カリスマシェフは、論理的思考力と被注目願望の産物 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(43) - ブランスリー電子版

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連載/2021年1月号

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カリスマシェフは、論理的思考力と被注目願望の産物 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(43)
 「カリスマシェフ」や「トップシェフ」など、いろいろと呼び方はありますが、パン業界にも、他の人々を引きつけ感銘を与える際立った力を持つブーランジェがいます。彼らは、製パン講習会の講師として活躍し、雑誌、テレビなどのメディアにも頻繁に登場し、広く名前を知られる存在です。
 彼らをそうした存在にならしめているものは、いったい何なのでしょうか。天賦の才能といった部分もあるかも知れませんが、彼らのほぼすべてに共通していることのひとつは、製パンの優れた技術を持っていて、その技術が製パンの論理にしっかりと裏付けされているということです。そして、その論理には、独自性があり、彼らの頭の中で、自由自在に展開し、新たな可能性を常に生み出しているということです。
 このことの発端は、彼らが最初に製パンの現場に入った瞬間まで遡ります。パンの専門学校のある教師は、「パンの製造現場は、同じ作業の繰り返しが多いので、それが単なる単純作業になってしまうと、嫌になってしまうこともあるようです。色々な製パン工程に、なぜそうするのかという疑問を絡ませて、自分なりに考えながら作業をしていけば、単純作業にはならないので、嫌になることはないんですけどね」と話していました。
 例えば生地の丸めの作業でも、ただ合格点の丸め作業を繰り返すのではなく、ガスの抜き加減とか、力の入れ加減とか、表面の張らせ加減とか、色々なことを変数化して、それらが互いにどんな関係性にあるかのかを考え、ある意味で実験的に作業をしていったら、製パン作業はもはや単純作業とは程遠い、楽しくてしかたのないものになるのだと思います。
 「カリスマシェフ」とか「トップシェフ」とかと呼ばれる人たちが製パン講習会の講師として、色々と話すのを聞いていると、製パン作業の中でのありとあらゆることを、自分の中で噛み砕き、それらを変数化し、その関係性について論理的に考え、様々な製パンの方程式を長い時間をかけて編み出してきた人であることが、手に取るようにわかります。
 論理的な思考によって、様々な製パンの方程式を編み出せる能力を養ってきた人が、全員「カリスマシェフ」や「トップシェフ」と人から呼ばれるようになるわけではありません。しかし、「カリスマシェフ」「トップシェフ」などと人から呼ばれるかどうかなどということは、実はどうでもいいことで、大切なのは、論理的な思考によって、無限の可能性を秘めた新たな世界を生み出す方程式を考え出せるかどうかということです。
 この能力はとてつもなく潰しが効きます。「カリスマシェフ」や「トップシェフ」は、この能力に、人から注目されたいという願望や持って生まれた存在感がプラスされて実現するものだと思います。
 この能力に面倒見の良さが加われば、従業員を幸せにする優良ベーカリーのオーナーシェフということになるでしょうし、この能力に、組織への順応力が加われば、人も羨む超有名ベーカリーの有能な番頭さんということになるでしょう。
 論理的な思考がすべてとは、当然ながら言いませんが、比較的多くの人が目指せる、そして何より、前述のように、とてつもなく潰しの効く方向性ではあると思います。
 論理的な思考能力もまた、天賦の能力なのではないかという向きもあるかも知れませんが、決してそんなことはありません。確かに、ノーベル賞を受賞するような天才物理学者や天才数学者はいますが、それは程度の差の問題に過ぎず、鳥が生まれながらにして空を飛ぶ能力を備えているように、人間は生まれながらにして、論理的な思考能力を持っているのだと思います。
 そして、論理的な思考能力の程度の差は、実は本質とは全く関係ありません。多様性が重視されるこの時代にあっては、本質は、その質の差にあります。
 なぜなら、質の差は共存共栄が可能であり、その差があればあるほど、私たちが住んでいる社会は、豊かなものになっていくからです。 (RO)







原価計算女王
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