焼成後冷凍パンのネット通販の下地は、一般家庭の主婦たちがすでに築いてくれていた - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(46) - ブランスリー電子版

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連載/2021年4月号

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焼成後冷凍パンのネット通販の下地は、一般家庭の主婦たちがすでに築いてくれていた - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(46)
 コロナ禍という私たちがこれまで経験したことのない災いとの戦いが始まって、もう1年が経ちましたが、その戦いの中で、新たな展開が色々なところで生まれています。パン業界でも様々な試みが始まっていますが、そのひとつとして、パンのネット通販に挑戦するベーカリーが増えていることがあげられます。
 落ち込んでしまった売上の埋め合わせをしたいということもありますが、焼きたてのパンをその鮮度ごと急速冷凍する比較的簡単な方法が出来てきたということの方が、理由としては大きいような気がします。比較的簡単な方法とは、リテールベーカリーでも導入しやすい設備でできる急速冷凍の方法という意味です。
 先日、ある有名なアルチザンベーカリーのネット通販を利用しました。ハード系のパンと、平べったい生地の上に野菜やチーズなどをのせて焼いたパンを注文したところ、焼成後に冷凍して真空パックした状態で、冷凍便で届きました。同封されていた案内書を見ながら、解凍して味わってみると、悪くない感じでした。
 製パン機械メーカーでも、焼きたてを効率的に提供する方法として、焼成したパンを急速冷凍して保存するという方法を、それを実現する機械と共に提案するケースが出てきています。
 20年以上前でしょうか、パートでもアルバイトでも、焼きたてのパンの焼成ができるということを売りものして、生地玉冷凍や成形冷凍、ホイロ後冷凍など様々な方法で冷凍されたパン生地が注目された時期がありました。「焼成冷凍」というカテゴリーもありましたが、当時はどちらかというと、生地の状態で冷凍したものが多く、職人の高度な技が必要な製パン作業を、誰にでもできるように、冷凍生地によって単純化しようという主旨のものが多かったように思います。
 しかし、最近のパン業界での冷凍技術のへの注目は、製パン作業の単純化が目的ではなく、パンを焼き上げるまでは、熟練の職人が持てる技をいかんなく発揮して作り、その最高の品質のパンの焼きたての状態を瞬間冷凍する、ということにポイントが置かれています。
 実は、焼成後にパンを冷凍する技術は、これまで、一般家庭で進化してきました。家庭の主婦たちは、焼きたてパン屋で購入したパンを、時間が経ってもおいしく食べたいという思いから、小分けにしてラップに包んで冷凍したり、、保存袋に入れて冷凍したりと、様々な形でパンの冷凍保存を行ってきました。
 コロナ禍は、結果的に、これまで家庭で多く行われていたパンの冷凍技術の追及を、プロのパン職人が行うようになるきっかけを作ったとは言えないでしょうか。プロの製パン作業は、パンを焼き上げるまでではなく、焼き上げたパンを焼きたての状態で急速冷凍し、その最もおいしい状態を封印するまでだという認識が生まれつつあるように思えるのです。
 アルチザンベーカリーのパンが、時間と空間の制約から解放されて、社会の様々な場所に流通するようになれば、これまでは大手ナショナルブランドの独壇場だった広範囲でのパンの販売が、アルチザンベーカリーでも、ナショナルブランドとは一線を画した形で、できるかも知れません。
 ネット通販は、実店舗での販売とは全く異なる成功のロジックがあり、実店舗での販売の片手間で参入することはお勧めできませんが、実店舗で作ったパンを、時間と空間の壁を越えて、どこか遠い国の生活習慣が全く違う人たちに販売する、というぐらいの覚悟があれば、やりがいのある新たなビジネスになるかも知れません。(RO)







原価計算女王
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