結局、他で売っていないパンが売れる - ドゥ・リーブル - ブランスリー電子版

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お店拝見/2002年6月号

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結局、他で売っていないパンが売れる - ドゥ・リーブル

ドゥ・リーブル金井店(2号店)の外観
天然酵母パンだけを製造販売するベーカリーが、東京・町田市にある。食パンやリーンな食事パンだけではない。菓子パン、調理パン、デニッシュ、クロワッン…。品揃えは、およそ100品目。天然酵母パンの店、ドゥ・リーブル。

住所 東京都町田市金井2‐1‐23
電話 042-734-5252
営業時間 午前9時〜午後7時
定休日 水曜日



独自性を強く打ち出したかった。天然酵母パン専門店になった

菓子パン、調理パン、デニッシュ、クロワッサン、そしてもちろん、食パン、フランスパンなどのハード系…。 すべて天然酵母で発酵させて作る。


バタールなどのフランスパンも天然酵母で作る。


ドゥ・リーブルの店内


オーナーの深本恭正さん
オーナーの深本恭正さんが、天然酵母パンを作り始めたのは今からおよそ10年前。近くの保育園から、「卵や牛乳などの副材料が入っていなくて、しかも食べやすいパンを作ってほしい」と頼まれたのがきっかけだった。天然酵母パンの講習会を受けて、クロワッサンを食べたところ「それまでのパンにない新しいおいしさに深い感銘を受けた」(深本さん)。
保育園の園児の父兄から、「もっと作れないか」「店でも販売してほしい」などの声が上がり、深本さんは、天然酵母パンの製造量を徐々に増やしていった。
1998年、2号店を同じ町田市の金井にオープン。この1年前ぐらいから、すべてのパンを天然酵母で作るようになっていた。「不況が深刻化し、スーパーなどでは信じられない値段でパンが売られるようになっていました。同じ方向で競争したらかなわないと感じ、決断しました」と深本さんは振り返る。



密度が低い度合いより、面積が広い度合いの方が大きい

「天然酵母パンの需要は着実にあります。しかも、一般的なパンの場合より、商圏がかなり広くなります。需要の密度は多少低いかも知れませんが、より広い範囲からニーズを拾えるんですよ」と深本さんはいう。
同一商圏内で考えると、天然酵母パンのニーズは、一般的なパンに比べて、密度は低いが、実際は商圏がかなり広がるので、結局売上はより多くなる、と深本さんは考えている。
実際に固定客には比較的遠方から足を運ぶ人が多く、自然食品店やレストランなどへの卸販売も多いという。
「結局は他で売っていないパンがよく売れるわけですよ」



ドライイーストを0・05%。配合してパンを作る感覚

ロールパンももちろん天然酵母


カレーパン(100円)(右)と野沢菜のフィリングが入った「おやきパン」(130円)(左)


売り場の右奥にウィンクラーのオーブンがある。窯出しの様子は迫力がある
使用しているのはホシノ丹沢酵母だ。発酵を比較的低い温度で長時間とるのが製法上の特徴のひとつで、ドゥ・リーブルでは約17度Cで17時間(オーバーナイトで)発酵させる。ベンチタイムも長い。深本さんは「イーストで作る場合の感覚とはまったく違います。イーストに比べて力が弱いということなのですが、ドライイーストを0・05%配合してパンを作っているという感じ、といったら感覚的にわかりやすいと思います」と説明する。
菓子パンなどの砂糖や油脂が比較的多く入ったパンでも、問題はないという。
「酵母独特の香りが最もはっきりと出るのはフランスパンなどのリーンな配合のパンですが、砂糖や油脂が入ったパンでも、イーストのパンとは違う独特の香りになります。副材料の味と酵母がかもし出す味が絡み合って、とてもいい感じになるんですよ」
ミキシングはアンダーに抑える。最も大切なのは1次発酵の工程。深本さんは「1次発酵が終了したときの理想的な生地の状態を感覚でつかんでいないといいパンはできません」と話す。
1次発酵用のドウコンを導入、温度と湿度を完全に管理。
「フランスパン生地が最も理想的に発酵するようにドウコンの温度を設定し、その他の生地は捏ね上げ温度を調整するなどしています」



材料と製法を徹底的に研究。既成概念にとらわれたくない

キャラクターパンは子供に大人気。入り口脇に見本を置いておくと効果大。


サンドイッチにもアイデア商品が多い。ローストビーフをサンドした「パストラミロングサンド」(240円)
深本さんは新商品開発に余念がない。材料を探し求め、製法に工夫を凝らし、試作を重ねて、新商品を頻繁に出す。例えば、やわらかライ麦食パン(1斤260円、レシピを27ページに掲載)とライ麦ロール(50円、レシピを27ページに掲載)。「ライ麦が口にあたって食べずらくなることを防ぐために、細かなメッシュのライ麦粉を配合し、炒った白ごまを配合して、粗いライ麦粉を入れたときの食感を出した」(深本さん)商品だ。「基本をしっかりと押さえた上で、既成概念にとらわれない自由な発想で作りたいんです」と深本さんはいう。
「カントリーレーズン」(120円)は、ホイロをほとんどとらないことで、独特の食感を出したパンだ。「フワフワチョコ棒」(150円、レシピを27ページに掲載)も、特注の細長い型で焼く独特のパンだ。
深本さんは、天然酵母パンをソフトに焼き上げたい、という思いが強く、多くのパンにカルシウムを少量配合している。そうすることで給水が多くなり、しっとり感とソフト感が増すのだという。
◇
ドゥ・リーブルは、現在1号店の藤の台団地店、2号店の金井店のほか、昨年11月に出したコープ白根店(神奈川県)の3店舗を展開する。ほとんどのパンは金井店で製造、1号店ではクッキーなどを作っている。3号店には金井店で焼き上げたパンと1次発酵を終えた生地を運ぶ。朝のオープン時には金井店で焼き上げたパンが並び、それ以降は、持ち込んだ生地を加工して焼き上げた商品が出される。
金井店は、小田急線・町田駅からバスで約15分の街道沿いにある。向かいはスーパーマーケットだ。売り場が約10坪、製造スペースが約15坪。
3店舗と卸販売を含めた月商は多いときでおよそ1000万円という。

お断り この記事でブランスリー報道社は「天然酵母」を「パンを発酵させる目的で使用する酵母で、その培養方法、培養にあたっての基本的考え方において、工業的に大量生産されるイーストなどとの違いが認められるものを表す慣用語」と定義して使用しました。

炊いた黒米を配合した看板商品
黒米ゴパン食パン
炊いた黒米を配合した食パンで、ドゥ・リーブルの看板商品のひとつ。半年がかりで地道に提案し、人気商品に育て上げた。焼成を控えめにすることで、独特のもっちり感が出るという。独特の甘味もある。250円。ハーフカット130円。
【配合%】
高たんぱく粉 70
黒米(前処理済の既製品) 30
キビ糖 6
天塩 1
ホシノ丹沢酵母食パン種(生種) 6
水 33
カルシウム 0・2

【工程】
ミキシング L2分LH2分H4分、
捏ね上げ温度 26〜27度C、
発酵 17度C80%17時間、
分割 400グラム、
ベンチタイム 40分、
成形 ナマコ形にして特注の楕円形の型に入れる。
ホイロ 35度C80%1時間、
焼成 上火205度C下火210度C23分(ウィンクラー使用)

※カルシウムは、吸水を多くする目的で配合。
※黒米は、炊いたものを前処理した仕入れ商品を使用。水分が多いため、水の配合は33%と少なくなる。
※焼成は、控えめにする。そうしないと独特のもちもち感が出ない。

原価計算女王
原価計算女王
独特のさっくり感が特徴。ハートの型で抜く
ハートのミルクパン
リッチな配合のパンで、独特のさっくり感がある。ハート型で抜いて成形するが、型を変えればさまざまな形の製品ができる。1つ70円。
【配合%】
強力粉 60
薄力粉 40
グラニュー糖 18
天塩 1
バター 20
粉乳 3
卵 10
バニラエッセンス 0・2
水 27
ホシノ丹沢酵母菓子パン種(生種) 7・5

【工程】
ミキシング L2分LM8分、
捏ね上げ温度 26〜27度C、
発酵 17度C80%17時間、
大分割 2キロ、冷凍庫に入れて冷やしてから3つ折り3回(何も折り込まない=空折り、最終生地厚6ミリ)、
成形 ハート型で抜く、
ホイロ 35度C80%1時間10分、
焼成 上火240度C下火190度C12分(ウィンクラー使用)

※焼成前に卵を塗る。
※型で抜いた後に残った生地は、まとめて再び空折りをして、4ミリ厚のシートにする。短冊状にカットして、2つに折りたたみ、ホイロをとって焼成、別の商品に仕上げる。

製法にさまざまな工夫。食べやすいライ麦パン

やわらかライ麦食パン


ライ麦ロール


ライ麦ロールの内層
やわらかライ麦食パンとライ麦ロール
日本人にも食べやすいライ麦パン。製法にさまざまな工夫が施されている。食パン1斤260円。ロール50円。
【配合%】
強力粉 60
フランスパン用粉 40
特キリン(ライ麦粉、粉) 18
キビ糖 10
天塩 2
白ごま(炒ったもの) 5
カラメル 1
ホシノ丹沢酵母食パン種(生種) 6
ショートニング 4
水 70
カルシウム 0・2

【工程】
ミキシング L2分LM3分(ショートニング投入)LM4分、
捏ね上げ温度 26〜27度C、
発酵 17度C80%17時間、
分割 食パン→225グラム×6、ロール→50グラム、
ベンチタイム 1時間、
成形 食パン→モルダーに2回通して俵型、ブール→丸め直す、
ホイロ 食パン→35度C80%1時間30分(型の9割程度)、ロール→35度C80%1時間10分、
焼成 食パン→上火200度C下火210度C45分、ロール→上火240度C下火200度C10分(ウィンクラー使用)

※ライ麦粉はメッシュの細かいものを使用し、白ごまを入れることによって粗いライ麦粉を配合したような食感を出す。カラメルは色付けのために配合する。

特注の細長い型で焼き上げる。「上品な甘さ」と評判
フワフワチョコ棒
チョコシートを折り込んだ製品で、ソフトな食感が特徴。特注の細長い型で焼き上げる。「上品な甘さ」と評判だ。150円。
【配合%】
強力粉 100
上白糖 20
塩 0・8
粉乳 3
卵 12
マーガリン 10
ホシノ丹沢酵母菓子パン種(生種) 6
水 45
カルシウム 0・2

【工程】
ミキシング L2分LM5分(マーガリン投入)LM10分、
捏ね上げ温度 28度C、
発酵 17度C80%17時間、
大分割 1キロ、
成形 (1)冷凍庫で冷やしてからチョコシートを300グラム折り込む(3つ折り1回)
(2)30×70センチ、厚さ4ミリ程度にのばす
(3)[2]を長さ30センチ、重量が80グラムになるように切り分ける
(4)[3]のひとつひとつをツイストして、細長い特注の型に入れる。
ホイロ 35度C80%1時間30分、
焼成 上火210度C下火180度C17分(ウィンクラー使用)


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