店に関わるすべての人を大事に - セイルノッツ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2019年3月号

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店に関わるすべての人を大事に - セイルノッツ
東京メトロ要町駅からすぐの路地に佇むベーカリー「セイルノッツ」
オーナーシェフの渡辺祐也さんと美夏夫人
店内はヨットハーバーのような海辺のリゾートをイメージしたインテリア。青系のタイルで装飾したり、古木を使ったりしている
入店して正面の棚には、「オランジュ」(税抜230円)などのデニッシュや、「焼きカレーパン」(税抜175円)などの総菜系が並ぶ
売り場の奥に、16坪の厨房がある
入念な準備のおかげで早く軌道に乗れた

 東京・豊島区の池袋駅から、東京メトロでひと駅の要町駅からすぐの路地に佇むベーカリー「セイルノッツ」。昨年10月に開業したばかりだが、広告を打たずに口コミだけで好調な売り上げで、すでに軌道に乗っている。
 「スタートダッシュが大事だという意識を持ち、開業前の準備に力を入れたのがよかったと思います」
 こう話すのは、店主の渡辺祐也さん。一度決まりかけた物件が、条件が合わず駄目になってしまった。そのため、修行先のベーカリーを退職後、約半年間のブランクができてしまったという。
 しかし、そのブランクがあったからこそ、準備自体を見直したり、開業後は着手しにくい作業をすることができた。
 「物件が見付からず焦りましたが、その間に自分で、当店のホームページを作成したり、販売のパートさん用に接客などのマニュアル冊子を作ることができました。お客様を大事に、地域に密着した店にしていきたいと思っているので、販売はとても重要視しています。販売をパートさんに任せるに当たって、丁寧な接客をする際に必要な事柄を冊子にまとめることができたのは、良かったと思います」(渡辺さん)
 渡辺さんは、29歳のときに脱サラして開業を志し、都内のベーカリーに入社した。その後約5年間修行し、同店を開業した。
 「修行先のベーカリーでは、開業希望の旨を伝えていました。それもあって、製造だけでなく原価計算などもさせてもらいました。また、製造で、特に為になったと思うことは、2カ月に一度くらいの頻度で回ってくる、新商品開発担当です。開発したパンは、店長の承認が得られれば、実際に新商品として販売させてもらえるという仕組みです。売れ行きが良ければ、販売が続けられるので、お客様の反応を見ながら、少しずつ改良を重ねたりして、育てていくことができます。今、当店に並んでいるものの中には、そうして育ててきた商品が2〜3割あります。すでに自信が付いている商品を、最初から並べられるという意味で、貴重な修行時代を過ごさせてもらえたと思っています」(渡辺さん)



高さ13センチほどのキノコのような見た目のブリオッシュは、中に生クリームがたっぷり入っている。「ティータイム」(税抜240円)、「抹茶のホイップあんパン」(税抜240円)、「オレンジチーズケーキ」(税抜240円)の3種類
左の写真左は「抹茶のホイップあんパン」、左の写真右は「ティータイム」
「クロワッサン」(税抜160円)は、一日に2回焼き上げる人気商品。理想の食感を出すため、27層にこだわっている
「クロワッサン」の断面
「バゲット」(税抜250円)は低温長時間発酵で国産石臼挽き小麦粉のうま味を最大限に引き出した
「バゲット」の断面
育てていきたいケーキのような位置付けの商品

 渡辺さんが修行時代から育ててきた一押しのアイテムは、高さ13センチほどのキノコのような見た目のブリオッシュだ。
 「高さがあるので目立つのと、見た目のかわいさが特徴です。ブリオッシュの中には、生クリームをたっぷり絞っています。菓子パンというより、ケーキのような位置付けのアイテムとして、今後も力を入れて販売していきたいと思っています」(渡辺さん)
 同ブリオッシュは、3種類ある。焼き上げ後に生クリームを絞るのはすべて共通しているが、ブリオッシュの味が異なる。「ティータイム」(税抜240円)のブリオッシュ生地は、紅茶風味のアーモンドクリームとカラメル風味のレーズンを練り込んだ。「抹茶のホイップあんパン」(税抜240円)のブリオシュは、抹茶を練り込んだ生地に粒あんと大納言を包んで焼き上げる。「オレンジチーズケーキ」(税抜240円)は、オレンジピールを練り込んだ生地で、ニューヨークチーズケーキ風の濃厚なクリームを包んで焼き上げる。
 「今出している3種類を基本の味として、落ち着いてきたらもう少し種類を増やしてもいいかと思っています」(渡辺さん)
 同ブリオッシュを入れるための箱として、一般にケーキ店で使用されている、取っ手付きの箱を用意している。
 「お土産用途をイメージしています。ケーキのような位置付けですが、価格の方は、ケーキを買うよりは安いと思っていただけるくらいだと思っています。ですので、パン屋のお土産として手軽に使っていただきたいと思っています」(渡辺さん)

家族のための仕事だという意識

 製造は渡辺さんと、渡辺さんより職人歴の長い社員一人の合計二人で行っている。製造能力の将来的なことを考えて、厨房は16坪と広めにとった。
 「厨房が狭くては、末広がりの成長を望めないと思いました。リスクはありますが、厨房の設備を充実させておけば、今後製造量を増やしたいと思ったときに、対応していけます」(渡辺さん)
 特に充実させたのは、1・5坪ほどのスペースを取って設置したプレハブ冷蔵庫だ。
「食パン以外の商品はすべて、オーバーナイト製法を取った生地で作っています。そうすることで、人手を効率的に使うことができると実感しています。製造社員の労働時間は、朝5時から夕方5時半までにできるようにして、長時間労働にならないように気を付けています」(渡辺さん)
 また、厨房の裏手には、一坪ほどの休憩室を設け、スタッフが座って休める場をつくった。渡辺さんは、良い労働環境づくりを重視している。
 「営業職を辞めて、モノづくりに憧れて開業に至りました。好きな仕事を追求した結果ですが、そもそもなぜ仕事をしているかというと、家族を幸せにしたいからなんです。長時間労働になったり疲れ切ってしまうと、ストレスも溜まって、家族と楽しく過ごすこともできなくなります。そうなると、仕事もうまくいかなくなります。開業して間もない時期ですが、まだ小さい子どもたちと遊ぶ時間は、絶対になくしてはいけないと思っています」(渡辺さん)
 店名の「セイルノッツ」は、渡辺さんの二人の子どもの名前が由来だ。家族への思いと、スタッフや客など、同店に関わるすべての人も、家族のように大事にしたいという気持ちを店名に込めたという。
 「毎日のように来てくださる方や、楽しそうに選んで下さる方の姿を見ると、嬉しいですね。『ここはおいしい、また来よう』と思って頂けるように、来ていただいたお客様を、ずっと大事にしていきたいと思っています」(渡辺さん)

SHOP DATA
店名:セイルノッツ
住所:〒171−0043 東京都豊島区要町1−17−7
電話:03‐6905‐8089
営業時間:午前10時〜午後7時(売切れ次第閉店)
定休日:日曜、月曜
品揃え:約80品目
スタッフ:製造常時2人、販売常時2人
店舗面積:厨房16坪、売り場4坪、休憩室1坪
目標:平日約20万円、土日祝日約30万円



この記事の読みどころ

●開業前に、販売スタッフ用に接客などのマニュアルの冊子を作ることができたのが大きかった。
●修業先で商品開発をして販売し、客の反応を見ながら改良を加え、売れるように育てた経験が、自分の店で大きな力になった。
●現在柱となっている看板商品を、さらに育てていきたい。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。



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