経営方針を具体的に明示することで、全社員の日々の行動の羅針盤とする - 私の販売集大成ノート(6) - ブランスリー電子版

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連載/2021年3月号

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経営方針を具体的に明示することで、全社員の日々の行動の羅針盤とする - 私の販売集大成ノート(6)
経営方針を社員全員に徹底させる

 「今、何処にいてこれから何処に行こうとしているのか分からない」
 こんな想いを持ちながら歩く道は厳しく辛い。
 しかし、経営方針が明確な会社に所属していれば、「今はまだ先は遠いが、真っ直ぐにゆっくり歩いて行けば必ず目的地に着く」という目的意識が持てる。経営方針は日々の業務の行動指針となる。
 ポンパドウルの「使命」と「経営方針」は分かり易く明快である。
 「顧客第一主義に徹し、より良い製品と心のこもったサービスの提供をとおして食文化の創造に寄与する」ことを使命として、それを実現するための経営方針は、▼フレッシュ▼高品質▼多品種▼生産性の向上▼安全と衛生▼サービスの向上、の六項目である。
 各店舗では毎日朝礼時に経営方針を全員で唱和して一日がスタートする。販売会議や課長会議、勉強会や研修会、役員会議でも冒頭に全員で唱和する。あらゆる機会で唱和して行動することで経営方針が徹底していった。
 日々多忙な時間を送っていると何を大切にして何処を目指して行くのか分からなくなることがある。そんな時経営方針で、成すべきことや成さなければならないことが明示されていると行動が取り易くなる。 

経営方針の明確さが急拡大の中でものをいう

 1978年に入社して、3店舗のマネージャーを経験した後の1985年、販売課長の任が私に与えられた。
 店舗は25店舗に拡大していた。1986年には九州小倉への出店も決まり全国展開が視野に入って来た。その後1992年迄の間は、熊本、長崎、岡山、福山、米子など九州や中国方面に新規出店が相次いだ。関東でも千葉や船橋や追浜などの新規出店が決まっていた。ポンパドウルの成長期は続いた。
 地方に点在する店舗展開に対して、店舗間でバラツキが出るのではないかと危惧する声が聞かれた。しかし私はその危惧に対しての不安はなかった。何故なら明確な経営方針があり、現場で個々が何を成さなければならないかが明確になっていたからだ。

当時の三藤喜一社長の集中力に圧倒された

 1988年に製造技術者育成のための技術研修の場として、神奈川県三浦半島の油壺にポンパドウル研修センターが落成した。式典後課長達が集まり一杯やっている所に、当時の三藤喜一社長が突然やってこられた。場のムードは一変した。酒の席で社長の話を聞く機会は少なく、どの様な話になるのか興味があった。ビールを飲んだ後、箸で刺身を摘まんだままで、口にすることなく、製パン技術やベッカーマイスター制度の話となり、段々熱が入ってくるのを横で聞いて感じていた。ある課長は摘まんだ刺身が落ちないか気になったと言っていた。そこ迄集中出来るパワーは一体何処から来るのか、段々興味が湧いてきた。
 「少しくらいの風邪なら店回りしたら治る」と社長から直接聞いたことがある。納得出来る話だ。人は人の情熱に魅力を感じる。
 研修センターは一階が工房、二階に会議室、三階が宿泊施設。関東の店舗は研修センターで販売会議が行われた。また社員の福利厚生施設としても利用された。ある大学のゼミでも毎年利用されて好評であった。社員の有志で庭に手造りの石窯が造られて焼きたてのピザが振る舞われたこともあった。

ベッカーマイスター制度がスタート

 研修センターの設立と同時に、製パン技術の養成と向上を目指した「ベッカーマイスター制度」がスタートした。上級、中級、初級に応じて製パンの実技試験がある。試験は職場の上司の推薦を得た者に対して行われる。合格しても給与には反映されないが、初級合格者は新入社員の教育ができ、上級合格者は全国どの店でも指導が出来るという役割が与えられた。
 研修センターの設立とベッカーマイスター制度の導入については、販売の一員として軽い嫉妬心を持ちつつも、ポンパドウルの一員として誇りを感じていた。
 販売でも同様の制度の必要性が叫ばれていたが、実施までには時間が必要であった。

望月 康男 販売アドバイザー。1946年神奈川県川崎市生まれ。東京都町田市在住。趣味は、ドライブ、登山、ビデオ撮影、映画鑑賞。1978年9月、株式会社ポンパドウル入社後、町田店、六本木店、伊勢佐木町店の販売マネージャー。1985年1月販売課長。1989年6月販売部長。1996年12月取締役販売促進部長。2001年10月取締役広報宣伝部長。2007年2月〜2010年1月、株式会社ポンパドウル顧問。全店の接客、品質、クレンリネス、品揃えの改善点をアドバイス。株式会社ポンパドウルの成長期、成熟期に販売関連業務に携わる。









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