記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| 特集/2021年11月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| パンの自動販売機
|


| 自販機で、職人の手作りパンを気軽に届けたい - ハコパン | |||||||||||||||||||
熊本県合志市で宅配サンドイッチ専門店やハンバーガーバンズの通販事業などを手がける会社、敬明は3年前の2018年11月から24時間営業の食パン専門自販機「ハコパン」を同市内に設置。同社が運営し2017年に閉店した路面店のベーカリー「フェテ・ド・パン」の食パンを引き継いで販売する自販機として地元住民から根強い支持を得ている。 「もともと当社が新規事業を起こす中で生じた人員不足などを理由に閉店した『フェテ・ド・パン』でしたが、固定客の多かった食パンだけでも何とか引き続き地域の人たちへ届けたいとの思いから自販機を設置しました」(同社広報の橋本佳菜絵さん) 自販機で食パンを売る事のメリットには、まず24時間365日、年中無休でパンを消費者へ届けられる事がある。 「対面販売には良い面がたくさんありますが、お客様は必ずしも対面での商品購入を求めてはいないという事もわかってきました。利便性を求める今の時代に合わせた需要をマーケットインで追求した結果、自販機で販売する事になったのです」(橋本さん) 現在同社はサンドイッチ宅配専門店「リコス」に隣接する同じ敷地内に設置した1号機のほか、バンズや食パンを製造している敬明本部工場の敷地内に設置した2号機を合わせた計2台の「ハコパン」を運営。1号機があった同じ場所には4年前まで同社運営のベーカリー「フェテ・ド・パン」があったが、同ベーカリは、近隣の生産者や商店とのコラボ商品も販売するなど積極的な店舗運営を行っていた。 「『フェテ・ド・パン』は、パンに合わせて10種類以上の小麦を使い分け、九州産小麦や地元合志市産の卵、熊本産牛乳を使用するなど、地産地消にも力を入れた店舗運営を行っていました。今は食パン類のみ『ハコパン』に引き継ぐ一方で、『リコス』やハンバーガーバンズの通販を行う『グラハムバンズ』など、その他の事業に力を入れています」(橋本さん) 地域住民の日常に馴染んでいく 今年の1月からは、3年前から稼働している1号機に続く形で、2号機の稼働を本部工場の敷地内で開始。 現在では自販機2台合わせて一日40〜60本位の食パンを販売しているという。 商品は定番の「いつもの食パン」(税込500円)や「午後9時のパン」(税込1500円)のほか、日替わりで「パン・ドミ」(税込470円)、「パン・ドミ ノア」(税込510円)、「全粒粉食パン」(税込500円)、「玄米食パン」(税込500円)も揃え、月替りの商品も毎週金曜日のみ販売。「フェテ・ド・パン」時代のレシピを引き継いだ商品展開を行っている。 自販機という一見、風変わりな販売形態だが、今では地元住民の日常に馴染んで、購入客には、朝何気なく来て自転車で買っていく年配客、幼子を連れているため対面店舗での買い物がしにくくて自販機を訪れる若い主婦など、様々な人がいるという。 自販機の形としては、1号機は比較的シンプルなロッカータイプで、お金を入れると点滅しボタンを押すと扉が開いて商品を取り出せるタイプ。2号機はお金を入れてボタンを押すと下の取り出し口にパンが落ちてくるタイプだ。1号機の方が商品を直接取り出す形のため年配客には使いやすいという声もあったが、今では2号機も操作しにくいという声を聞くことはあまりなくなった。 また1号機は「リコスサンドイッチ」の敷地内にあるため、たまに店の方まで来て自販機で購入した食パンのスライスをお願いする客もいる。 「完全無人ではないという点で何となく買いやすさを感じられる方もいるのかも知れません」(橋本さん) 実は同社では「ハコパン」や「リコスサンドイッチ」事業で使用する食パンを全て本部工場で作っている。 当日焼き上がった食パンはまず「ハコパン」の方へ必要量を流す。逆に「リコスサンドイッチ」で使用する食パンは、焼き上がりから1日ねかす方がサンドイッチ用には適したパンになるとの考えから、「ハコパン」で1日販売して売れ残ったものを中心に焼き上がり後1日経ったものを持っていく。そのため現状では食パンはロスがほとんど生じる事なく循環できているという。 食パン専門の自販機は珍しかった 同店が位置する熊本県合志市は熊本県の中北部に位置する人口6万人ほどの地方都市で、近年は熊本市のベットタウンとして人口は増加傾向にある。 「ハコパン」が設置された当時は食パン専門の自動販売機は珍しかったため、「日本で初めての食パン専門の自動販売機」として全国から注目を集めることとなった。各メディアや人気ブロガーから紹介されたりしたため、当時は1日の売り上げ本数が100本を超える日もあったという。 「注目を集める一方で、実際のお客様の反応としては自販機の操作に戸惑う方や自販機であるゆえ鮮度が路面店の時よりも下がっているのではないかと話される方などもいました」(橋本さん) 実際は工場から出来たてを直接運び常温の自販機に入れているため路面店の時と同様の品質を保っている。また24時間営業だが補充は朝の10時から11時頃のため、この時間にくればより確実に買えるといった事などは徐々に浸透していった。 「自販機での食パン販売は、一見風変りですが、ただの話題作りではありませんでした。職人の手作りパンが、もっと気軽に手に入るような世の中であってほしいと思ったからでもあります。人員不足も大きな理由ですが、職人技の伝承を願うからこその自販機設置でもありました。職人手作りのパンの味を知ってもらい、職人を応援してくれる人が増えれば、回り回って未来のパン職人が育ち、職人技術の伝承につながるのではないかと思っています」(橋本さん) ハコパン 住所:〒861‐1112 熊本県合志市幾久富1909‐524 電話番号:096‐288‐2657 営業時間:24時間営業 定休日:なし 品揃え:食パン7品目(うち4品がローテーション販売する日替わり商品、1品が金曜日のみ販売の月替り商品) | |||||||||||||||||||

| 訳ありパンの自販機が、楽しさ提供で意外な人気に - エーワンベーカリー | |||||||||||||||||||
「売り上げ自体はわずかなのですが、パンも自販機で買えるという事を知って楽しんでもらい、当店のことに興味を持ってもらう良いきっかけになればと思います」と大阪市南森町に本社と本社南森工場を構えるエーワンベーカリー本社事業部の姫野直子さんは説明する。 同社は大阪を中心にベーカリー「エーワンベーカリー」を4店舗展開するが、南森工場で製造した社内基準を満たしていない「訳ありパン」を、工場の敷地内に設置した自動販売機で販売している。 「訳ありパン」とは例えば、クリームパンの表面に卵がきちんと塗られていなかったり、クリームが漏れていたりするもののほか、背丈が低く焼き上がってしまった山型食パン、正面のチーズに色がつき過ぎてしまったパン、ビスケット生地がずれてしまったメロンパンなど、味に問題はないが、店の商品規格に適合しないために店頭で普通に売ることができないパンのことだ。 また、商品規格に適合しないパンのほか、月に2、3回新商品の試作品を作る中で多く作り、余ったものや、高価な材料を使いすぎて店頭で適正価格で売れる見通しが立たずボツになったものなども、名前のない「訳ありパン」として出す事がある。 同社には「仕分け」という部署のスタッフがおり、焼き上がったパンが社内基準を満たしているかどうかパンを一つひとつ見極めているという。そして「訳あり」と判断されたものは2〜3個ずつ組み合わせて袋詰めされる。 現在使用している自販機は10年前に買い換えたものだが、常温のコインロッカータイプで、商品を納めるスペースが、7段3列の計21室ある。100円硬貨しか使えず、管理者は専用の鍵で開けて前から補充するが、21室のうち100円のセットが入るのが15室、200円のセットが入る箇所が6室ある。100円のセットは定価の合計で200〜250円相当のセットを値下げして販売、200円のセットは定価の合計で300〜400円相当のセットを値下げして販売している。 自販機のパンは朝8時から夕方6時まで平均して1日7〜8回補充されるが、客数が多い朝7時と正午、夕方4時頃は、自販機が空にならないよう特に注意して補充している。 また100円硬貨しか使えないのに、両替機がないので、来る際には100円硬貨をたくさん持って来て欲しいという事も伝えているという。 不要になった自販機がロス削減に貢献 南森工場では、およそ30年前から「訳ありパン」の自販機を設置しているが、そもそものきっかけは、その少し前まで、同ベーカリーが阪神高速の「朝潮橋パーキングエリア」内休憩所に設置していたパンやカップヌードルなどを販売する普通の自販機を、商品が売れなくなったのを理由に引き上げた際に、「捨てるのは忍びない」と、その有効利用を模索したことだった。 結局、社長が、「工場で毎日廃棄しているパンを格安で無人販売したらどうだろう」と思い付き、試しに設置したところ、意外にも口コミでじわじわ広がり人気が出たという。 「最初の自販機が壊れる頃には、お客様からの熱いご要望があって2台目を購入し設置する事となったそうです。結果的にロス問題の解決にも繋がったので良かったですね」(姫野さん) 1台目は、今のコインロッカータイプと違い、お金を入れたら商品が下に落ちてくるタイプだったという。さらにここにきてコロナ禍があり、昨年位から、また急に注目を集めるようになった。 「コロナ禍での移動制限で遠方のロケを控えるようになったテレビ局が何回も番組で取り上げた事もあり、一時期は交通整理が必要なほどお客様が並んだ事もありました。もともとは出勤前のサラリーマンや、近隣の主婦などが『今日はどんなパンがあるだろう』と楽しみ半分で来る事が多い感じでしたが、遠方の人も来るようになりましたね」(姫野さん) 実は南森工場の自販機で販売している1カ月のパンの量を合計すると、「1袋平均300g×1日150袋販売×1カ月30日間」で計1350キロになる。つまり毎月1・35トンの食品ロス削減につながっているのだ。 工場スタッフが客と触れ合う機会を得る また工場で働いているスタッフはもともと客と接する機会が全くなかったが、工場にパンの自販機がある事で、自販機でパンを購入した客から「この間のパンおいしかったけど、何ていうパンですか。今度お店まで買いに行きたいと思います」などと声をかけられることも多くなったという。 「お客様が自販機を利用して喜んでいる姿を見たり、何か話しかけてくれたりすると『頑張ろう』とモチベーションが上がるようです」(姫野さん) 客からの意見が商品開発のきっかけになる事もあるという。 売り上げはわずかでも、「訳ありパン」を通じて客との交流が得られた事が南森工場や同社本社のスタッフたちにとって貴重な経験となった。 一方で、自販機の商品はあくまで「訳あり商品」で、出る商品の数も限られるので、これ以上自販機の数を増やす事はできないし、客が欲しいと思うものを常に提供できるわけではない。 さらにロッカーの窓から見ただけでは、中にどんなものが入っているのかわかりにくく、例えばあんパンかと思ったらクリームパンだったという事もある。アレルギーに支障のないものかどうかも見るだけでは勿論わからない。 「目的買いには対応できませんので、『何が当たるのかはお楽しみ』というような体験そのものが楽しめない人には向いていないかも知れませんね」(姫野さん) エーワンベーカリー 住所:〒530‐0054 大阪市北区南森町2‐4‐12 電話番号:06‐6312‐0789 営業時間:午前8時〜売り切れまで(自販機) 定休日:なし(自販機) 品揃え:1日平均150セット(自販機) | |||||||||||||||||||
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。























