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| 北海道産小麦や上田産の石臼挽き全粒粉などを使ったハルタのパン |
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| 新天地のハルタで新たな試みに挑戦する木村昌之さん |
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| フォイのイベントに出品された「ナチュラルフード森の扉」の在来野菜 |
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| ハルタ社長の徳武睦裕さん |
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北欧の暮らしに学ぶハルタ 東京・吉祥寺のベーカリー、ダンディゾンを立ち上げ成功させたパン職人の木村昌之さんが、ヴィンテージ家具の輸入販売などを手掛ける会社、ハルタで新たな試みに挑戦しています。
長野県上田市に本社があるハルタ(徳武睦裕社長)は、北欧のシンプルで洗練されたライフスタイルに影響を受け、ヴィンテージ家具の輸入販売・再生や環境にやさしい住宅やホテルの建設などを手掛ける注目の企業です。また命を育む食にも力を入れ、上田市本社で食事パンを製造し、ネット販売を中心に購買客を増やしています。
ハルタのオファーでパンを作る木村昌之さんは以前から食を取り巻く環境が人間や社会に及ぼす影響に関心を持ち、日本のパン食文化の在り方を模索してきました。
そして木村さんは、スローフードを広めた米国のレストラン「シェ・パニーズ」創業者のアリス・ウォータースさんが提唱する「食を入り口にして社会を変える」という考え方にも興味を持っていて、生産性を優先すればもっと便利なものがたくさんある今の時代に、原材料や製造に手間暇かけることの大切さをパンを通じて伝えたいと考えています。これは昔ながらのスタイルに戻るということではなく、伝統に裏付けされた技術を使って新しいパンを生み出すということです。
北欧に学ぶハルタの考え方に共鳴した木村さんは、上田に家族と一緒に移り住み、パンを焼いています。自家培養サワー種、パン酵母、北海道産小麦、上田産石臼挽き全粒粉、オーガニックシュガー、有機ヤシ油、自然塩などを使った風味豊かなパンは、宅配のため到着までに時間がかかります。焼いた数日後でもおいしく食べられるパンの配合は、使う穀物によっても違いがあり、模索しながら改善しています。パンの種類は定番のルブロ(黒パン)を中心に、ブロ(カンパーニュ)、フランスブロ(食パン)、ケアナーブロ(亜麻仁、ヒマワリ、カボチャの種が入った全粒粉のパン)などの食事パンです。
東京の拠点で種を蒔いていく ハルタは昨年夏、20周年を記念して「次世代に引き継いでいきたい、人、食、地域」をテーマに、東京での2店舗目「フォイ」を千代田区東神田にオープンしました。社長の徳武睦裕さんは、「神田・万世橋にあるエキュート内の店に続く新たな情報発信地として、デンマーク語の種を表すフォイにふさわしい場所にしたい。そしてここに人、モノ、文化の種を蒔き、実るよう育てたい」と抱負を語りました。
オープン初日には自然派ワインやコーヒーと一緒に、ルブロ(黒パン)を使った北欧の伝統的なスモーブロー(オープンサンド)が登場し注目を集めました。ライ麦やヒマワリの種が入るルブロは、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富でトッピングにスモークサーモン、生ハム、チーズ、ニシンのマリネ、野菜・フルーツなどをのせると栄養バランスの取れた豊かな食事になります。
また、フォイでは定期的に、食、アート、コンサートなど様々なイベントが行われています。
昨年秋には「未来に継ぐ、在来野菜と種の話」をテーマに、ナチュラルフード森の扉(栃木県芳賀郡茂木町)の代表者、野原典彦さんの講演がありました。
その内容は、食べることを通じて、自然栽培や有機栽培などの環境保全型農業を目指し、未来の子供たちにおいしい野菜を残したいというものでした。その日も野原さんの野菜と上田のハルタからパンや焼き菓子も届き、参加者を楽しませてくれました。
大地に根差した農業とパンの繋がりは深く、木村さんはパンに使う小麦やライ麦、野菜、果物の育成を生産者と一緒に見守っています。
また長野県のスーパーマーケット「ツルヤ」にハルタのパンを卸し、新たな試みを始めました。これは普段は大手のパンを買う消費者に、自然の恵みを生かして作るハルタのパンの魅力を伝え、食から社会を変えようという挑戦です。
本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。