価値観が多様化した社会においてはパン専門店経営にも潔さが必要になる - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(45) - ブランスリー電子版

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連載/2021年3月号

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価値観が多様化した社会においてはパン専門店経営にも潔さが必要になる - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(45)
 パン専門店を経営していくということは、一つの価値観を世の中に提示していくことであり、様々な価値観を受容できる多様性が強く求められる社会においては、ある種の潔さが必要になってきます。
 このことは、パン専門店の経営に限ったことではありませんが、今や大多数の支持を得ることは困難になっています。
 ですから、ビジネスとして何か事を起こし、それを継続的に運営していくためには、そのビジネスが提示する価値観に共鳴する人たちがどれくらいいるのか、また事を進めていく過程で、どれくらい支持者を獲得できるのかを正確に見極める必要があります。
 そして、大多数の人たちに響くような八方美人的な価値観では、多くの場合、インパクトのある価値観にはならす、結局、ほとんど共感者を得られないという最悪の結果になってしまうことが多いように思います。
 このことを踏まえながら、パン専門店の今後の方向性について考えてみたいと思います。
 パン専門店は、基本的に物理的な商圏内の人たちを相手にしたビジネスです。店の立地によって商圏の性格と広さは変わってくると思いますが、ここでは、都心から一時間半ほどの郊外の小さな駅の商店街から少しだけ外れた住宅街立地のパン専門店と仮定して考えてみたいと思います。
 一つの考え方として、パン作りを自分の感性の表現としてとらえるなら、まずは、オーナーシェフの個性を最大限に表現したパンは何かを見極めるところから出発するのがいいかも知れません。理想とするパンをはっきりとイメージした上で、それらのパンを、どのようにして商圏内の人たちの食生活に落とし込んでいくかを考える必要があります。
 まず、住宅街の商圏にはどのようなパン食文化がすでに定着しているかを知る必要があります。その上で、自分が表現したいパンとの相性はどうかをチェックしなくてはなりません。最初からすべて相性が合致するということはありませんので、店の近くの住宅街の人たちが求めているものの中で、自分が表現したいものを探すことになるかも知れません。または、自分のモチベーションを維持できる範囲内で、自分の表現したいパンを多少変えていく必要が出てくるかも知れません。とにかく一致点が見い出せない限り、ビジネスが成立しないことだけは確かです。一致点を見出した上で、店を維持していけるだけの売上を確保しなくてはなりません。
 売上を確保するには価格設定が重要です。自分が表現しようとするパンを支持する人たちはどれくらいいて、いくら払うのかを見極めた上で戦略を練る必要があります。支持者の単価が高ければ、支持者の数は少なくていいし、その逆なら、支持者の数は多くなければなりません。方向性が決まれば、あとは顧客とのやり取りの中で、ある程度自分の理想とする方向に、彼ら彼女らを導いていくことも可能だと思います。
 もう一つ、決定的に大事なことは接客態度です。人間という生き物は、自分のことを気にかけてくれる相手には好意を持ちます。基本的には腰を低くして笑顔で接し、その中でさりげなく店としての主張をぶつけていくのがいいでしょう。また、人間という生き物は、必要以上に距離を縮められるのを嫌がりますから、適切な距離感を常に意識することが大事です。 
 私がこれまで色々なパン専門店を取材してきた経験から言うと、接客がよくないと、ほとんどの場合、長続きしないような気がします。(RO)









原価計算女王
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