10品目ぐらいずつ商品を見直し、材料とかける手間の観点から値付けを少し高めにする - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(51) - ブランスリー電子版

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連載/2021年9月号

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10品目ぐらいずつ商品を見直し、材料とかける手間の観点から値付けを少し高めにする - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(51)
 これまで数多くのベーカリーを取材してきて、よく耳にしたのは「パンの価格は安すぎるので、適正な利益が得られるよう価格で販売したい」という声です。しかし、繁盛店の多くは、比較的安い価格でパンを販売し、手作り感を維持しつつも多くの数のパンを職人たちのすご技で効率的に作り、多くの数のパンを販売することで、一定の利益を確保し、繁盛店となっているケースが多いように思います。
 そうした店が最も重視しているのが、職人の技を組み込んだ効率的なオペレーションです。ですから繁盛店の厨房は、戦場です。そこで働くすべての人たちのすべての言動が、決められた種類と数のパンを決められた時間内に作るために緻密に計算されたものになっています。
 それはそれで一つの完成形なのでしょうが、最近多くの繁盛店のオーナーも指摘しているように、従業員の週休2日を実現し、従業員の給料を増やすなどして、労働環境を向上させていくためには、安価に固定されたパンの価格の常識を変えていく必要があるのかも知れません。
 ものの価格は、販売する側が提示する価格と、買う側が求める価格とのせめぎ合いの中で決まっていきますが、販売する側に関わる全ての人と、買う側に関わるすべての人の生活が持続可能である場所に収束していくものです。
 ですから、現在の様々なパンの市場価格は、そうした過程を経て落ち着くべき点に落ち着いた合理的な価格であると言えます。1斤100円の包装パンの価格も、それはそれで論理的に正しい価格であるわけです。
 ただ、関わる全ての人たちの生活が持続可能であると一口に言っても、ぎりぎりの状態で持続可能な場合もあれば、かなりゆとりがある状態で持続可能である場合もあると思われます。
 こうした差は、立場が弱い人たちにしわ寄せが集中する形で生まれてくる場合がほとんどです。パンの価格をめぐっては、ベーカリーの従業員の生活に最も多くのしわ寄せが来てしまっているのではないでしょうか。
 この状況を改善するためにパンの価格の相場を上げるにはどうしたらいいかについて私なりに考えてみました。
 いったん決まってしまった価格の常識というものは、そう簡単に変えられるものではありません。食パンなら1斤200円前後で、高くても200円台後半、という相場感は、日本の消費者の大多数に染みついているものだと思われます。
 いまだに勢いが続く食パン専門店は、価格の常識を変えることに成功した一例だと思いますが、いきなり、業態完全変更というわけにもいかないと思いますので、徐々にパンの価格の相場感を変えていくにはどうしたらいいかについて考えてみたいと思います。
 本誌で以前取材したベーカリーで、オーナーシェフが「試しにパンの価格をスーパーの袋ものと同じレベルに下げて販売したことがありますが、売れる量は全く変わりませんでした」と話していました。「スーパーとベーカリーではお客様の求めるものが違うことがわかりました」とのことでした。
 ならば、すべての商品の価格を10%上げて販売しても、販売量は変わらないのではないでしょうか。とはいっても、これは、かなり勇気の要る施策ですし、すぐにうまくいく確率は低いと思います。しかし、目指すべき方向のひとつであることは間違いないと思います。
 「生食パン」と呼ばれる商品が、これまでの食パンの概念の縛りをほどいたように、パン専門店のパンは、スーパーやコンビニのパンとは違う種類の食品であることを、もっともっと消費者に対してアピールしていく必要があります。
 この戦略は、店の立地に大きく左右されますので、とるべき戦略の一つに過ぎないのではありますが、10品目ぐらいずつ商品を見直し、その10品目について、材料とかける手間の観点から値付けを少し高めにして、顧客に丁寧に説明しながら、その価値を馴染ませていくという戦略は的を得ているような気がします。
 それを地道に繰り返して、成功したのが前述のベーカリーのケースなのです。(RO)







原価計算女王
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