記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| 連載/2019年7月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 南仏起源のパン・ド・ロデヴが日本へ - 一粒の麦から50(文・本行恵子) | |
|
フランス南部の町、ロデヴに伝わる「パン・ド・ロデヴ」(現地では「パン・パイヤス」と呼ばれています)は、吸水の多い生地を成形も計量もせず切りっぱなしで高温の窯で焼く、パリっとしたクラストと水分を多く含んだ風味豊かなクラムが特徴のパンです。
日本に伝わったのは、元ドンクの仁瓶利夫さん(ラトリエ・ドゥブテイユ)が、1997年にMOF(フランス国家最優秀職人)のジャック・スイヤ氏からこのパンを教えられたのがきっかけです。 1983年にレイモン・カルヴェル教授が提案したパン・リュスティックの誕生に関係するパン・ド・ロデヴに興味を感じた仁瓶さんは、試作を重ねドンクの新商品として提案します。当時は技術力が必要で販売も難しく、なかなか受け入れられませんでしたが、今ではハード系の看板商品の一つになっています。 また仁瓶さんの長年の友である明石克彦さん(ブロートハイム)は、講習会で仁瓶さんが焼いたパン・ド・ロデヴに感動し自店でも作るようになりました。 そして2002年のクープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリー(パンの世界大会)日本代表の菊谷尚宏さん(ドンク)が、明石さんの店で目にしたパン・ド・ロデヴを本選向けに、パン・スペシオ(作品名KATANA)として仕上げて出品。日本チームの作品は大会で高く評価され、ヴィエノワズリー部門の山崎隆二さん、飾りパン部門の渡辺明生さんの3人で優勝を勝ち取り、国内外から注目を集めました。 パン・ド・ロデヴ普及委員会 2012年10月に発足した「パン・ド・ロデヴ普及委員会」は、作る人と食べる人をつなぎ、おいしいパン・ド・ロデヴがどこの町でも買えるように地道な活動を続けています。 代表理事の松成容子さん(たまご社、NPO法人食育研究会MoguMogu)の声掛けで、仁瓶利夫さん、明石克彦さん、金林達郎さんが技術顧問となり、定期的に技術講習会や食べて楽しむ会が開催され、パン・ド・ロデヴの魅力にはまる人が増えています。同会は「食べるよ会員」「作るよ会員」「支えるよ会員」に分かれ、それぞれの立場で支えています。 5月20日に東京のカネカ食品で開催された「第56回パン・ド・ロデヴを食べて楽しむ会」に参加し、おいしいパンと料理を楽しんできました。講師の金林さんが提案した毎日仕込むバゲット生地にルヴァンを加えて作る製法は、リテールベーカリーでも取り組みやすいと好評でした。 おいしさの秘密は熟練の職人技 パン・ド・ロデヴをはじめて食べた人は、味わい深いこのパンの虜になってしまいます。 一般的なフランスのパンは粉、水、塩、イースト(パン酵母)で作られますが、パン・ド・ロデヴはルヴァン(発酵種)を加えます。これを入れることで、パン酵母だけでは得られない独特の風味が加わり独特な味に仕上がります。また多加水パンの特徴である大きな気泡膜の内相は、見た目にもインパクトがあります。しかしミキシングのかけ方、発酵やパンチのタイミング、生地の扱い、焼き窯の温度や蒸気入れ、そしてルヴァン種の状態などが影響するので、おいしいパン・ド・ロデヴはそう簡単にはできません。しかし菊谷さんが挑戦したように、難しいパンだからこそ、作り甲斐のあるパンでもあります。 10年の期限付きでスタートした「パン・ド・ロデヴ普及委員会」も、7年目を迎えます。その間には「これ一冊でわかるパン・ド・ロデヴ」を出版し、技術を伝え、共にパンを楽しみ、東日本大震災や熊本地震の被災者支援にも力を入れてきました。そして地方のパン屋さんでもパン・ド・ロデヴが作られるようになり、今年の10月には北海道・美瑛で7周年記念パーティーが開催されます。 パンを共に分かち合う仲間たちの友情は、全国に広がっています。 ◇ パン・ド・ロデヴ普及委員会のurlは、http://lodevepain.org |




2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。









