客とスタッフの双方にメリットのある商品展開 - エスプラン - ブランスリー電子版

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お店拝見/2022年6月号

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客とスタッフの双方にメリットのある商品展開 - エスプラン
店主の塩田悠樹さん
京急鶴見駅東口からすぐ近くにあるベーカリー「エスプラン」の外観
約80種類の商品が並ぶ店内
珈琲餡と生クリーム入りの「珈琲あんぱん」(税込220円)
ずんだ餡、丸餅、生クリーム入りの「生ずんだあんぱん」(税込230円)
「覇王樹茶屋ブレッド」(左、税込677円)と一回り小さいサイズの「覇王樹茶屋ブレッド」 (右、税込615円)
冷蔵ケースに並ぶ2つの看板商品

 神奈川県横浜市の京急鶴見駅東口からすぐ近く、商店街の一角にあるベーカリー「エスプラン」。旧東海道に面し、1679年創業の「覇王樹(さぼてん)茶屋」という名の茶屋が起源だ。先祖代々続くこの地を引き継いでいるのは、店主の塩田悠樹さん。昨年、父の一善さんから代替わりした。
 同店には2つの看板商品があり、これらは冷蔵ケースに並ぶ。珈琲餡と生クリーム入りの「珈琲あんぱん」(税込220円)と、ずんだ餡、丸餅、生クリーム入りの「生ずんだあんぱん」(税込230円)だ。どちらも「パングランプリ東京」での受賞歴があり、テレビの全国放送でも幾度となく取り上げられている。
 「珈琲あんぱん」の発売は1998年。父一善さんが開発した。冷蔵ケースでの管理が必要な生クリームを、パンに使う発想は当時珍しかった。
 「開発に至ったきっかけは、祖母の代ではパンより洋菓子の品揃えが多く生クリームが身近であったことや、動きの少ない冷蔵ケース内をどうにかできないかと考えていたことなどですね」(悠樹さん)
 「珈琲あんぱん」の後に開発した「生ずんだあんぱん」と共に、両製品は「デッドスペースだった冷蔵ケースを稼ぎ頭に変えた」(悠樹さん)。両製品の売り上げは現在、店全体の売り上げの約2割を占めるほどになっている。
 同店の一日に並ぶ商品は、「マドレーヌ」(税込273円)や「フィナンシェ」(税込273円)など、祖母の代から続けている焼き菓子を含めて約80種類。パンは総菜系から菓子パン系までバラエティーが豊富だ。また、生クリームにカスタードを合わせたクリームとイチゴをサンドした「クリーミークロワッサン」(税込475円)や食パンにイチゴと生クリームをサンドした「極み苺サンド」(税込546円)など、生クリームをたっぷり使った商品が売り場を彩るのは同店ならではだ。

一つの生地から多品種を派生させる商品展開

 入店してすぐ目に入る陳列台にずらりと並ぶのは、もちもち食感の塩パン生地を使用した総菜系の品々。「塩パン ベーコン&エッグ」(税込295円)や、「塩パン チャバタカルネ」(税込384円)など約6種類を展開している。「塩パン チャバタカルネ」は、塩パン生地にラタトゥイユとソーセージをのせ、カレーパウダーを効かせて焼き上げた食欲をそそる商品。
 「塩パン生地は『マルゲリータ』(税込415円)など3種類のピザにも使っています。同じ生地でも成形を変えるだけで、各商品にぴったりの食感に変えられることが、作っていて面白いと思うところですね」(悠樹さん)
 同店定番の食パン「芳醇」(税込356円)と比べ、高価格商品である角食「覇王樹茶屋ブレッド」(税込677円)の生地も、塩パン同様、成形を変えて異なる商品を展開している。
 まず一つは、商品名は同じだが、一回り小さな型で焼き上げる分、価格を税込み615円とやや下げた商品。価格とサイズ感で通常の「覇王樹茶屋ブレッド」より手頃感を出している。
 あとは、生地にそれぞれアンズペーストとブルーベリージャムを巻き込み、長さ15センチほどのパウンド型に入れて焼き上げる「杏のシュガバタ」と「ブルーベリーのシュガバタ」(いずれも税込300円)という2種類の商品。これらも小さめのサイズ感と、相性の良いフルーツジャム入りという点で、気軽さや手頃感のある商品となっている。
 「『覇王樹茶屋ブレッド』は、中種法と湯種法を組み合わせ、材料は生クリームや発酵バター、ハチミツを加えています。しっとりしてほのかに甘い贅沢感のある味わいなので、その特徴を活かし、実はメロンパンの中身の部分にも使っています。周りのサクッと甘いクッキー生地との対比が強まり、互いの食感や甘さ加減が引き立ちます」(悠樹さん)
 「カカオ・メロン」(税込270円)は、「覇王樹茶屋ブレッド」の生地にカカオパウダーを練り込み、クッキー生地で包んで焼き上げるメロンパン。メロンパンはこのほか、カカオパウダーを入れていないプレーンのタイプの「メロンパン」(税込255円)と、小さなサイズでパンダ顔を模った「ちびっこメロンパン」(税込95円)を揃え、選ぶ楽しみを提供している。



入店してすぐ目に入る陳列台にずらりと並ぶ、塩パン生地を使用した「塩パン ベーコン&エッグ」(税込295円)や「塩パン チャバタカルネ」(税込384円)など
食パンにイチゴと生クリームをサンドした「極み苺サンド」(税込546円)
冷蔵ケースに並ぶ「珈琲あんぱん」(左)と「生ずんだあんぱん」
「杏のシュガバタ」(左、税込300円)と「ブルーベリーのシュガバタ」(税込300円)
労働量の削減で働きやすい環境をつくる

 こうした一つの生地から様々な商品に派生させていくという商品展開は、悠樹さんが今後さらに重視していきたいと考えていることだ。これには、ドイツなどのヨーロッパでの修業経験が影響しているという。
 「修業先では仕事への向き合い方や考え方の違いなど、製法以外のことで学べたことも多かったですね。当店の方針を決めていく上で、そのときの経験が糧になっていると思います。最も顕著な例は、従業員の働き方を変えたことです。そのために営業時間を短縮したり、商品展開の工夫を行ったりしています。商品展開は、仕込み生地数を減らすだけでなく、各商品のブラッシュアップや見直しをして少数精鋭にしていきたいと思っています。このような方法をとることで、労働量の削減につなげていきたいと思っています」(悠樹さん)
 商品数は数年前は100種類ほどのときもあったが徐々に減らし現在約80種類に。今後さらに50種類ほどに絞っていきたいという。営業時間は、以前は午前7時30分から午後6時30分までだったが、午前10時から午後5時に変更し、定休日も増やした。
 「朝と夜、出社時と帰宅時に当店を利用するお客様との会話で『朝と夜で同じスタッフさんがいる』という内容の話になったんです。労働時間をしっかり決める必要があると実感しました。今は社員は8時間労働で残業は最大2時間までと定めています」(悠樹さん)
 今年同店は店内の改装を行う予定だという。
 「前回の建て直しから18年近く経ったので老朽化してきたこともありますが、大きな変更点は、売り場を対面販売ができるように変えることです。コロナ禍でセルフサービスの今の形式だと、商品の袋詰め作業が必須になり、仕事量もコストも負担が増えました。対面販売にすることで、その辺を軽減できたらと思っています」(悠樹さん)

SHOP DATA
店名:エスプラン
住所:〒230‐0051 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4-1-7
電話:045‐501‐2147
営業時間:午前10時〜午後5時
定休日:なし
品揃え:約80品目
スタッフ:製造常時4人、販売常時3人
店舗面積:売り場約20坪、カフェスペース約5坪、厨房約25坪
日商:平日約30万円、土曜約50万円



この記事の読みどころ

●冷蔵ケースに並ぶ2つの看板商品の「珈琲あんぱん」と「生ずんだあんぱん」で売り上げ全体の2割を稼ぐ。
●同じ生地でも成形を変えるだけで、食感が変わり、違うテイストの製品ができる。
●ドイツで学んだ従業員に優しい店舗オペレーションを実践。





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