ドイツパンの需要を掘り起こす - パン屋クレメル - ブランスリー電子版

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お店拝見/2019年6月号

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ドイツパンの需要を掘り起こす - パン屋クレメル
「パン屋クレメル」の外観。植栽やベンチなどがあり、公園のようなほっとできる雰囲気を醸し出している
オーナーシェフの大久保渉さん
ハード系は全体の35%ほどを占め、総菜系が充実している
吹き抜けの天井で広々とした空間となっている売り場。厨房で作業していても客の様子がよく見えるような造りにした
国産小麦を7割配合している「バゲット」(税抜230円)
「バゲット」の断面
人気の食パンとクリームパンを受け継ぐ

 東京・羽村市のJR青梅線・羽村駅から徒歩10分ほどの住宅街にある「パン屋クレメル」。外構は、花や緑で彩られ、店舗入り口手前の広く空いたスペースには、アーチ状の木製のベンチと、テーブルが設置されている。周囲に一軒家が立ち並ぶなか、まるで公園のような、ほっとできる雰囲気を醸し出している。
 オーナーシェフの大久保渉さんは昨年12月、父親がこれまでおよそ20年間営んできた店を受け継いだ。受け継ぐ際、店舗の建て替えを行い、赤だった店のイメージカラーは青にした。そして店名は、研修先のドイツを慕い、ドイツ語で、食べたときにぽろぽろこぼれるような様子を表現する「クレメル」と改めた。
 商品のラインナップも、ほとんど変えた。ハード系の割合でみると、以前の20%弱から、調理パンのハード系を充実させるなどし、35%まで増やした。客から「この辺りでは貴重な、本格的なハード系のパンが買えてうれしい」と喜ばれている。
 そんななかでひとつだけ、配合も製法も変えていない商品がある。「パンドミー」(税抜270円)だ。
 「今並んでいる商品は、自分が修行先で作ってきておいしいと思ったものです。ですが『パンドミー』は、父親が作っていたときのままの配合と製法です。『パンドミー』には、固定のお客様が多く、遠くから買いに来てくださる方もいらっしゃいます。実際、味もいいですし、守っていきたい商品だと思っています」(大久保さん)
 「パンドミー」のように、配合と製法が同じではないが、以前の店舗を知る客にとっては、欠かせない人気商品が、実はもうひとつある。「クリームパン」(税抜150円)だ。同店の「クリームパン」は、見た目からして個性的で、メロンパンのように、クッキー生地がトッピングされている。
 「クッキー生地は、メロンパンに使うものより、ゆるめにしていて、焼き上げ後の食感も、サクサクせず、しっとりするように作っています。食べたときに、そのしっとりした部分と、中のクリームが融合する味わいは、ほかのクリームパンにはなかなかないと思います」(大久保さん)
 見た目は変えない一方で、中身を変えた。
 「カスタードにこだわりたいという思いがあって、材料を厳選しました。卵は、洋菓子店でもよく使われている卵黄の濃いタイプのもの、牛乳は風味が良く乳脂肪の濃いもの、砂糖は甘さがまろやかなきび糖を使うようにしました。パン生地も、以前はストレート製法でしたが、中種法に変えて、ふんわりとした食感になるようにしました」(大久保さん)
 こうして、見た目はほとんど変わっていないものの、中身は全く別物となった同店の「クリームパン」だが、以前の店舗のときからの常連客で、味の変化を指摘する人はいないという。そして、現在も以前の店舗のときと変わらず、菓子パンの中でトップの人気を誇っている。



やわらかいクッキー生地をかぶせて焼き上げる「クリームパン」(税抜150円)
「クリームパン」の断面
「クロワッサン」(税抜140円)は、外と中の食感に違いをもたせた
ライ麦を70%配合した「ラントブロート」(税抜600円)
以前の店舗のときから同じ配合と製法で作っている「パンドミー」(税抜270円)
売り場奥にあるイートインスペース
しばらくは一人で作れる分だけ販売していく

 近所の人から好評を受けているハード系の中で、特に人気の商品は、「バゲット」(税抜230円)だ。一日に12〜13本焼き、出した分はすべて完売している。製造は、生地作りや焼成など主要な作業は、大久保さんが一人で行っているため、12〜13本という製造量は今できる限りの量だという。
 「バゲット」の色の濃さは、灰分高めの国産小麦を7割配合し、さらにライ麦を少し入れているためだ。パン生地は前日に捏ね、一晩低温長時間発酵をとってから焼き上げる。クラムがもちもちした食感で、粉を4種類配合しているため、豊かな香りとうま味があるのが特徴だ。
 「クロワッサン」(税抜140円)も、午前中でほぼ売り切れてしまう人気商品。焼き上げは毎朝開店前に1回、12個焼き上げるのみなので、開店後すぐになくなってしまうこともある。
 「『クロワッサン』は、自分の一番好きなパンで、店名の『クレメル』は、クロワッサンを食べたときにぽろぽろとこぼれる様子をイメージしています。重視しているのは食感で、外はサクサクですが、中は軽くなりすぎず、バターの感じが少し感じられるようにしています。そのため、バターの配合を少し多めにし、オーブンはコンベクションを使わずに、デッキオーブンで焼くようにしています」(大久保さん)
 完売するのは「バゲット」や「クロワッサン」だけではない。ほぼ毎日、閉店する頃には、すべての商品が売り切れてなくなっている。
 「まだしばらく、生地作りなど自分だけでやりたいと思っています。また、パン作りの礎を築かせていただいた、修行先の『ムッシュイワン』では、催事を多く経験したことで作業スピードをかなり上げることができたのが、今役立っています。生地自体をおいしくしなければいけないという、パン作りの基本の考え方も、教わりました」(大久保さん)
 ムッシュイワンでの修行後、2年間ドイツに行った。その経験を活かして作るドイツパンも人気だ。若い人はほとんど買わないのに対し、リピートする年配者が多いことが意外な嬉しさだという。
 ドイツパンは、週2〜3日販売。販売のある日は、ライ麦をそれぞれ、70%配合した「ラントブロート」(税抜600円)か、50%配合した「ミッシュブロート」(税抜600円)のいずれか一種類で、各日6本を完売している。ライ麦100%のものを、特注する客もいるという。
 「ドイツで学んだパンをもっと作っていきたいですね。まずは、昔のマイスターが手作業で作っていたという高加水のパンを作って、お客様にお召し上がりいただきたいと思っています」(大久保さん)
 大久保さんは大学時代、酵母菌の研究をしていた。当時の友人らの中には現在、酒蔵や農家で働いている人がいるという。今後そうした友人らから食材の提供を受けて、「食材を活かしたパンを開発できたら」と、目を輝かせる。

SHOP DATA
店名:パン屋クレメル
住所:〒205‐0011 東京都羽村市五ノ神3‐1‐48
電話:042‐578‐0907
営業時間:午前7時〜午後6時
定休日:月曜、第2・4日曜
品揃え:70〜80品目
スタッフ:製造常時3〜4人、販売常時1〜2人
店舗面積:厨房5坪、売り場5・5坪、イートインスペース2坪
日商:平日11万5000円、土曜、日曜20万円



この記事の読みどころ

●父から店を受け継ぎ、内外装、商品を一新したが、父の時代の人気商品はそのまま残した。
●クロワッサンは、ぽろぽろこぼれることがポイントと訴え、ドイツ語でぽろぽろこぼれるような様子を表現する言葉の「クレメル」を店名にした。
●修行先で、催事を多く経験し、作業スピードがかなり上った。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





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