

 製造量、種類数ともに多い同店。現在製造スタッフは20人おり、そのうち平日は10人、土日祝は売り上げが平日の倍近くになるため18人が勤務している。
 人材の確保が近年の一番の課題だ。山本さんは未来のパン職人が通う専門学校の講師も長年務めている。
 「パン業界を目指す学生が激減している中、就職希望先も当店のような個人店より大手の方が多く、離職率も年々高くなってきています。製造技術だけでなく経営のことまで学んで独立開業したいという熱意を持った人も、なかなかいませんね」(山本さん)
 厳しい人材不足が続く中、同店は雇用環境の改善に取り組んできた。6年前、同店から約2キロ離れた最寄り駅近くに、販売店を設けたのもその一環だ。効率よく利益を確保でき、労働時間短縮などに繋げることができている。
 今後も同店はオールスクラッチを貫き、手作りだからこそ提供できるパンの魅力に磨きをかける。
 「設備や人手がなく、クロワッサンをシートを仕入れて作る店が珍しくなくなってきており、この傾向は今後も強まっていくと思います。クロワッサンは作るのに高度な技術を要しますから、当店はそこに力を入れることで、圧倒的な差別化を図りたいと思っています。そして定番の食パンなど、生地だけのパンがおいしいと言われる店でありたいと思いますね」(山本さん)

SHOP DATA
店名:パンステージ プロローグ
住所:〒225‐0001 神奈川県青葉区美しが丘西1−3−1
電話:045‐902‐7879
営業時間:午前6時〜午後7時
定休日:なし
品揃え:約300品目
スタッフ:製造常時10人(平日)、18人(土日祝)、販売常時10人
店舗面積:厨房約30坪、売り場約12坪
日商:約60万円(平日)、土日祝約130万円(土日祝)



この記事の読みどころ

●売り上げは23年前の開業から右肩上がり。
●製造量を増やすため、これまで厨房を5回ほど増設。
●同店と一緒に、常連の顧客も歳をとり、健康志向が高まる。
●人材の確保が課題。雇用環境の改善のための売上アップを期して、最寄り駅の近くに販売店を設ける。





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