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| お店拝見/2002年7月号 |
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| 地域の人達と共に歩む - IBIZAパン焼き人 | |
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パン、洋菓子、料理。3つの分野で修業を積んだシェフが経営するベーカリーが、東京・目黒区にある。安井定義さん。店名は、IBIZAパン焼き人。食べ物という大きなくくりの中でパンをとらえた安井さんが作り出すパンは、時にパン職人の常識を超えることもある。そして、当然ながら、それがこのベーカリーの最大の魅力だ。
住所 東京都目黒区八雲2-8-11第2益戸ビル1F 電話 03-3718-0700 営業時間 ベーカリー 午前11時〜午後9時 (月曜〜午後7時)、レストラン 午前11時〜午後3時・午後5時30分〜午後9時(月曜午前11時〜午後3時のみ) 定休日 ベーカリー、レストランとも火曜日 |

| 小麦粉の新たなおいしさを発見、石窯、ベーカリー、レストラン | |
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看板商品の「イビサ」。お湯で前処理した「クスクス」というセモリナ粉を原料にした極少パスタを配合し、ミキシング後、成形してすぐに窯に入れる無発酵のパンだ。一口食べると「小麦粉が持つもう1つのおいしさ」「他のどのベーカリーにもないパン」といったことばが頭に浮かんでくる。不揃いな形も好印象。表面にまぶした小麦粉も、このパンに独特の雰囲気を与えている。大きなイビサ(500円)と小さなイビサ(130円)の2品目。
安井さんは、独立するに当たって、ベーカリーか洋菓子店かで迷った。「ベーカリーは粗利が4割以上、運転資金も洋菓子店より少なくて済む」と考え、ベーカリーに決めた。 店舗は、東横線・都立大学駅近くの目黒通り沿いだ。知り合いの画家が営んでいたハムとスペイン料理の店を改装した。「それまでの店内の雰囲気を壊さないように配慮しました」と安井さんはいう。 売り場奥の厨房には、大きなスペイン製の石窯を据えた。入り口を入ると正面にある木製の陳列棚には背板がなく、石窯が売り場の顧客に迫ってくる感じ。厨房と売り場を仕切る壁もない。パンの陳列棚やレジ台などは、すべて店舗のスペースと雰囲気に合わせて、安井さんがラフスケッチを描き、業者に作ってもらった。 入り口にはエアーカーテンをつけた。本来なら厨房と売り場を壁で仕切る必要があるが、店舗全体を厨房と解釈して、入り口をエアーカーテンで遮断することを条件に保健所の了承を得た。パン製造の現場を顧客に身近に感じてほしかったのだ。 パン売り場の隣にレストランがある。入り口はベーカリーと共通で、レストランの客は、石窯があるパン工房を左手に見ながら、パン売り場からレストランへ通じる通路を通ってレストランに入る。ランチ、ブランチ、ディナーなどのセットなどを出す。パンはもちろん石窯で焼いたものだ。 |

| 地域の人達が好むパンを作る。外国で日本人の本音がわかった | |
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IBIZAパン焼き人のパンは、日本人、さらには、地元の人たちの好みに合うパンだ。パンの歴史が長いヨーロッパの伝統を学んだ上で、「日本のパン」「地域のパン」といえるもの作り出したい、と安井さんは考えている。
安井さんはホテル勤務20年。パン、洋菓子、料理に深く関わってきた。グアム、香港、マカオなどでの海外勤務が8年と長く、その間に日本人の食の好みを肌で感じ取った。「外国で日本人を相手にしていると、日本人の食嗜好の本音の部分が日本にいるよりよくわかるんです」と安井さんはいう。 地域の人たちの好みに合うと思えば、パンの伝統的な製法には縛られない。イビサのような無発酵のパンも作り、看板商品に育て上げる。ブリオッシュ生地にアイスクリームの種を混ぜ込んで作るサバラン風の「アイスクリームのパン」も商品化。夏季限定の冷やして食べるパンだ。 塩の配合量はすべてのパンについて2%と決めている。 「この辺の学校給食のパンの塩の配合量が2%なんです」と説明してくれた。 |

| 伝統には最大級の敬意を払う。クロワッサンは「バターブレッド」 | |
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一方で、伝統に対しては最大級の敬意を払う。「メロンパンがブームになると、クリームが入ったものとか、いろいろ出ますよね。メロンパンは日本の伝統的なパンなのですから、その範疇から著しく逸脱したものには、メロンパンではない違う名前を付けるべきだと思います。そうしないと、最初にメロンパンを作った人に失礼ですよ」と安井さんはいう。
IBIZAパン焼き人のクロワッサンは、以前は「バターブレッド」の商品名だった。「本国フランスでは、折り込みバターが20%以下のものはクロワッサンと称してはいけないことになっているんです。ウチのクロワッサンは現在はバター20%ですが、以前は20%以下だったんです。ですから『バターブレッド』と称していました」。安井さんはクロワッサンはバターの香りを控えめにした方が日本の食文化に合っていると考えているのだ。 バゲットの代わりに「フレンチ」という商品を出している。製造設備の都合から、長さが少し短めで、正式なバゲットの長さに足りないのだそうだ。 |

| 実は、子供が好むパンだった
「特に子供を意識してはいないのですが、親に連れられて来る子供が、『このパンがいい』といってほしがる場面が目立つんです」と安井さんはいう。
例えば「よもぎトースト」(1斤300円)。最初は、季節限定のつもりで出していたが、季節が終わって製造を止めたときに、親に連れられてきた子供が『あのパンがない』と言って泣き出してしまった。それで通年の商品にした。 「この地域の子供たちが大きくなったときに、彼らの味覚の原点のひとつにウチのパンがなっていれば嬉しいですね」と安井さんは言った。 ◇ IBIZAパン焼き人は、東急東横線・都立大学駅から徒歩約10分の目黒通り沿いにある。ベーカリーは厨房が約6坪、売り場が約4坪。レストランは約10坪。スタッフは製造が安井さんと、製造補助2人の計3人。レストランのシェフが1人、補助1人。全員がパンの販売、レストランのホールも同時にこなす。このほか、安井夫人の由美子さんが販売を担当。平均日商はベーカリー、レストラン合わせて約23万円という。 |
| 小麦粉の新たなおいしさを教えてくれるパン | |
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イビサ
セモリナ粉を原料にした極少パスタの「クスクス」を生地に練り込み、発酵もホイロもとらずに焼成するパン。独特の味と食感で、発酵をとったパンとは違うおいしさがある。IBIZAパン焼き人の看板商品だ。「大きなイビザ」(500円)と「小さなイビサ」(130円)の2種類。 【配合%】 モンブラン(フランスパン用粉)……………100 砂糖……………………………………………5 塩………………………………………………2 インスタントイースト……………………………1 エクストラバージンオリーブオイル……………4 水………………………………………60〜67 クスクス(セモリナ粉を原料にした極少パスタ)…………………………………………………10 【工程】ミキシングL3分M3分(オリーブオイル、クスクス投入)L3分M4分、捏ね上げ温度20〜21度C、分割130グラム、500グラム、焼成240度C25分 ※焼成前に強力粉をまぶす。 ※クスクスは、同重量のお湯(分量外)で戻してから配合する。戻すときに少量のバルサミコを入れる。 ※焼成はスペイン式の石窯を使用。 |
| ニンニクとコーンミールを練り込んだユニークなパン | |
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アホのパン
「アホ」はスペイン語でニンニクの意味。ドライガーリックスライスを麺棒でたたいて細かく砕き、コーンミールとともに煮たものを生地に練り込む。時間が経って乾燥した場合は、料理の材料として使ってもおいしいという。ひとつ150円。 【配合%】 モンブラン(フランスパン用粉)………40 強力粉………………………………60 砂糖…………………………………4 塩……………………………………2 インスタントイースト……………………1 オリーブオイル………………………4 冷水…………………………60〜67 コーンミール……………………17・5 ドライガーリックスライス……………3・5 【工程】(1)ミキシングL3分M2分(オリーブオイル投入)L3分M4分(ミキシングしすぎると生地がべたつくので注意)(2)捏ね上げ温度20度C(3)天板に生地を敷き詰めて(2キロ仕込みで、ちょうど天板1枚分)40度C50%で発酵させる(天板の高さよりすこし生地が上がる程度)(4)天板を1メートル程度の高さから3回程度、作業台の上に落として、生地中の気泡を整える(こうしないと、天板に接した表面近くに大きな気泡がある部分が、焼成時に天板にくっついてしまう)(5)表面に卵を塗り、コーンミールを振りかけて、焼成する(スペイン式の石窯で240度C40分) ※ドライガーリックスライスは、麺棒でたたいて細かく砕いておく。 ※ミキシング前にコーンミールとドライガーリックスライスを、対粉で40%の熱湯(分量外)に入れて煮ておく。 |
| 赤ワインを練り込んだ上品な味のパン | |
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赤ワインのパン
フランベした赤ワインソースを生地に練り込む。独特の色が印象的だ。ひとつ150円。 【配合%】 モンブラン(フランスパン用粉)……100 塩……………………………………2 インスタントイースト……………………1 赤ワインソースと水……合計で60〜67 【工程】ミキシングL7分、捏ね上げ温度20度C前後、発酵2時間〜2時間30分(1時間〜1時間30分の時点でパンチ)、分割120グラム、ベンチタイム30分、成型→軽く生地をのばしてロールする(バターロールの要領だが、バターローほどガスを抜かない)、ホイロ50度C40%20分、焼成240度C20〜25分 ※焼成前に卵を塗ってクープを1本入れる。焼成は、スペイン式の石窯を使用。 ▼赤ワインソース 【材料】 赤ワイン…………………………600cc はちみつ…………………………50グラム クローブ……………………………少々 【作り方】(1)赤ワイン、はちみつ、クローブを鍋に入れて、5〜6分加熱する(2)[1]をフランベして、アルコールを抜く(60度Cぐらいになると火が入る) |
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