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| お店拝見/2004年3月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 食べ物の基本 - ピッコリーノ | |
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パンを作り、パンを送り、パン作りを教える――そんなベーカリーが東京・町田市にある。その名をピッコリーノ。オーナーの伊藤幹雄さんは「食べ物の基本はおいしくて身体にいいこと」と言い切る。一風変わった営業形態の裏側には、伊藤オーナーの確固とした哲学がある。
住所 東京都町田市野津田町830 電話 042-735-0201 FAX 042-735-1554 URL http://www..piccolno.com eメール le_pain@piccolno.com |

| 「『おいしくなくて身体にいい』は絶対にありえない」 | |
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伊藤さんは、およそ25年前に、小田急線・鶴川駅前でベーカリーを開業。
「大手にはできないことは何か」と問い続け、ホシノ酵母とナンブ小麦に出会った。「おいしくて安全な材料」を厳選し、独自の製法でパンを作り続けてきた。 ピッコリーノは、店舗を持たない通販専門のベーカリーだ。毎週火曜日、または火曜日と水曜日にパンを作り、注文主に発送する。長年同ベーカリーのパンを食べ続けている熱心な固定客が多い。 週に3日、パン教室を開いている。現在の生徒は約60人。ピッコリーノのパン教室でパン作りを覚え、店を出した人も多い。 伊藤さんとけい子夫人は「子供は本来、粉と水と酵母と塩だけのシンプルでおいしいパンを好みます。それが生まれながらに持ち合わせている好みなのです。その証拠に、私どものパンを親と子にそれぞれ選んでもらうと、子供はシンプルなパンに、親は甘いパンに手を伸ばすという傾向がはっきりと見て取れます。子供たちの純粋無垢の状態での食べ物の好みを大切にしてやりたいですね」と話す。 「日本人の長い食文化の歴史と比べると、戦後の大量生産大量消費の食文化はたかだか50年と短いわけです。今、日本人は『本物の味』を見直す方向へシフトしていると思います」 伊藤さんは日本のパン食文化の現状に手厳しい。 「食べ物は、おいしくて身体に良くなければなりません。おいしくないけれど身体にいいということはあり得ません。おいしさとは何かというと、『毎日食べて飽きない』ということです。日本のパン業界はこれまで、パンに甘さを加えたり、いろいろな味をつけたり、色をつけたりして、パンのおいしさの概念をゆがめてきたと思います」ときっぱり。 さらに「昔レイモン・カルベル氏は『パンはおいしくなければならない。甘いのも塩っ辛いのもパンのおいしさではない。小麦粉本来のおいしさを生かしたパンを作れば、それがパンの消費量拡大につながるでしょう』といいました。今こそその言葉を改めて噛みしめるときだと思います」。 |

| ホシノ酵母とナンブ小麦との運命的な出会い | |
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およそ25年前の開業当初、伊藤さんはパンを仕入れてサンドイッチを作っていた。店頭で販売するほか、町田地区の複数の大学生協の売店でも販売していた。
そのうちに仕入れたパンでは満足できなくなり、自分で作り始めた。当時はパンがよく売れた時代だ。しかし、伊藤さんは「長いスパンで考えたら、大手にはできないことに特化しなくてはやっていけない」と考え、進むべき方向を模索していた。 そんなときに、朝日新聞のある記事が目に留まった。ホシノ酵母を大きく紹介している記事だった。「これだ」と思った伊藤さんは、ホシノ酵母の製造元を訪ね、酵母を入手し、天然酵母パンに特化していった。 「あるとき、国産小麦粉でパンを作ってほしいといって頼んできた人がいました。パン屋さんを何十軒とまわったが、『うどん粉でパンができるか』といって、どこも引き受けてくれなかった、というんですよ。それが国産小麦粉との出会いでした」。伊藤さんはこう話す。 農業試験場などを訪ね歩いて、国産小麦についての情報を収集した。比較的安定供給が可能だと思われた岩手県産のナンブ小麦を知った。 伊藤さんの進むべき道が決まった。「ホシノ酵母とナンブ小麦で作るおいしくて安全なパン」 「当時はまだ、『食の安全性』ということが今ほど注目されていなかったので、とにかく自分たちのパンを多くの人に説明しました」と伊藤さんはいう。 店が手狭だったことから、店から車で15分程度の現在の場所に一軒家を借り、パンの製造スペースに当てた。 生協の共同購入のグループの人たちに直接パンを持って説明しに行くようになった。そうした人たちから、直接パンの注文を受けるようになり、製造して配達するようになった。パンが評判になり、生協自体にも収めるようになった。 現在は、パンは宅配便で送っている。パンの製造は週1〜2日で、パン教室を週3回開いている。 |

| 「白生地」と呼ぶ基本の生地で作るロングセラー | ||||||||||
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げんこつパン
【配合%】
【工程】 (1)ミキシングL2分LM2分L2分 (2)捏ね上げ温度21度C (3)捏ね上げた生地を21度C約12時間1次発酵をとる(3・5〜4倍に膨らんだ状態) (4)[3]の生地を50グラムに分割し、きつめに丸める (5)ホイロ30度C80%1時間30分(6)焼成上火220度C下火260度C(炉内平均温度230度C)14分 ※生種は、重量比でホシノ丹沢酵母1と20度Cの水1・5を使用。水を容器に入れて、酵母を加える。それを20度Cで4日間おく。容器にはふたをして密閉する。他の2製品についても同じ生種を使用。 | ||||||||||
| ナンブ小麦の全粒粉を配合した素朴な味わいのパン | ||||||||||||
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全粒田舎パン
【配合%】
【工程】 (1)ミキシングL2分LM1分L1分 (2)捏ね上げ温度21度C (3)捏ね上げた生地を21度Cで約12時間1次発酵させる(3・5〜4倍に膨らんだ状態) (4)400グラムまたは300グラムに分割し、ナマコ形に成形する (5)ホイロ30度C80%1時間弱 (6)ホイロが終了したらクープを2本入れる (7)焼成上火220度C下火260度C(炉内平均温度230度C)16〜18分 | ||||||||||||
| 有機ライ麦粉を30%配合する | ||||||||||||
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有機ライブレッド
【配合%】
【工程】 (1)ミキシングL2分LM1分50秒L1分50秒 (2)捏ね上げ温度21度C (3)捏ね上げた生地を21度Cで約12時間1次発酵させる(3・5〜4倍に膨らんだ状態) (4)300グラムに分割し、ナマコ形に成形する (5)ホイロ30度C80%1時間30分 (6)ホイロが終了したら放射状にクープを入れる (7)焼成上火220度C下火260度C(炉内平均温度230度C)15〜16分 | ||||||||||||
| 2カ月間限定で新発売。オレンジピールの自然な香りが印象的。 | |
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オレンジブレッド
2月と3月の季節商品として新発売。げんこつパンの生地に、自家製オレンジピールを混ぜて焼き上げたパン。オレンジピールは、無農薬・無除草剤のオレンジ類を使用して作ったものだ。 粉、水、酵母、塩だけのシンプルなパンにオレンジの自然な香りと甘みがほのかに加わって、とてもさわやかな味に仕上がっている。 伊藤さんは「甘さはさっぱりとしていて、気にならないくらいなので、肉料理などとも合いますし、軽くトーストして、ヴァージンオリーブオイルをつけても、とてもおいしく食べられます」と説明する。 |
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