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| 特集/2004年3月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| ロングセラーはどのように生まれたか!?
ロングセラーを多く持つことは、ベーカリーの課題のひとつだが、ロングセラーと一口に言っても、それぞれ生まれてきた背景は様々だ。ただ、ひとつ共通しているのは、「続ける」ということ。地道に作り続け、提案し続け、改良し続けることがポイントのようだ。
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| 創業当時からの提案商品と創業当時からの売れ筋商品 - ポンパドウル | |
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サワーブロートとチーズバタール
「創業当時からの提案商品」と「創業当時からの売れ筋商品」。前者は「サワーブロート」(310円)。後者は「チーズバタール」(380円)と「ムトン」(110円)。 いずれの商品も大手リテールチェーン、ポンパドウルのロングセラーだ。 サワーブロートは、ライサワーを使ったライ麦パンで、キャラウェイシードも入っている。 販売数はそれほど多くないが、もう25年以上製造販売している。 あるとき、サワーブロートの販促として、サワーブロートを使ったサンドイッチを商品化した。 しかし、あまり効果はなかった。 食べ方を提案したら、反響があった 約10年前、様々な穀物などを練り込んだバラエティーブレッドの売り込みをかけた時期に、水戸店がサワーブロートの販売に力を入れた。チラシでライ麦パンについて説明したり、食べ方を提案したりした。それまでは、そのまま袋に入れて販売していたが、食べるシーンを想定して、薄くスライスして袋に入れた状態での販売も試みた。するとスライスしたものがよく売れた。「当時水戸店の周りには、ああいうパンが売っていなかったようです。また、ドイツの窯のメーカーの社長が来日したとき、『ライ麦パンのおいしい食べ方を教えてほしい』と頼んだところ、『りんごを薄く切って一晩はちみつに浸しておいたものを、薄くスライスしたライ麦パンにのせて食べるとおいしい』という返事が返ってきました。早速それを作って、店頭でお客様に試食として提供しました」とポンパドウル担当者は話す。「日本人にあまり馴染みがない、しかし、店としては育てていきたい商品の場合は、背景にある食文化も伝えていかなくてはなりません。具体的な食べ方をわかりやすく説明しながら、地道に販売していくことが大事です」 創業時からの稼ぎ頭のひとつ 一方、チーズバタールは、ダイスカットのチーズを生地に巻き込んだフランスパンで、発売当時から一貫してポンパドウルの稼ぎ頭のひとつだ。今でこそ一般的な商品だが、同ベーカリーが発売した頃は、フランスパン自体がまだ珍しかった。 同製品は、現在でも好調な状態が続いている。技術的には、チーズが生地全体に均一にいきわたるように巻き込むにはどうしたらいいかなどに検討を重ねてきた。 同ベーカリーは、フランスパンを発売するに当たって、フランスから職人を招聘して、その製造技術の習得に努めたが、チーズバタールは、フランスパンを日本人にとってより身近なものにする、という結果をもたらした。 ムトンは、デニッシュ生地をツイストして、ピーナッツクリームをかけ、アーモンドスライスをトッピングして焼き上げた商品で、同じく創業当初からの人気商品。冷やしてもおいしく食べられることから、夏期にPRする商品としても貢献している。 |

| 顧客の意見を聞きながら改善し、地道に続けることが大切 - ベルアルプ | |
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お尻のパンなんて、と思ったが・・・
「最初はお尻のパンなんていうのは嫌がられるかなと思ったんですよ」 東京・巣鴨の地蔵通り商店街にあるベーカリー、ベルアルプの地引弘道オーナーはこういって笑った。 ベルアルプの代名詞のようになったこのパンの名前は「赤ちゃんのおしり」。 15年以上前に発売して、現在も人気商品のひとつだ。ハード系の生地を丸めて、割り箸で中央にくぼみを付け、上新粉を振ってホイロをとり、焼成する。焼成後にカスタードクリーム充填して仕上げる。価格はひとつ120円。 貼り紙がテレビの目に留まった 「ハード系のパンとカスタードクリームの組み合わせが面白いと思って作った商品です。当時は2つに割れた形のパンが流行っていたんです」(地引さん)。 商品名の第一候補は「桃太郎パン」だった。 しかし、誰かが「赤ちゃんのお尻みたいだ」といったのがきっかけで、「赤ちゃんのおしり」の商品名になった。 カスタードクリームが入っているので、発売当初は夏の間は製造していなかった。 ある年、夏が終わりに近づいたとき、一人の顧客が「赤ちゃんのおしりはまだ始めないのですか」と聞いてきた。 待っている人がいることがわかり、秋に同製品の製造を再開したあと、入り口の脇に「赤ちゃんのおしり始めました」という貼り紙をするようになった。 その貼り紙がテレビ関係者の目に留まり、ある番組で紹介された。それ以降、テレビの取材がしばしば入るようになった。 長い行列が恐ろしかった 最初にテレビで紹介された翌日は、赤ちゃんのおしりを100個用意したが、すぐに売れ切れてしまった。 店の前に長い行列ができてしまい、レジの人が恐がってしまったぐらいだ。700個売れたこともあったが、それ以上はどう頑張っても作れなかった。 「表に『赤ちゃんのおしり始めました』と貼り紙を出したのは、楽しみにしているお客様のことを考えてのことだったのですが、それが思わぬ結果をもたらしました」(地引さん)。 地引さんにとって赤ちゃんのおしりは、ある意味で遊びのパンだったそうだ。しかし、今では『ベルアルプといえば赤ちゃんのおしり』というイメージが定着して、看板商品として重要な役割を果たしている。 「場所柄、観光客が多いのですが、赤ちゃんのおしりのアピール度は大きいですね。知っている人は『ああこれだ』ということになるし、知らない人は『なんか面白いパンがある』といって興味を持っていただけるようです」(地引さん) テレビ局に頼まれて、「地蔵パン」 ベルアルプには、アピール度の高い商品がもうひとつある。「地蔵パン」(200円)だ。地蔵通り商店街の名前の由来である高岩寺の刺抜き地蔵に因んだ商品で、4日、14日、24日の月3回の縁日だけに販売する。 開発した発端はあるテレビ局から頼まれたこと。地引さんはちょうどそのころ、同じようなパンを作ろうと、あれこれと思いをめぐらせていたところだったので、渡りに船だった。生地は赤ちゃんのおしりと同じくハード系に近い。楕円状にのばした生地の上に、あんを包んだ生地をのせて、耳と手の形に成形した生地をつける。目や口などはチョコレートクリームで線描きする。杖はポッキーで表現。 最も作っていたときで1日200個。「作るのがけっこう大変なんです。特に目と口を絞るのにはかなり神経を使うので、200個以上は作れませんでした」(地引さん) 現在は、1日30個前後で、このほかに予約分が加わるそうだ。「ロングセラーといっても、お客様の遊び心に訴える商品や健康志向に訴える商品などいろいろだと思いますが、とにかく自分が気に入って、お客様とのやり取りの中で、いろいろと改善しながらずっと続けていくことが大事だと思います」。地引さんは最後にこう話した。 |

| ロングセラー中のロングセラー。変える努力と変えない努力 - 丸十山梨製パン | |
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製法を脈々と受け継ぐ
創業83年の老舗、丸十山梨製パンのレモンパンは、ロングセラー中のロングセラー。同ベーカリーの看板商品で、レモン味の上生地は、砂糖の配合量が多く、きつね色に焼き上がる。ひとつ100円。 同ベーカリーの3代目、梅本実社長は「発売当初のことはもう正確にはわかりません。戦火で資料は残っていないし、発売当時の人たちはすでに故人になっていますから」と説明する。しかし、その製法は現在まで脈々と受け継がれてきた。 「ロングセラーをロングセラーであり続けさせるためには、それなりの努力をしなければなりません。まず、時代と共に変化する消費者の嗜好にあわせて、モデルチェンジをしていかなければならないということです」(梅本社長)。 レモンパンは、梅本社長が同ベーカリーで働くようになった頃と比べると食感がかなり軽くなっているそうだ。 また、逆に同じ味を保つための苦労もある。長い間には、材料も変わってくるし、使っていた材料が入手できなくなることもある。 そうした場合は、できる限り同等の材料を探すか、味と食感を変えないために、逆に配合や製法を総合的に見直す場合もあったそうだ。 値上げや値下げをする場合、また価格を据え置く場合にも、様々な検討を加えるという。例えば、生地の重量を増やしたり減らしたりして調整したこともあるという。 ロングセラーをロングセラーとして維持していくためには、材料の供給状況などに左右されることなく、いかにして同じ味を保っていくか、また逆に時代と共に変化する顧客の嗜好にどうやって的確に対応していくか――これら2つの課題を常に意識し、努力を怠らないことが大切だという。 |

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