限界集落を賑わせる存在になりたい - boulangerie aman - ブランスリー電子版

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お店拝見/2021年12月号

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限界集落を賑わせる存在になりたい - boulangerie aman
店主の小倉孝太郎さん
長さ12メートルの黒いコンテナを利用した店舗
江丹別産蕎麦粉を使用したカンパーニュは、「ソバ粉カンパーニュ」(税込500円)のほか、黒豆入りやクルミ入りなど毎日3〜4種類が並ぶ
地元の名産、蕎麦粉を使用したパン作り

 北海道旭川市の市街地から山間へ向かい、車で30分ほど行ったところにある江丹別のレストランの敷地内に、長さ12メートルの黒色のコンテナを利用したベーカリー「boulangerie aman(ブーランジェリー アマン)」はある。
 コンテナ内は広さ8対2の割合で厨房と売り場に分けて使用している。売り場はショーケースを設置し、客が2〜3人入れるほどのスペースがある。幅が2・8メートルある入口の両扉は営業時、開け放した状態にしており、コンテナの外からもショーケースにパンが並ぶ様子が見えるようになっている。
 同店のある江丹別は、国内有数の蕎麦の産地だ。店主の小倉孝太郎さんは、その江丹別産の蕎麦粉を使ったパンを看板商品に据え、アイヌ語で「穀物」を意味する「アマン」を店名にした。穀物は蕎麦粉のほか、小麦粉や黒豆なども北海道産を使用している。
 蕎麦粉を使用したパンは「ソバ粉カンパーニュ」(税込500円)のほか、同商品と同じ生地に、黒豆を入れたものやクルミを入れたものなど、毎日3〜4種類揃える。
 「江丹別でやるからには、蕎麦粉を使うことがまず頭にありました。でもパン作りには使い勝手が悪く、20年以上パンを作っていますが本格的に使うのは今回が初めてでした。蕎麦の香りや甘味を感じてもらえるパンにしようと、できるだけ多く配合できるよう試作を重ねて、蕎麦粉を4割まで入れられるレシピを開発しました。自家製酵母も蕎麦粉で作ったものを使っています。発酵は低温長時間で、仕込みから焼き上げまで3日間かかります」(小倉さん)
 また、蕎麦はアレルギーの特定原材料となってるため、その扱いには細心の注意を払う必要があるという。ミキサーなど機械や器具の洗浄を徹底し、陳列場所をほかの商品と分けて陳列している。
 このように蕎麦粉の扱いには、時間も手間も一段とかかるが、「江丹別の蕎麦粉でしか出せない香りの良さや食感がある」(小倉さん)という。同店の顔となるパンを作るために、江丹別の蕎麦粉は欠かせないのだ。
 「特におじいちゃんやおばあちゃんに、普段から食べてもらえるようになればと思っています。そのためにも、水分量を多めにして、クラムの食感はやわらかく軽く仕上げています」(小倉さん)



国内有数の蕎麦の産地であるの江丹別の蕎麦粉を使った看板商品「ソバ粉カンパーニュ」(税込500円)
ヘーゼルナッツと渋皮付き栗入りの「ソバ粉カンパーニュ(ヘーゼルナッツと栗)」(税込580円)
切り株のような円柱形の「クロワッサン」(税込280円)は同ベーカリーの一番人気商品だ
フォカッチャ生地にバジルを練りこみ、グリーンオリーブとチーズを入れて焼き上げた「オリーブ」(税込360円)
ショーケースの上段にぎっしりと並ぶ「クロワッサン」(税込280円)はプレーンとメープルの2種類がある
パンと料理とチーズのトライアングル

 製造は小倉さんが一人で行い、販売は妻の英子さんと二人で行う。英子さんが会計している間に、小倉さんがパンを袋に詰めながら、客にパンのおすすめの食べ方を話したりする。
 開業してまだ半年ほどだが、「売り上げは予定していた額の倍以上」(小倉さん)で、一人で作れる量を超えてしまい、現在製造スタッフの募集をかけている。昼頃には売り切れてしまう商品もあり、連日完売だ。土日ともなれば町外からも多くの客が来て、同店のコンテナ前には行列ができる。その光景を初めて見た人から「お祭りでもやっているんですか」と聞かれるほど、人口の少ない江丹別を賑やかにする。
 小倉さんは札幌市出身だが、開業場所を江丹別に決めたのは、江丹別のチーズ職人、伊勢昇平さんとの出会いがきっかけだ。伊勢さんは江丹別出身で、伊勢さんの作るブルーチーズは、旅客機のファーストクラスの食事に採用されたことがある。
 敷地内にあるレストランのオーナーシェフは嵯城要介さん。嵯城さんがこの地に移住し、同レストランを開業したのは2年前だ。嵯城さんと伊勢さん、そして小倉さんの3人は互いに、それぞれの商品を高め合える存在になっているという。
 「開業前は2人に店のコンセプトやパンのプレゼンをして、貴重な意見を聞かせてもらいました。3人集まっての意見交換はよくやっています。料理、チーズ、パンのトライアングルは、どれとどれがくっついてもおいしいものになりますからね。お客様に商品を勧めるときも、『このパンと合うチーズがありますよ』などと紹介できて、話が自然と広がります」(小倉さん)
 小倉さんが店舗にコンテナを活用しようと決めたのも、2人の活躍する姿に大いに影響されたからだという。
 「熱意溢れる2人の姿を見て、自分もほかではあまりないことをやりたいと思いました。コンテナは実際使用されていたものを、苫小牧港で手に入れました。今は一台ですが、スペースが足りなくなったらもう一台追加してくっつけることもできるんですよ」(小倉さん)

一時間で売り切れてしまうクロワッサン

 毎日店頭に並ぶパンは15〜16種類。6〜7種類の生地を展開して揃える。午前10時の開店時、ショーケースの上段にぎっしりと並ぶのは、切り株のような円柱形の「クロワッサン」(税込280円)。プレーンとメープルの2種類があり、平日は40〜50個、土日は一時間で100個が完売するという一番人気商品だ。
 「最も重視したのは食感です。周りはバリバリ、中はもっちりした食感に仕上げました。そのためにポイントとなったのは、成形の仕方やバターの量などです。また、生地量は通常の約1・5倍と多めに使っているので、ボリュームがありますね。大きめにしたのは、『クロワッサン』一つでも、当店を語れるような商品にしたかったからです」(小倉さん)
 フォカッチャ生地にバジルを練りこみ、グリーンオリーブとチーズを入れて焼き上げた「オリーブ」(税込360円)は、小倉さんが前の職場でもレストランのシェフと交流を持ちながら働いていたことが功を奏した商品だ。
 「ホテルベーカリーに勤務していたときは、料理と合わせることを常に考えてパンを作っていました。また、イタリアンのシェフから食材の組み合わせの話を聞かせてもらうこともよくありました。そのときに得た知識の引き出しは、今のパン作りに役立っています」(小倉さん)

SHOP DATA
店名:boulangerie aman
住所:〒071‐1173 北海道旭川市江丹別中央121‐2
電話番号:0166‐85‐7995
営業時間:午前10時〜午後3時(売り切れ次第閉店)
定休日:月曜、第3火曜
品揃え:約15〜16品目
スタッフ:製造常時1人、販売常時1〜2人
店舗面積:売り場約1・3坪、厨房(バックヤード含む)約7・4坪
平日約7万円、土日約14万円



この記事の読みどころ

●店がある江丹別で採れる蕎麦粉を使ったカンパーニュを看板商品に据える。
●料理人とチーズ職人、パン職人の3人のコラボレーションが食の可能性を無限に広げる。
●店の顔となる看板商品と最もよく売れる一番人気商品を意識的に使い分ける。





原価計算女王
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