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| 特集/2022年9月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 原材料大高騰時代を生き抜く!第2弾
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| 値上げはパン業界の未来を守るためにも必要。適正価格を根付かせたい - ボンヴィボン青葉台店 | |
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全商品の一律値上げでレジの混乱を防いだ
――いま店で使用している原材料で値上がりしているものは何ですか? 児玉 もうほとんどのものが値上がりしていて、上がっていないものがないくらいです。 ――その中で値上がり幅が大きいもののトップ3は何ですか? 児玉 値上がり幅の大きさで順位をつけるのであれば、輸入品の副材料でレーズンやクルミなどのドライフルーツやペースト類が1位です。2位は油脂関連、3位はそのほか全てといった感じですね。 ――これまでパンの値上げは何回しましたか? 児玉 何回かしていますが、ここ1、2年の話でしたら、原材料が急に上がり始めてきた昨年夏を経て、同じ年の9月頃に全商品を一律3%程度値上げし、さらに今年に入り4月頃にまた一律5%位の全商品対象の値上げを実施しています。 その際に値上げ率を各商品によって変えず、店全体の利益率を考えた上で一律の上げ率にしたのは、レジの混乱を防ぐためです。商品によっては大きさを変えることも考えたのですが、やはりレジのスタッフにとって、わかりやすいほうが運営上良いと判断しました。 先を見据えて若干高めに値上げする予定 ――今後パンの値上げの予定はありますか? 児玉 10月に今年2回目の値上げを考えています。今度は各原材料の市場価格を考慮した上で5〜10%位、一律ではなく商品ごとに値上げ率を変え、さらに先を見据えて若干高めに上げていくつもりです。例えば、クロワッサンやブリオッシュなど輸入原材料の使用率が高いものは特に大きく上げます。 お客様に対する告知も店内掲示のほか、SNSなどで1カ月前からしていく予定です。 値上げをするなら従業員の給料も上げるべき ――原材料高騰への対応策で、パンの値上げ以外で、必要だと考えて実行する予定の事柄があればお聞かせください。 児玉 原材料高騰への対応策として捉えるのであれば、値上げ以外はありません。例えコスト削減による利益維持が可能であっても、それとは別の次元で適正価格を浸透させるための値上げは必要だと思います。 ただ勿論、値上げするのであれば、その分、国民の生活水準も上げるため、平均賃金も上がっていかないといけません。当店でもここ1、2年でスタッフの給与をだいぶ上げています。飲食業界全体で労働環境が劣悪なイメージが残るなか、パン業界も状況を変えていかないと、若い人でこの仕事をしたいと思う人が減って業界の将来性が暗雲立ち込めるものになってしまいます。 パンのある生活の魅力を伝える努力が必要 ――原材料価格の今後の動向はどうなると考えていますか? 児玉 今後についてはっきりした事はわかりません。それよりもともとパンが安く売られすぎているという現実を直視する必要があります。今ではパンも日本人の日常にすっかり根付いているので、生活に必要なものと改めて意識して頂く事で価格以外の理由で買って頂けるようにしていきたいですね。 また最近は少子化のうえ学校給食の中でのパン食の頻度も少なくなってきていると聞きます。パンに親しみながら成長していく子供の数が減れば、日常の中で積極的にパンを取り入れていく大人も減っていくのではないかという危機感があります。 「パンのある生活」の魅力を多くの人に感じてもらえるようにするための業界全体の努力が今後必要になってくると思います。 ボンヴィボン青葉台店 住所:〒227–0062神奈川県横浜市青葉区青葉台1–32–2/電話:045‐983‐5554/営業時間:午前8時〜午後6時/定休日:月曜、第1火曜/品揃え:約80品目/スタッフ:製造常時4人、販売常時2人/店舗面積:売場8坪、厨房15坪/日商:平日30万円 土日祝45万円 |

| 移転時に全商品を値上げ、仕入れの工夫でパンの価格を抑える - 水辺のサフラン 我孫子店 | |
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商品の重量を減らしてもボリューム感は維持する
――いま店で使用している原材料で値上がりしているものは何ですか? 加藤 使用しているもの全てです。 ――その中で値上がり幅が大きいもののトップ3は何ですか? 加藤 小麦、油、チーズです。油はパンの材料になるマーガリンなどのほか、揚げ油もあります。当店は惣菜系の調理パンが多いため、揚げる過程で足す油の量も多く、影響が大きいです。 ――これまでパンの値上げは何回しましたか? 加藤 当店は昨年9月に約8年間営業していた「サフラン 北柏店」から移転しオープンした店ですが、移転の際に「北柏店」で売っていた商品のほぼ全てを平均で10%位値上げしてこちらへ持ってきました。商品によっては中味の量を多少縮小したものもあります。新商品に関しては、原材料価格に見合った売価で値付けをしました。 ただ既存の商品でその重量を減らしたものは、お客様のお気持ちを考え、ボリューム感だけは保てるようにしています。例えばサンドイッチですと、中味の具材は少し減らしても、パンの大きさは変えない事で腹持ちのよさやたっぷり感は保つようにしました。 移転と値上げが同時だったのではっきりとした影響は測れないのですが、少なくとも今の店舗の売上がその後に低迷するような事は起きていません。また新商品を相応な売価で出す事で伸び悩むような事もありません。 既存の商品は値上げせずに適正価格の新商品を増やす ――今後パンの値上げの予定はありますか? 加藤 とりあえずはないですね。実は3年前の話になるのですが、まだ「北柏店」の頃ですが、10〜20円くらいの値上げをした影響で売上が落ちてしまいました。ただし値上げ自体は仕方ない事だったので、この時はイベントなどに力を入れて店を活性化させる事で集客を試み何とか回復させることができました。 ただこの時の反省があるので値上げには慎重にならざるを得ません。当店の場合、サフラングループ全体で一括して仕入れている特別価格で材料を手に入れることができるので、他のリテールベーカリーに比べれば原材料高騰の打撃は少ないというのもあります。今後は、相応の価格で出せる新商品を増やしていくことで値上げするのと同じ効果を出していくことになると思います。 ただしパンは日常品という考えがあるので、そこのところはぶれないよう、ある程度買い求めやすい価格は維持していきたいですね。 ――原材料高騰への対応策で、パンの値上げ以外で、必要だと考えて実行する予定の事項があればお聞かせください。 加藤 3年前に北柏店で値上げした時の反省もあるので、コロナ禍ですが2年ぶりに夏祭りを行うなどイベントに力を入れることで集客できればと思っています。広く知ってもらうため情報誌に告知を出したりもしています。来店する事自体の楽しさも提供したいと思っています。 当店の場合、レジ前に並ぶ列が長くなってお待たせしてしまうことが多いので、接客やサービスについてももっと向上させたいと考えています。移転したことで、北柏店の時のように常連さんばかりという風ではなくなったのですが、この土地で新しい常連さんを増やしていきたいですね。 ――原材料価格の今後の動向はどうなると考えていますか? 加藤 ウクライナ戦争が長引くなど社会情勢が緊迫した状態では、輸入原料の高騰は続きそうですよね。当店の場合、様々な種類の小麦を使用していて、外麦もかなり色々なものを使っています。ですので、値上げ幅のより少ない小麦粉に切り替えたりして、値上げの影響を少なくするようにしています。 小麦に限らない話ですが、付き合いの深い馴染みの業者さんからは、大手メーカーのための余剰在庫を回してもらったりして、とても助けられています。困ったときはお互い様といいますが、知恵を振り絞って助け合うことで何とか難局を乗り切る事ができています。色々な人との普段からの付き合いは大事ですね。 水辺のサフラン 我孫子店 住所:〒270-1155千葉県我孫子市我孫子新田9-5/電話:04-7157-2993/営業時間:午前9時(土曜、日曜、祝日は午前8時)〜午後7時/定休日:水曜/品揃え:パン約150〜160品目、洋菓子20品目/スタッフ:パン製造常時5人、菓子製造常時2人、販売常時4〜5人/店舗面積:売り場約30坪、カフェスペース約20坪、厨房約40坪/日商:平日約60万円、土曜、日曜、祝日約90万円 |

| 度々の値上げで売り上げに影響、付加価値の高い商品構成を考えたい - プチ・アンジュ国立店 | |
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値上げ幅1位は小麦粉数年で2倍になったものも
――いま店で使用している原材料で値上がりしているものは何ですか? 津金 全体の95〜98%のものは値上がりしてます。 ――その中で値上がり幅が大きいもののトップ3は何ですか? 津金 1位は小麦粉。何年か前との対比で倍近くなったものもあります。2位はマーガリンやショートニング、揚げ油なども含めた油脂。揚げ油も倍近くになってきているように感じます。あと副材料ですが、レーズンやドライフルーツ関連の高騰ぶりがひどいです。 値上げで客数、売上とも落ちても全体の利益は維持 ――これまでパンの値上げは何回しましたか? 津金 2021年からですと大きく分けて4回しています。まず昨年1月、全ての商品を対象に価格を一斉値上げしました。この時は平均で5%位売価を上げています。さらにその年の夏に今度は一斉ではなく「順次」、全体の6、7割位の商品を再度値上げしていきました。この時は平均で8%位でした。 そして今年、2022年に入って3月に、またほぼ全ての商品を1カ月位かけて平均で8%位売価を上げていきました。さらに7月になって4割くらいの商品の売価を平均で5〜8%上げました。実は残り6割の商品はまだこの今年2回目の値上げができていないのですが、年内には上げなければと考え、悩んでいます。 値上げ率は当店の場合、一律ではなく商品ごとに変えています。生産性が改善できない商品は原料価格の値上がり分に合わせてその分上げています。 ――今後パンの値上げの予定はありますか? 津金 まだ今年2回目の値上げができていない残り6割の商品についてどうするか迷っていますね。人気のカレーパンも昨年1月に216円(税込)だったものが今は259円になっているのですが、生産性も改善しにくい商品なのでもう1回上げないと厳しいと思う一方で、これ以上あげると売り上げに影響が出るので悩んでしまいます。食パン類は7月中に値上げしましたが、その結果昨年1月には250円位だった商品が今では300円台になってしまいました。 ただ今は値上げにより売り上げや客数が若干減っても、店全体の利益はなんとか値上げ前の水準で保っています。 ただスタッフの給与も上げていかなくてはならないので、例え原料高でなくても値上げせざるを得ないような状況です。生産性を上げる努力もしていますが難しいですね。できることがあるとしたら付加価値のある商品構成を考えていくことでしょうか。 プロ意識を高め、作業の効率化を図る ――原材料高騰への対応策で、パンの値上げ以外で、必要だと考えて実行する予定の事項があればお聞かせください。 津金 製法や作業の効率性などを徹底的に見直し、全体の底上げができるように考えています。プロ意識を高めてもらうためにスタッフにはよくロジカルに考えて判断していく事の大切さを伝えています。ただしすぐにスキルを上げるのは難しいので、1日紙1枚の努力も毎日の積み重ねで300日経てば分厚くなるといった話をよくしますね。 また、来店する事自体が楽しくなるようにLINEやインスタ、メルマガなどを併用した情報発信も行い、季節行事とあわせて子供達の塗り絵を掲示するイベントやプレゼント企画などにも力を入れています。 ――原材料価格の今後の動向はどうなると考えていますか? 津金 しばらくは厳しいかもしれませんね。ただその中でも利益を出しながらスタッフの待遇も良くしていかないといけない。「まちのパン屋さん」が生き残るためには、こうした流れの中でも何とか変化しなくてはならないのかもしれませんが、若い人でパン業界に入りたがる人が減っていく中で厳しさも感じています。パンは日常品という考えはある程度ぶれず保ちながらも、ある程度、付加価値をつけ高値で売れる商品も出していくようなバランスの取れた店舗運営が必要なのかもしれません。 プチ・アンジュ国立店 住所:〒186-0003東京都国立市富士見台2-45-9モナーク国立1F/電話:042-505-4104/営業時間:午前9時(土日祝は午前7時)〜午後6時/定休日:木曜/品揃え:約90品目/スタッフ:製造常時5人(土日祝6人)、販売常時3人(土日祝5人)/店舗面積:売り場16坪、厨房30坪/日商:平日約40万円、土日約70万円 |

| 商品数の多さをふまえ、各商品の特性を考えた上で慎重に値上げする - PANJA(パンジャ) | |
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1位は乾果物とナッツ類2位はその他すべて
――いま店で使用している原材料で値上がりしているものは何ですか? 大内 ありとあらゆるものですね。 ――その中で値上がり幅が大きいもののトップ3は何ですか? 大内 1位はドライフルーツやナッツですが、当店の場合、具材はたっぷりにしているので、生地中の使用量と使用率が大きく影響が大きいです。平均で2割以上価格が上がっている印象がありますが、35%位上がっているものもありました。 2位は小麦粉、乳製品、チョコレートなどを含むその他全てです。油脂も上がっていますが、当店の場合、ショートニングは使わず、バターとオリーブオイルしか使っていないので揚げ油以外は影響がまだ少ないです。 過去に全商品の一律値上げで売上3割減の失敗も ――これまでパンの値上げは何回しましたか? 大内 5年前の2017年に一律で7%の値上げをして売り上げが30%位落ちてしまいました。もともと近隣の店より20%位高かったのですが、そこをさらに上げて失敗しました。これを機に価格に対しての考え方が変わりましたね。 今年に入って5月に3分の1位の商品を値上げしましたが、その際には一律ではなくそれぞれ値上げ幅を変えました。具体的には、食パン、バゲット、クロワッサン、カレーパンなど販売数の多い定番商品の価格を使用材料の上げ幅に合わせて変えました。コロナ禍以降はずっと売上が伸びているのですが、それが値上で影響を受けることはなかったと思います。 値上げしながらその分の質の向上が求められる時代になってきていると思います。一方、各自のスキル向上も必要なのでスタッフにとっては負担もありますが、よくやってくれていると思います。技術を高める目的で当店の入社を希望する人も増えてきましたね。 ――今後パンの値上げの予定はありますか? 大内 10月頃に状況がどうなっているか次第ですね。原料高の影響を受けた事業者への補助金の話や、電気代も上限まで達すれば値上げされないという話などの救助策が全く使えない状況なら市場価格に合わせざるを得ません。 同時に従業員の実質賃金を相応に上げていく事も必要だと思っています。当店はスタッフの給与を設定する際には、周辺のあらゆる業種の店の賃金設定を考慮して考えます。某アパレルチェーンなど店によってはかなり高い賃金設定をしていますが、こちらもある程度合わせないと人が集まりにくくなるという現実もありますね。厳しい現状ではありますが、必要なことです。 品揃えを絞って効率化を図り外販を増やし売上を拡大 ――原材料高騰への対応策で、パンの値上げ以外で、必要だと考えて実行する予定の事項があればお聞かせください。 大内 当店の場合、商品数を平日186品目、土日祝日210品目とかなり多めに出しているのですが、さすがに効率の面では厳しく費用もかかってしまうので2割減の150〜170品目位に絞らなくてはとは思います。ただし「商品数の多い店」という店の特色は変えづらい事を考えると、それ以上減らすのは難しいですね。 外販卸売などの販路を増やし、売上を拡大する事も必要だと思います。実は目の前にある高速道路のサービスエリアに商品を既に卸しているのですが、利用者は遠方から来るので店の客と商圏がかぶらず助かっています。近場のショッピングセンターへの卸売分と合わせると、売り上げの約20%は卸売が占め大きいですね。 そのほか伸びしろの大きさでは、併設のカフェがありますが、ノウハウがわからずしばらくは苦戦しそうです。 ――原材料価格の今後の動向はどうなると考えていますか? 大内 少なくとも下がる事はないでしょうね。心配なのはモノの価格だけ上がって賃金や所得が上がらないままになる事です。インフレが購買意欲を下げるだけの結果になってしまう事は避けたいです。コスパ思考だけでなく、昔のようにもう少し夢を持って仕事を続けるためにも必要な事ですね。 PANJA(パンジャ) 住所:〒358-0054 埼玉県入間市野田939-1/電話:04-2932-5808/営業時間:午前8時〜午後7時/定休日:木曜/品揃え:平日186品目、土日祝210品目/スタッフ:販売常時3〜4人、製造常時10人/店舗面積:厨房33坪、売り場13坪、カフェスペース6坪 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。



















