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| 連載/2019年8月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| やりとりをすればするほど気分がよくなる - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(27) | |
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本誌今月号の特集は、「店の想いを客にどう伝えるか」がテーマだ。取材させていただいたのは、東京・三鷹市の「トーホーベーカリー」と、千葉県船橋市のピーターパン石窯パン工房店だ。2軒ともパン業界でも有名な繁盛店で、本誌でも過去に何度も取材させていただいたことがある。
そして、何度取材させていただいても、その度に新しい気づきが沢山あって、店が日々進化し続けているということを実感させられる。 その進化を起こしている最も根源的な要因は何かと考えてみた時に、頭に浮かんでくるのは、店のスタッフ一人一人が持つ客に対するホスピタリティーだ。そのホスピタリティーは、いろいろな方法で客に対して実践され、客の心の中に自己肯定感を生み出す。客はそれを喜び、スタッフに肯定的な反応を返す。それは、スタッフの心の中にも自己肯定感をもたらし、スタッフの客に対するホスピタリティーマインドはさらに高まっていくという好循環を生み出す。 話がややこしくて堅苦しいと感じる読者もいるかも知れないので、平たく言うと、客とスタッフが、やりとりしているうちに、互いにどんどん気分がよくなっていくということだ。やりとりすればするほど、気分がよくなっていくのだから、自然の摂理に従って、そのやりとりは末永く続くことになる。 互いの心の中に肯定感をもたらすやり取りを続けていると、両者の間にはやがて信頼が生まれてくる。客の心の中に、店に対する信頼が生まれると、客は店の商品を素直に正当に評価してくれるようになる。この状態で店の歯車が回り出したときに、繁盛の好循環が動きだすのだと思う。 店と客とのやり取りのお膳立ては、当然ながら、店側が全て行わなければならない。そこで強い味方になってくれるのが、イベントの開催だ。取材時にトーホーベーカリーでは「スタッフ出身ご当地パン祭り」と題したフェアを行っていた。文字通り、スタッフの出身地のご当地パンを開発して販売するというものだが、客の一人が、たまたま、自分の故郷のご当地パンを見つけて、思わず近くにいたスタッフに、「懐かしい」と言って話しかけてくれたそうだ。その客は、あまりにも懐かしくて、だまっていられなかったという感じだったという。 客とのやり取りでは、笑顔が欠かせない。もう一つの取材先、ピーターパンでは、お年寄りから子供まで幅広い年齢層からの意見を集めようと、「お客様ハガキ」と呼ぶ葉書を店頭に置いて、客に意見を書いた上で投函してもらっているという。あるとき、「コッペパンの販売をするスタッフが無表情で怖かった」というクレームが書かれた「お客様ハガキ」が届き、それをきっかけに、全社的に、笑顔での接客をさらに強化していくことになったそうだ。 世間一般には、無表情な接客をする店員などいくらでもいる。そんな中で、繁盛ベーカリーの接客に対する考え方は、ずば抜けてシビアなのだ。人の心の深いところから出てくるホスピタリティーに裏打ちされた接客をスタッフ全員に実践させることができる仕組みを持っているのだ。 私は、ベーカリーもコンビニもよく利用するが、ベーカリーの接客は、コンビニのそれをはるかに上回っていると思う。(RO) |




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