オンリーワンを目指す - ペティ・ボア - ブランスリー電子版

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お店拝見/2004年3月号

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オンリーワンを目指す - ペティ・ボア

ペティ・ボアの外観
ペティ・ボアは、千葉県我孫子市にある。オーナーの小林謙さんは、ドンクで製造スタッフとして働いた後、小規模リテールベーカリーでさらに修業を積んだ。「他店で売っていない独自のパン」を作ろうと材料と製法に様々な工夫を凝らしている。「違う2つの要素を組み合わせて、「まったく新しい別のもの」を生み出そうと日々試行錯誤を繰り返している。

住所 千葉県我孫子市寿2−2−16
電話 04-7105-2908
営業時間 午前8時〜午後7時
定休日 水曜日、第3木曜日



「他店にはないパンを作りたい」。製法にちょっとした隠し技

小林謙さん(中央)。母親の貴代子さん(右)と姉の紀子さん(左)は販売を担当。


ペティ・ボアには熱心な固定客も多い。この顧客は定期的に来店して、食パンをブロックで何本も買っていくそうだ。
店は、JR常磐線・我孫子駅から徒歩約20分の県道356号線沿いにある。売り場5坪ほどの小さな店だ。入店すると正面にデニッシュ類やスイート系のパンが並んでいる。右手の棚には、ハースブレッド類と食パン類など。いずれの製品も同店の個性を感じさせるパンだ。
オーナーの小林さんは「ウチでしか買えないと思っていただけるパンを作らなくてはと考えています」と話す。
パンの製法にはかなりこだわっている。
例えば、新発売の「シナモンブレッド」(320円、ハーフカット160円、製法を11ページに掲載)。バターロール生地をのばしてシナモンフィリングを巻き込んだ商品だが、シナモンフィリングにケーキクラムを配合し、独特の食感を出している。
小林さんは「他の店と同じものを作ってもしようがないと思って、いろいろと試してみました。自分としては、食感に特徴を持たせたいと考え、また、シナモンの層をはっきり出したいとも思いました」という。
「クリーム&カスター」(140円、製法を10ページに掲載)もユニークな商品だ。
クリームチーズとカスタードクリームを混ぜ合わせたフィリングを包み、特製の上生地をかぶせて焼き上げる商品。
この上生地は上白糖とマーガリンをすり合わせて、卵を加えたものを冷蔵保存しておいて、そのつど必要な量だけとり分け、小麦粉を加えて仕上げるというものだ。
焼き上げたときに独特のひび割れができるのと、食感にさくさく感としっとり感の両方があるのが特徴だ。
ペティ・ボアの商品には、製法や材料にこうした「隠し技」があるものが多いのだ。



顧客の声と店の主張を両立させるパンの品質保持に工夫を凝らす

左から「ミニぶた」「ミニカレー」「ミニバーグ」(いずれも30円)。デニッシュ生地を使用。


様々なパンが並ぶ陳列棚。アイテムごとの陳列数を少なくして、残りは番重に保存。売れたら順次番重から補充する。
小林さんは、ドンクで6年間製造スタッフとして働いた。その後、複数の小規模リテールベーカリーで修業を積み、昨年10月に店を出した。
「いざ自分の店を持ってみると、使われていたときはやっぱり自己満足の度合いが高かったんだな、と思います」と小林さんは振り返る。「お客様の声を最大限に生かしながら、しかも自分の主張を通していくことが、いかにむずかしいかが身にしみてわかりました」
顧客にパンをいい状態で買ってもらおうと、数々の工夫を施している。
パンの焼成回数をできる限り多くし、さらに焼き上がった同じ種類のパンを1度に陳列棚に並べずに、少量ずつ小出しにして、残りは陳列棚下の番重に入れておくようにしている。こうすることで長時間裸で置いておくことによるパンの劣化を防いでいるのだ。
また、パンの下に敷いている白い紙も、パンの油がしみ込んだり、パンカスで汚れたりしたら、こまめにとりかえるように心掛けている。
「お客様が途切れた短い時間を利用して、手早く行います」と小林さん。



食パンには力を入れている。年末、食パンは予約販売

左から「イギリス食パン」「胚芽食パン」「はちみつ食パン」


ラスク類も好調。特に右の「こげパンダ」(1袋150円)は人気を集めている。
「お客様は、店に入ってくると、まず食パンを見ます」。小林さんはこう話す。ペティ・ボアの食パンは、「胚芽食パン」(1斤220円)、「はちみつ食パン」(1斤220円)、「イギリス食パン」(1斤220円)、「食パン」(1斤200円)、「大地の恵み食パン」(1斤250円)の5種類。
「食パン」には、練乳を少量配合、粉の風味を生かすために、バターではなくマーガリンを使っているという。「胚芽食パン」は、最初はあまり売れないと思ったが、予想に反してよく売れているそうだ。「お客様の健康志向の強さに驚いています」と小林さん。胚芽食パンの好調さに勇気付けられて出したのが黒ゴマ、ライ麦、あまに、発芽玄米などを練り込んだ「大地の恵み食パン」だ。
また、「イギリス食パン」は、粉のブレンドとミキシングに独自の工夫を施して作る「トースト専用のパン」。「トーストしたときの外側のかりっとした感じと中のしっとり感がほかの食パンよりはるかに強いんですよ」と小林さん。「食パンは、オープン時も4品目を作っていました。私としては食パンを最初から4品目出すというのはかなりのギャンブルでした。お客様はまず食パンを見るので、品目数が減っていくと、いい印象は与えませんから」。
昨年の12月30日(昨年の最終営業日)は、食パンはすべて予約販売にした。2週間前から告知して、予約を取った。オープン後初めての年末だったので、需要がどの程度あるのか判断しづらかったからだ。結果的には普段の食パンの売上の約2倍の予約があったという。また、予約を受けた分以外にも製造して、予約できなかった顧客にも対応した。



牛乳とバターの香りを思いっきり出した。

牛乳スコーン
牛乳スコーン
「牛乳とバターの味と香りを思い切り出したかった」と小林さん。「おやつとして、それだけでもおいしく食べられるようにとも考えました」とも。「くるみ&レーズン」と「チョコチップ」の2品目。いずれも価格は100円。
【配合グラム】
バイオレット(薄力粉) 1000
グラニュー糖 250
バター 250
ベーキングパウダー 60
牛乳 400

【工程】
(1)バイオレット、グラニュー糖、ベーキングパウダーを軽く混ぜ合わせて、ミキサーに投入
(2)硬い状態のバターをサイコロ状にカットし、[1]に投入、軽く混ぜ合わせる
(3)[2]に牛乳を投入してミキシングし、生地がまとまったら、生地500グラムに対して67・5グラムのレーズンと、同じく67・5グラムのくるみを投入し、混ざったらミキシング終了(練り過ぎに注意する)
(4)[3]を1・5センチの厚さにのばし、菊型で抜く
(5)[4]を10分程度室温においた後、卵を塗って、上火180度C下火180度Cのオーブンで約20分間焼成する

※「チョコチプ」は、くるみとレーズンの代わりに、生地500グラムに対して、チョコチップ75グラムを投入する。

上生地の独特のひび割れと食感が特徴の製品

クリーム&カスター
クリーム&カスター
上生地の食感が独特。しっとり感とさくさく感が同居している。「とにかく食べてください」と小林さん。
【中種工程%】
強力粉(カメリヤ) 100
上白糖 5
ショートニング 5
全卵 15
マドレージャポネ(酒種風味の粉末状パン種ベース) 10
水 27
生イースト 4

【工程】
ミキシング L3分M2分、
捏ね上げ温度 30度C、
フロアタイム 1時間15分

【本捏配合%】
全卵 8
上白糖 20
塩 0・8
中種 全量

【工程】
ミキシング L3分M5分、
フロアタイム 20分、
捏ね上げ温度 28〜30度C、
分割 50グラム、
ベンチタイム 20〜30分、
成形 (1)▼フィリングを40グラム包む(包あんの要領)
(2)▼30グラムの上生地を円形に薄くのばして[1]にかぶせ、焼成カップに入れる。
ホイロ 30度C2時間(室内でとる。室温によって時間を調整)、
焼成 上火180度C下火210〜220度C13〜15分

※焼成後、粉糖をかける。

▼フィリング
カスタードクリームとクリームチーズを3対4の割合で混ぜ合わせる。

▼上生地
【配合グラム】
上白糖 675
マーガリン 675
全卵 275

【工程】
(1)上白糖とマーガリンをすり合わせ、全卵を何回かに分けて加え混ぜ合わせる
(2)[1]を冷蔵庫に保存し、使うときに必要量をとりわけ、フランスパン用粉(リスドォル)を加えて使用する(メロンパンの皮と同じくらいの硬さになるようにリスドォルの量を調整する)

原価計算女王
原価計算女王
シナモンフィリングにケーキクラムを混ぜて独特の食感を出す。

シナモンブレッド
シナモンブレッド
オンリーワンのシナモンブレッドを作ろうと、苦労を重ねた結果出来上がった自信作。シナモンフィリングにケーキクラムを混ぜ込むことで、特徴を出している。
【配合%】
カメリヤ(強力粉) 100
上白糖 10
塩 2
生イースト 3
牛乳 10
全卵 15
水 40
脱脂粉乳 4
バター 15
モルト 0・2

【工程】
ミキシング L3分M4分30秒(バター投入)L3分M4分30秒、
捏ね上げ温度 28度C
分割 350グラム、
成形 (1)ナマコ形にして1晩冷蔵保存したあと、長方形に伸ばし、上面に▼シナモンフィリングをふって、ロールする
(2)[1]を4連型に入れる。
ホイロ 35度C75%1時間〜1時間30分、
焼成 上火180度C下火240度C30分

※成形後、クープを5本入れる。
※ホイロ後、卵を塗る。

▼シナモンフィリング
【配合グラム】
全卵 360
上白糖 370
ショートニング 370
シナモン 50
▼スポンジケーキ 1枚

【工程】全材料をミキサーでどろどろの状態になるまで混ぜ合わせる

※冷凍保存して、そのつど必要量だけ使う。

▼スポンジケーキ
【配合グラム(2枚分)】
全卵 1000
上白糖 750
牛乳 150
バイオレット(薄力粉) 550

【工程】
(1)全卵(40度C程度に温めたもの)と上白糖を混ぜ合わせて立てる
(2)牛乳を90度Cに加熱し、[1]に加えて混ぜ合わせる
(3)[2]にバイオレットを加えてさっくりと合わせる
(4)[3]を上火下火とも180度Cのオーブンで25〜30分焼成する

あんぱんは最初売れなかったが、単独で陳列したら売れるようになった。


あんぱんは最初、デニッシュなどが並ぶメインの棚=上の写真=に並べていたが、あまり売れなかった。そこで、入り口のすぐ左手に別に陳列するようにしたら、急に売れるようになった(下の写真)。小林さんは「あんぱんは、シンプルな製品なので、デニッシュなどと一緒に並べると、かすんでしまうのではないかと思います」。


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