パンをおいしくするための手間 - トモニパン - ブランスリー電子版

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お店拝見/2020年1月号

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パンをおいしくするための手間 - トモニパン
バス停の横に店を構える「トモニパン」の外観。JR成田駅からは約2キロの場所
「トモニパン」のオーナーシェフ、浅井一浩さん
陳列台はアルファベットのJの字型に設置されている。菓子パンと総菜パン、フランスパン、ライ麦パンと大きく分かれて陳列
売り場と厨房の壁もガラス戸なので外からも厨房の中まで見える
天井から床まで見渡せる厨房

 淡いブルーの外壁、ガラス張りの壁面越しに見えるパン、色や形の違う複数のベンチ。千葉県成田市の「トモニパン」の外観は、人々が自然と集まる公園のような雰囲気を醸し出している。
 オーナーシェフの浅井一浩さんは、2018年8月に同店を開業。店舗デザインの色や素材などを施工業者に任せず一つひとつ自分で選んだ。
 「最も重視したのは入りやすさです。濃い色だと尖った感じで入り辛くなってしまうけど、薄い色はやわらかい雰囲気が出て、どんな年齢層の人にも入りやすさを感じてもらえるんじゃないかと思っています」(浅井さん)
 物件探しも、当時勤務していた都内から距離はあったが、成田市まで頻繁に通い、自分の足と目で見つけた。
 店内に入ると、売り場に並ぶパンとともに厨房の床から天井までが目に入る。売り場と厨房を隔てるのも、全面ガラス戸だ。
 「オープンキッチンの店で感じたライブ感を、自分の店でも演出して、お客様に楽しんでもらいたいと思いました。あとは、製造作業のどこを切り取って見られても大丈夫という安心感に繋がる思いを、お客様に伝えるためですね」(浅井さん)
 製造は浅井さんと妻の昭子さん二人で行う。販売は昭子さんが主に行うが、母の雅代さんやパートが入るときもある。この体制では人手不足ということで、4月から新卒入社の社員を製造に一人迎えることが決まっている。
 「開業からずっと長時間労働になってしまっているので、まずはそこを改善したいです。それから、今は作れていない焼き菓子を、自宅用、ギフト用と揃えていきたいです。また、生地数を増やすことでアイテムのバリエーションも増やしていきたいと思っています」(浅井さん)
 現在パン生地の種類は、フランスパン生地、ドイツパン生地、クロワッサン生地、食パン生地、菓子パン生地の5種類。
 「当初は4種類しかなかったのですが、菓子パン生地を追加しました。製造量の増加に伴って、仕込み回数を増やしたその次いでです。食パン生地をベースに開発したのですが、食パン生地よりわずかに甘く、食感はよりしっとりさせました」(浅井さん)
 食パンは角食の「トモニ食パン」(税抜290円)と、需要を感じて発売に至ったという全粒粉配合生地を山型に焼いた「全粒粉食パン」の2種類が主力製品。クラムのもちもち感が特徴だ。
 菓子パン生地は、「クリームパン」(税抜160円)や「粒あんパン」(税抜160円)などのほか、卵サラダをサンドした「たまごコッペ」(税抜140円)など、総菜系にも使う。食パンと同様、もちもちしているので、具の馴染みがよくサンドイッチに向く。テーブルロールの大きさに成形して焼き上げた3つ入りの「まるパン」(税込190円)は、客のリクエストで生まれた。自宅でのサンドイッチ作りに便利と好評だ。



食パンは「トモニ食パン」(税抜290円)と「全粒粉食パン」の2種類が主力製品
「全粒粉食パン」の断面
「ぶどうパン」(税抜250円)や「粒あんパン」(税抜160円)、「クリームパン」(税抜160円)など
「粒あんパン」の断面
クロワッサン生地を使った「究極のザクザクチョコクローネ」(税抜260円)
「究極のザクザクチョコクローネ」の断面
食材とおいしさへのこだわり

 浅井さんはコンテストへの応募を積極的に行っている。開業して間もなくの忙しい時期も、結果を残すこと以上に応募する過程に価値を見出し、挑戦した。
 開業前に約8年間、昭子さんとともに勤務した東京・葛飾区の「ブーランジェリーオーヴェルニュ」へ入社した一番の理由も、コンテストに挑戦できる環境があるということだった。2015年開催のパンの世界大会「ibaカップ」に日本代表で出場し優勝という偉業を達成したが、その結果以上に、「練習で得たものは今も役立っている」と浅井さんは振り返る。
 「新商品開発などで、アイデアに困ることがありません。コンテストや大会などの練習で、引き出しの数が増えてアイデアのストックになっているんだと思います」(浅井さん)
 また、下処理などの食材の扱い方については、「他店と同じものを使ってもおいしくできる自信がある」と、浅井さん。
 「ぶどうパン」(税込250円)などに使うレーズンなどのドライフルーツは、酒を使うなど手間暇かけ、「個性的な下処理を行っている」(浅井さん)。
 いいものを作るのに、高い材料を使うのではなく、下処理を工夫するという。
 「日常の食事として過剰品質にはせず、買える値段の範囲内でおいしく作ることを基本にしています」(浅井さん)
 フィリングは自家製にこだわり、「粒あんパン」などに使う粒あんも厨房で炊いている。
 「あんこも、配合や炊き方を色々試したら自分で作ったものの方がおいしいと思ったんです。既製のものとは全然違うので、差が付けられます」(浅井さん)
 浅井さんのパン作りには、手間や効率を考えるよりも、自分が感じるおいしさを優先する姿勢がある。
 「サンドイッチに使う食パンも、当日焼いたものを冷まして使います。前日焼きのものが効率的ですが、食べたら絶対に当日焼いたものを使った方がおいしいんです。おいしいことを知っているのに前日焼きを使うとすれば、お客様をだましているような気になってしまいます」(浅井さん)

分かりやすさ重視の店名とパンの味

 「店名は、皆さんと共にという意味を込めましたが、分かりやすさが大事だと思って付けました。分かりやすくて言いやすければ、覚えてもらえるし、色々な人に伝えてもらえると思っているからです」(浅井さん)
 パンは、食感を重視している。クロワッサン生地を使った「究極のザクザクチョコクローネ」(税抜260円)や「カンノーリ」(税抜200円)はザクザクとしたクリスピーな食感を追求した製品。「とろける生食パン」(税抜270円)は、もっちりしっとりの新食感を謳った製品で、成形は通常の食パンの半分以下の高さにしなければ焼成できないほど、吸水の多い特殊な生地で作る。
 「どんな味かと訊かれても、表現するのは難しいと思います。でも、食感なら、パリパリとかザクザクとか、言葉で言いやすいんです。口コミも広まりやすいと思います」(浅井さん)

SHOP DATA
店名:トモニパン
住所:〒286‐0017 千葉県成田市赤坂2‐1‐15
電話:0476‐27‐1050
営業時間:午前9時〜午後8時(売切れ次第閉店)
定休日:火曜、水曜
品揃え:約70品目
スタッフ:製造常時1〜2人、販売常時1〜2人
店舗面積:売り場約5坪、厨房約14坪



この記事の読みどころ

●淡い色の店はやわらかい雰囲気が出て、どんな人にも入りやすい。
●パンのコンテストに参加して得たものは計り知れない。
●同じ原材料を使っても、他店よりおいしいパンを作る自信がある。
●原材料を下処理することで、パンがおいしくなる。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





原価計算女王
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