地域の人々の食生活を豊かにするパン - ブレッドランド ナチュール - ブランスリー電子版

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お店拝見/2020年5月号

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地域の人々の食生活を豊かにするパン - ブレッドランド ナチュール
「ブレッドランド ナチュール」の外観。駐車場脇には多様な樹々が植栽されている
製造担当の横井美和さん
店内は公共性の高いデザイン。天井は高く、白、黒、木目などの色合いでまとまり、落ち着いた雰囲気
個性的なデザインの照明がぶら下がる
移転後設けたカフェスペース。老若男女に居心地のよい空間をめざした
パンは40〜50種類並ぶ。天然酵母使用のパンとイースト使用のパンの比率は半々
心の栄養になるパンを作りたい

 JR静岡駅から北へ約2・5キロ行った高級住宅街の一角にあるベーカリーカフェ「ブレッドランド ナチュール」。開業10年目の節目となった昨年、店舗面積を倍以上増床し、カフェスペースや駐車場を設けるべく、移転オープンした。店舗の規模を大きくしただけでなく、前の店より客層を広げたいという思いを込めて店名も改めた。
店前にある駐車場脇の植栽は、その樹々の1本1本が葉の色や形が様々で、まるで植物園を訪れたかのよう。店内に入ると高い天井からぶら下がる、大きく個性的なデザインの照明の数々に目を奪われる。
 オーナーの安楽享子さんは店舗デザインについて「公共性を高めたくて、公園や図書館のような雰囲気が出せるようにしました」と話す。
 安楽さんは芸術大学卒業後、飲食とは関係のない仕事に就いていた。しかし、身近に食事制限を必要とする人の存在があったことで、次第に仕事や食に対する自分の考えが変わっていったという。
 「開業したのは、食事制限のある方たちのためにできることはないかと考えたことがきっかけです。ですので当初は、国産小麦と天然酵母を使ったパンとおやつの店として、特異な印象があったと思います」(安楽さん)
 ところが、安楽さんの作るパンと菓子は食事制限の必要がない人々にも人気が広がっていった。需要に応え規模を広げるため、移転前の約10年の間にも2度の改装を行った。
 「当店が地域にとって必要な存在だということを感じると同時に、材料選びやパン作りにおける考え方が変化していきました。材料が身体に負担のないものとして、オーガニックであることや安全性を追求することは大事なことです。ですが、そのことを一番の売りにするのには抵抗がありましたし、最も大事なことは心の栄養になるパンを作ることだと思うようになったんです。油脂や糖類の使用量についても、控えることが良いと決めつけずに、安心なものであれば適量を見つけて使うことによって、もっとおいしくした方がいいのではないかというようにです」(安楽さん)
 移転を機に、地域に住むより多くの人をターゲットにした商品開発を行った。そして、気軽にパンを楽しんでもらえる場としての存在になればと、「ナチュール」という元の店名に「ブレッドランド」というワードを付けた。
 「天然酵母は地域柄、かたくてすっぱいというイメージがあるので、イーストを使用したパンも作ることにしました。全体の半分位の割合です。また最低基準として、使う材料はすべて、どういうものか把握したものであること、フィリングなどもすべて手作りであること、冷凍生地は使用しないことなどを定めました。冷凍生地については、当店ほどの規模の店舗で使用しないのは、この辺りでは貴重です」(安楽さん)



「とろけるクリームぱん」(税抜200円、左)と「大国屋さんの粒あんぱん」(同、右)
「とろけるクリームぱん」の断面
イースト不使用の「天然酵母クロワッサン」(税抜180円)
「天然酵母クロワッサン」の断面
牧草で飼育された乳牛の生乳でできたバターを使用した高級食パン「葵」(1本820円)
客層を広げるために商品の幅を持たせる

 移転前から、安楽さんと共に製造や商品開発を行ってきた横井美和さんは、移転後の変化をこう話す。
 「望んでいた通り、利用してくれるお客様の幅が広がりました。前は天然酵母で作った商品だけだったのが、現在は扱う商品の幅が広がった分、多くの人に喜んでいただけている実感があります。イーストを使用することなどで、天然酵母だけでは難しい、ふわふわ食感の生地を作ることができ、それによって、『とろけるクリームぱん』(税抜200円)や『大国屋さんの粒あんぱん』(税抜200円)といった定番の菓子パン類など、前は作れなかったものが出せるようになりました」(横井さん)
 一方、レーズンなどから起こした自家製酵母を使用した、イースト不使用のパンは、移転前からレシピはほぼ変えずに作り続けている。「復刻!山型食パン」(税抜450円)や「天然酵母クロワッサン」(税抜180円)などで、国産小麦の甘みと酵母の香りが活きている。
 「季節によって発酵の具合が変わるので、お客様に何時に焼けます、とは言いにくいですね。でも天然酵母は、その生地の見極めが、難しくもあり最も面白いところです」(横井さん)
 また、全粒粉を多めに配合したものや、砂糖やバターを使用していないものなど、移転前からの常連客用商品の製造も続けているが、予約制で売り場には並べない。特殊なパンだと知らずに、購入してしまうというような間違いを起こさないためだ。
 そのほか、卵と乳製品を使用しない商品を毎日最低一種類は必ず出すようにしている。
 「アレルギーのある人や、小さいお子さんのために必要なので、売れ行きとは関係なく用意する意味があると思っています」(安楽さん)
 安楽さんが特に同店のパンを食べてもらいたいと願っているのは、子どもと高齢者だ。
 「お年寄りには、手作りのパンで食生活が豊かに感じてもらえたらいいと思っています。子どもは舌が敏感で、天然酵母の風味にまで気付くくらいです。天然酵母や国産小麦を使ったパンを当たり前のように食べていたというような、子ども時代を過ごしてもらえたらいいなと。そのことに当店が貢献できたらいいと思います」(安楽さん)
 「ミルキーブリオッシュ」(税抜200円)や「クリーミーリッチチーズ」(税抜160円)は名前の通り、バターやチーズなど乳製品を活かした商品だ。乳製品は産地を北海道に絞り、味や品質を吟味して使用を決めている。高級食パン第一弾として発売した「葵」(1本税抜820円)に使用しているバターは、牧草で飼育された乳牛の生乳から作られたもの。これを使うことで、後味が重くなくあっさりと食べられる食パンが実現した。
 「自分が子どもの頃の母の料理として印象強く残っているのは、乳製品を使った味なんです。乳製品を使うと、全体が優しい味になって、イーストや砂糖を使わなくても満足できる味になるような気がします。目指しているのは、お母さんが作る味です。お母さんが作るものは、何が入っているかすべてはっきりとわかるものしか、材料として使いません。そういうパンを作って、地域の方に食べてもらいたいと思っています」(安楽さん)

SHOP DATA
店名:ブレッドランド ナチュール
住所:〒420‐0882 静岡県静岡市葵区安東2丁目16‐3
電話:054‐246‐7600
営業時間:午前8時〜午後6時
定休日:月曜
品揃え:40〜50品目
スタッフ:製造常時6〜7人、販売常時2〜3人
店舗面積:売り場約15坪、厨房約19坪、カフェスペース約12坪



この記事の読みどころ

●地域から必要とされていることを実感したとき、心の健康にいいパンを作ろうと思った。
●子供たちに豊かな食生活を経験してもらいたい。
●乳製品を使うと全体が優しい味になる。
●母親が作るようなパンを作って、地域の人たちに提供したい。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





原価計算女王
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