地元産の食材のおいしさをパンで伝える - tuk-tuk - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
お店拝見/2021年11月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


地元産の食材のおいしさをパンで伝える - tuk-tuk
店主の藤澤博子さん
「tuk-tuk」の外観
ガラスのショーケースにパンが並ぶ。窓口でパンと金銭のやりとりをする販売形式
レーズン酵母を使用した一番人気の「カレンツ&くるみ」(税込551円)の断面。カレンツの酸味と甘さのバランスがよく、レーズンが苦手な人でも食べやすい
岩手県産玄米を炊いて練りこんだ「盛岡産 銀河のしずくパン」(税込432円)の断面
岩手県産黒平豆入りの「盛岡 黒平豆フォカッチャ」(税込227円)の断面
周囲の変化に合わせて営業形態を変えていく

 パンの写真と「Bakery tuk‐tuk」の文字がある黄色いシェードの中を覗くと、パンが並ぶガラスのショーケースと窓が見える。岩手県盛岡市のベーカリー「tuk‐tuk(トゥクトゥク)」の店舗だ。入口の扉はなく、窓口で商品と金銭をやり取りする。
 「急遽造った売り場なんです。店舗売りはしない予定だったんですよ」
 こう話すのは同店の店主、藤澤博子さん。2000年に開業してから2度の移転を経て、現在の場所へ。最初の店舗は盛岡市街から20キロほど離れた雫石町の山間で、実家の畑だった土地に建てた。
 「近くに民家もなく、森の中というような場所だったのですが、周りにスキー場が3カ所あったおかげで、冬は雪が降ってもお客様が来てくれていました。でも時代の変化でスキー人口も減少していき、年間通しての通常営業が難しくなっていったんですね」(藤澤さん)
 当時は夫の勝宏さんと2人だけで、店を切り盛りしていたが、このことも移転を決意した理由の一つだったという。
 「製造したら、販売しながら仕込みをするという日々を送るうち、体がもたなくなってしまったんです。人手が足りなくて。それで、人を雇うためにも市内の方に出ていった方がいいということになりました」(藤澤さん)
 市内に移ってからも一度移転し、3年前に現在の場所に落ち着いた。移転を機に、販売は百貨店への卸や通販のみで行うことにした。しかし約1年後、百貨店の閉業が決まった。それで厨房のみの造りだった店舗に、窓口販売仕様の売り場を設け、店舗販売も始めた。そして、午後3時くらいまでの忙しい時間帯の販売は、パートスタッフに託すようにした。
 「開業して約20年間、周りの状況がいろいろと変わっていく中で大事にしてきたことは、何を優先すればいいかを常に考え、動くことでしょうか」(藤澤さん)

食の大切さを再確認させてくれた「ルヴァン」

受けたという。
 「レーズン酵母を使ったパンだったんですが、今までそんなパンは食べたことがなかったし、おいしくてはまってしまいました」(藤澤さん)
 当時藤澤さんはパンと関係のない業界の会社員だったが、パン好きが集まるイベントに参加したり、パン教室に通うなどしていた。しかし、ある日のパンのイベントで「ルヴァン」のオーナー、甲田幹夫さんと直接話をしたことで、人生が一転していく。
 「甲田さんの、食材や食べることに対しての向き合い方が素敵だなと思いました。また、上京してしばらく忘れかけていた、田舎で子どもの頃当たり前に食べていた食材の味を思い出したのも、『ルヴァン』を訪れたときだったんです。食べ物の味ってこうだよなって再確認したというか。そしてパン教室に通い始めて、パンを食べるだけでなく作ることにも興味が沸いてきた頃でもありました。そういったこともあって、甲田さんとはそのとき初対面だったのですが、『ルヴァン』で働かせてくださいってお願いしてしまったんです」(藤澤さん)
 「ルヴァン」ですぐに働くことは叶わなかったが、甲田さんは、ほかの求人しているベーカリーを藤澤さんに紹介してくれたという。藤澤さんの故郷に近い盛岡市で、新規開業予定の店だった。
 「パン作りの経験値は少ないけれど、いずれは故郷に帰ろうと思っていたので、『早い気はするけど今なのかな、やってみよう』と決めたんです。それが食べる側から作る側へ進んでいった瞬間ですね」(藤澤さん)
 ほどなく盛岡市で開業となった「ボワ・ド・ヴァンセンヌ」(現在は東京・新宿区に移転)で2年働き、フランス料理店でも2年働いた。それから「ルヴァン」で4カ月働いた後、自身の店の開業となったのだ。
 「どうしても『ルヴァン』で働きたかったんですね。タイミングが合って働けることになり、4カ月間でしたが、しっかり学ばせていただきました。レーズン酵母の扱い方から、もっと大きな食や生きるということについても。自分のこれからの生活スタイルを考えるようにもなりました」(藤澤さん)



「石割桜酵母 食パン」(税込356円)はもちもちとした食感とほのかな甘みが特徴
販売スタッフ側から見たショーケースに並ぶパンの様子
地元産食材で作ることが前提だった

 「もうすぐフレッシュのリンゴが出てくるので、アップルパイに使ったり、焼きリンゴにしたりしたいですね。デニッシュには栗を入れようかと思っています」(藤澤さん)
 地元の食材をできるだけ使うことにこだわったパン作りをしているため、季節商品は周りに溢れてくる旬の食材を見て自然と作り出すようになるという。
 小麦粉も岩手県産の「南部小麦」「ゆきちから」「もち姫」「北上小麦」などをどの商品にも使用。酵母は、レーズン酵母のほか、岩手県にある国の天然記念物「石割桜」から採取した「石割桜酵母」も使用している。
 「南部小麦は、開業するときに使うと決めてからずっと使っています。『石割桜酵母』は、震災の津波被害に遭いながらも力強く生き残ったものだと聞いています。香りもいいですし、食材の良さを引き出してくれる酵母だと思いますね」(藤澤さん)
 「石割桜酵母」は多くのパンで使用している。岩手県産玄米を炊いて練りこんだ「盛岡産 銀河のしずくパン」(税込432円)や、岩手県産黒平豆入りの「盛岡 黒平豆フォカッチャ」(税込227円)、もちもちの食感に仕上がる小麦「もち姫」を使用した「石割桜酵母 食パン」(税込356円)など、地元産食材がふんだんに使われた品々だ。
 「岩手県の食材の味を知ってもらうことや、岩手のパンはおいしいなって思ってもらうことが、岩手でパンを作る目的だと思っています」(藤澤さん)

SHOP DATA
店名:tuk-tuk(トゥクトゥク)
住所:〒020‐0133 岩手県盛岡市青山4‐45‐8
電話番号:080‐6020‐6776
営業時間:午前11時〜午後8時(土曜、祝日は午後7時まで)
定休日:日曜、月曜
品揃え:約40品目
スタッフ:製造常時2人、販売常時1人
店舗面積:約11坪
日商:約4万5000円







原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら