客の要望をかなえるサービス - 石窯パン工房 童夢の森 本店 - ブランスリー電子版

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お店拝見/2020年10月号

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客の要望をかなえるサービス - 石窯パン工房 童夢の森 本店
「石窯パン工房 童夢の森 本店」の外観
約100種類のパンや菓子が並ぶ店内
製造体制を整え販売先を増やす

 福岡県西端に位置する糸島市は、山海の自然に恵まれ、福岡の中心部から車で約40分というアクセスの良さから観光に訪れる人も多い。そんな糸島市の住宅街に「石窯パン工房 童夢の森 本店」はある。
 同店の社長を務めるのは永田紀美江さん。1996年に開業し、夫婦二人三脚で店を営んできた。最初に始めた店は現在の場所から6キロほど離れた福岡市内の住宅街にあった。
 「旧店舗のときから、糸島からお越しのお客様が多くいらっしゃいました。会話の中で糸島について色々と教えていただくこともあり、次第に糸島に魅かれていきました」(永田さん)
 旧店舗をオープンしてから12年経った2008年、糸島の現在の場所に移転する。
 「移転した主な目的は店舗拡大です。もともと、人に喜んでもらえることをやりたいという思いで、ベーカリー業を志しましたから。軌道にのって10年が経つと、もっと多くのお客様に喜んでいただきたいと思うようになりました。それで検討している最中に、ダイユー(ベーカリープロデュース会社)のスペイン製石窯と出合い、この窯を備えた店舗を建てたいと思いました」(永田さん)
 さらに2012年には九州大学内に店を出し、2017年には福岡市中心部に天神店をオープンさせた。両店舗とも販売のみを行う。パンは、本店の石窯で焼いたものを両店舗に配達している。
 「大学内への出店は、ベーカリーカフェとして提案させていただき、入札で決定しました。天神店は最初、店舗としてではなく、大規模郵便局内のスペースを借りる形でのスタートでした。ご好評いただき、同郵便局の近くに店舗を構えるに至りました。実は旧店舗も、過去に2年弱の一時期ですが、販売だけを行う店として再度営業していたときがあります。住宅街ですので、ご近所の方からご要望いただいてのことです。嬉しく思い、感謝の気持ちを込めて営業させていただきました」(永田さん)



「糸島産の米粉カステラ」(左、税込250円)、「糸島産米粉の蒸しケーキ」(右、税込180円)
「糸島産の米粉パン」(左、税込180円)、「糸島産米粉クロワッサン」(右、税込150円)の各断面
左から「糸島産米粉パイ ポテト」(税込120円)、「糸島産米粉パイ あんこ」(税込120円)、「糸島産米粉の木の実のクロワッサン」(税込200円)の各断面
一番人気の「牛すじカレーパン」(税込200円)
インスタグラムにもアップした、疫病よけの妖怪「アマビエ」をモチーフにしたキャラクターパン
小学校などが休校となった際に売り出した格安ランチセットの第二弾。通常価格税込400円のところを税込250円で販売した
糸島への感謝をこめて米粉パンを開発し販売

 糸島に移転後、永田さんは米粉パンの製造販売に取り掛かった。
 「総務省の統計による家庭の支出額で、パンの購入額が米の購入額を上回ったのが、移転後の2011年の頃でした。パン屋を営んではおりますが、まず日本人として、日本の米の消費量および自給率アップに貢献したいと考えていましたが、そんなとき、お客様から『米粉パンが食べたい』という声をいただいたんです」(永田さん)
 米粉パンに使用する米粉を作る米は、「いつもお世話になっている糸島に還元したい」(永田さん)と、糸島で栽培された米に限ることに決めた。永田さんは市役所や近隣の農家に協力を仰ぎ、米粉パンの材料として糸島産米を確保した。
 「糸島で生産した米を、当店でたくさんの米粉パンにして、販売していくことで、当店のお客様だけでなく糸島全体で喜んでもらえるのではないかと考えています」(永田さん)
 初めて取り掛かる米粉パンの開発は、米粉の製粉方法や米の品種の選定といった、材料を追求するところからのスタートで、険しい道のりだったという。「苦労がありすぎて忘れちゃいました」と永田さんはいう。
 「米は、『ミズホチカラ』という米粉パン向きの品種が、糸島での生産に適していることが分かりました。『ミズホチカラ』は、ふわふわ、もちもちの食感に仕上げることのできる特性を持っている品種です。また、糸島の土地は肥沃で、豊かな甘みのある米に育てることができます。レシピ開発に当たっては、米のこうした特性を極力活かすことを念頭に置きました」(永田さん)
 このような努力の末誕生した米粉製品は、「糸島産の米粉パン」(現在税込180円)、「糸島産の米粉カステラ」(現在税込250円)、「糸島産米粉の蒸しケーキ」(現在税込180円)の3種類で、販売スタートとなった。
 「お客様のリクエストが発端となったということもあり、米粉製品は発売当初から年齢層問わずご好評いただいております」(永田さん)
 現在同店の商品数は約100で、米粉製品はそのうちの1・5割ほど。米粉製品の種類は、販売開始の時からの3種類に加え、「米粉のナッツデニッシュ」(税込205円)や「アップルパイ」(税込150円)などのパイや、「米粉クロワッサン」(税込150円)など合計17種類に増えた。
 米粉製品で人気なのは1位から順に、「米粉のナッツデニッシュ」、「チキン南蛮(米粉ピタサンド)」(税込324円)、「糸島産の米粉パン」(税込180円)となっている。
 糸島産の材料にこだわるのは、米だけではない。同店の一番人気「牛すじカレーパン」(税込200円)に、糸島産のトマトをたっぷり使用するなど、野菜も積極的に糸島産のものを使うようにしている。
 「市場に出せない規格外の野菜の有効活用にもつながると思っています」(永田さん)

客の声を形にした商品やサービス

 同店には旧店舗のときから、続けている人気のサービスがある。オーダーを受けて作る「にがおえパン」だ。パンの中身は、カスタード、イチゴジャム、チョコクリームの3種類から選ぶことができる。
 「始めたのはお客様からのリクエストがきっかけでした。ご家族やご友人の誕生日などの記念日の贈り物として利用されることが多いですね。お客様から、パンのモデルとなる画像を店頭で見せていただくか、メールでいただくなどして、オーダーを受けるようにしています」(永田さん)
 完成した「にがおえパン」の画像は、客の承諾が得られた後インスタグラムにアップされることも。インスタグラムでは、このほかに動物などをモチーフとしたキャラクターパンの画像がアップされることもあり、メッセージ性が強く感じられる投稿となっている。
 今春の新型コロナウイルスの感染拡大に伴って小学校などが休校となった際は、子供たちの給食代わりとして、格安ランチセットの販売を行った。「平日限定童夢お子様セット」を、通常価格が税込304円のところを、税込100円で販売。好評の声を受け、内容を変えて第二弾も行った。
 「お子様セットは一日当たり、100個弱お買い上げいただきました。経営的には大赤字ですが、今までお世話になっているお客様に僅かながらでも恩返しができたらという思いでいます」(永田さん)

SHOP DATA
店名:石窯パン工房 童夢の森 本店
住所:〒819‐1112 福岡県糸島市浦志3‐3‐3
電話:092‐330‐7130
営業時間:午前8時〜午後7時
定休日:年中無休
品揃え:約100品目
スタッフ:製造常時7人、販売常時4人
店舗面積:売り場20坪、厨房20坪
日商:約30万円



この記事の読みどころ

●より多くの客に喜んでもらいたくて、大きな店に移転した。
●パンを売るのが仕事だが、日本人として米の消費量アップに貢献したいと思った。
●米粉パンの開発は、農家に栽培を依頼する米の品種選定から行った。
●コロナ禍で、給食代わりになればと、「お子様セット」を販売した。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





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